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「買い物に行く!」と離設し、介護で大事な事を教わった出来事をここだけ教えます

入居者さんがどのようにして暮らしたいか考えるきっかけになります。

私が介護で働き続けているきっかけになったお話です。

当時は新人時代であり、介護の知識もほとんどありませんでした。

このように介護ができたら嬉しいし、入居者さんにとって望まれていることではないかと気付き、それから介護というものが楽しくなりました。

この記事を見てもらえることで入居者さんにとって望まれることは何か考えられるきっかけになれたらと思います。

Aさんが離設した事例

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A様はアルツハイマーという認知症をもっていて、他の病気はない人でした。

入居した理由は
・金銭管理ができなくなってしまった
・家での生活ができなくなってしまった

という理由です。

入居して施設の生活に馴染んで過ごせてました。

入居して3ヶ月経ち、A様が愛用している化粧品が安物に変わっていることに気づきました。

「なんで!?娘に電話する!」
と激怒し、電話するも怒りは収まらなかったです。

スタッフの声掛けに見向きをせず
「買い物に行く!」
と施設をでていきました。

私は後ろからついて行くようにしてました。

道ゆく人に近くの駅までの行き方を聞き、改札口まで辿り着いてしまいました。

「どうしよう…」
とこの時、悩み果てました。

上司に事情を説明し、
「とことんついていって!心配しないでいいから」
と言われ、ついて行く事を決心しました。

本人に声かけました。

「あなたついていったのね。別に大丈夫なのに。」
と言われましたが、一緒に行きたいと伝えたら了解を得ました。

どこの駅かどこの場所で買ったかも把握していて、本人の言われるままに行ってみると目的の化粧品売り場に着きました。

高価なものであったため、手持ちのお金では買えませんでした。

店員さんが優しくサンプルは下さり、A様は
「しょうがないわね」
と落ち着きました。

その後、A様は
「ついてきてもらってごめんね。コーヒーでも奢ってあげるから」
と行きつけのコーヒー屋さんに案内してもらい、コーヒーをご馳走させてもらいました。

「コーヒーをスプーンで混ぜてからミルクをいれると美味しいわよ」
とコーヒーにスプーンを回しながらミルクを入れる方法を実際に見せてもらい、本人はコーヒーを美味しくいただいてました。

その後、一緒に施設に無事戻っていただきました。

後日、ユニット会議で話し合いました。

施設でできることは何か

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なんで化粧品が安物になってしまったか娘様に確認すると
「貯金を全部これまで使ってしまい、残りのお金が少ない」
という理由でした。

現実的に買うことが難しいという現実に直面しました。

その時ユニットで考えたことは
・化粧品を買えなくても毎月U様の愛用している化粧品売り場近くで外食をする
・Aさんの愛用している化粧品の店員さんにU様の状態を説明し、サンプルをいただけるか交渉する
・施設にいても本人が好きなコーヒーをティータイムに用意して、コーヒー豆を挽く機械とミルクを泡立てる機械を買い、施設にいても本人の好みの飲み方ができるようにする

です。

Aさんの愛用している化粧品の店員さんにA様の状態を説明し、A様はよくそこに買い物をしていたお得意様ということがあり、店員さんに了解をいただけました。

A様への対応についての本を作っていただき、店員全員が知れるようにしてくれました。

これらの事をやり、安価な化粧品に対し、怒る事はありましたが、説明をすると納得していただきました。

化粧品以外でもいろんな食事の場所を案内され、
「このお店は本当に美味しくて通っていた」
と話してくださり、本人が好きなお店をたくさん発掘しました。

それから一年も経ち、A様はコミュニケーションがうまくできなくなり、化粧品に対し、怒ることもなくなり、こだわりがなくなってしまいました。

あの時、一緒に買い物に行ったことがよかったと思ってます。

A様が好きだったもの、行きつけのお店にも気がつかずに認知症がすすんでしまっていたかもしれなかったのです。

認知症であっても今までと変わらない生活はしたい

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今回の出来事があるまではA様に対し、コーヒーを出すことくらいしかできてませんでした。

A様が施設の生活をゆっくり過ごしていました。

A様にとって施設の生活がこのままではよくなかったからいつかは起こるべくして起きたかもしれません。

施設にいるから施設の生活で縛るより、
「認知症であってもこれまでの生活に近いように暮らしたい」
と思うのは当然と言えます。

Aさんの出来事が介護はこうあるべきと考えさせられた出来事でした。

・施設で入居者さんのためにできることは何か
・入居者さんの発言に耳を傾けること
・入居者さんの行きたいところに行ってみること
・施設外であっても入居者さんの居場所を作り、周りの人の協力を仰ぐこと

が大切であることに気がつきました。

認知症がすすんでからでは遅いです。

私にとってこういう生活を送りたいと介護で掲げている目標になってます。

まとめ

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現状、コロナ禍で考えると外食、外泊となると難しいです。

施設にできることは何かをより問われています。

入居者さんのしたいことがあるならばどうするか考え、実践すると面白い反応が返ってくるかもしれません。

皆さんの参考になれたら嬉しいです。

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