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「dawn」セルフライナーノーツ

どうも、ゆず改めボカロPのしとろんです。

今回はnoteでは初めて自分の曲の解説をしていこうかなと思います。この「dawn」という曲ですね。

ふつうこうやって自分でアレコレ明かしてしまうのはダサいというか、「解釈は聴く人次第」とか言っておいた方がスマートな態度、というのはそうなんですけど。

でも!「俺の工夫を誰にも気付いてもらえないのはいやだ!」という見にくい醜い承認欲求がありまして。。毎度こんなことをつらつら書いてしまうのです。

特に今回のこの「dawn」という曲は、このnoteで書いてきた記事の文脈を大いに引き継いでいるということもあります故、何卒お許しください。

というか、自由に聴きたい人はそもそもここに見に来ないでしょうけどね。


back ground

ではまず、この曲ができる経緯についてですが、実は以下の記事でほぼ語っていたりします。

読んでない方に超単純にまとめると、なんか面白そうって思った同級生に「友達になりたいんだけど」って伝える曲です。

そして、この「dawn」のトラックはその当の本人によるものです。

元々全く別の内容にする予定だったのが、あまりに彼に対する鬱憤?もやもやが溜まっていたので、それを発散する為に彼のトラックを使ったという感じですね。

では、早速歌詞の中身から見ていきましょうか。

先にお伝えしておくと、今回の歌詞解説は「①ラップリリックの作り方」「②気持ち悪い程のサンプリング」「③自分の音楽、生き方のスタンス」の三本立てでお送りさせていただく予定です。

サザエさんみたいですね。じゃんけんぽん!

Verse1

最初のバースはこんな感じ。
ラップをよく聞く人とかは分かると思うんだけど、結構ライムが少なめですよね。

ライムとは当然のことながら「韻を踏む」ということで、僕はラップの内のこの要素がとても大好きなんですけど。この曲は「長い韻を踏もう!」とか「ずっと同じ韻で続けよう!」とかそういうテクニカルアピール的な意図を意識して持たないようにしていて。

これが三本立てのひとつめ、「ラップソングの作り方」の話に繋がるんですけども。

そもそも、僕はラップ大好きだけど、ラップだけで歌詞を展開させるのって苦手で。メロディには音自体に役割があるから、「Aメロではネガティブな日常、Bメロで転機、サビでハッピーライフ!」的ないわゆる起承転結が作りやすい。
でも、ラップはそういう意味でとても自由なので、だからこそ、「言いたいことをただただ言う!」って書く方が歌詞が出てきやすいのかな、と。

ラップソングに限らず、作詞というのはやはり書き出しが一番難しくて。なので、この曲の冒頭は「疲れた」という、当時の僕の率直な気持ちで始まってますね。

最初の4行に至っては、「疲れた」と「やめだ」でしか踏んでないですからね。とりあえず書き出す。それが自分にとってのラップソングの作るコツみたいになってます。その書き出しに納得できれば、あとは数珠繋ぎに言葉が出てくる。こともあります。

ちなみに、ライムという意味では「小生は小心者」と「どうしてか興味を持つ」が7音(oeaoioo)と長くて、リズムも相まって気に入ってます(一応、「取り込もう」でも踏んでますが)。

あと、「創作とか音楽とか」からの畳みかけは前のラップソング「遺書」でほぼ似たようなフロウというか言い回しが実はあって。彼にその曲を聴かせた時に、どうやらこういう韻の畳みかけが好きみたいなので同じようなものを敢えて採用してます。その後の「物語にも歌詞にもならない」からのところも、かなり早口でいいですよね。緩急すき。そこは全然韻踏んでないけども。

Bridge1

ブリッジには色々意味あるらしいけど、ここではBメロ的な。

バッキングのギターが規則的に鳴るので、そこは韻を揃えなきゃなあと、苦心した思い出です。3行目でギターのないとこも同じリズムで韻を踏むのなんか良かった気がする。

抽象的な言葉が多いパートですが、多分言いたかったことは「お前は俺に興味あんのか?ないんか?気遣うのも疲れんねんぼけぇ」という感じです()

「言葉足らずじゃ分からず」とか、韻踏んでなきゃただの文句ですもんね。お前何考えてるかわかんねーよっていう。相手にとって自分に価値があるのか。どこまで踏み込んでいいのか。相手の考えとのズレに対する恐怖が、一貫してこの曲には流れているなあと思います。

Hook1

フック。いわばサビですね。ここも一応「ooi」で踏んでます。

ここの内容は割と分かりやすくて、「君って僕に興味ある?」って聞いてますね。それが「温度を確かめる」ってことです。
ちなみに「いつからだろうオイラこんな不器用に」のところを、「君にはあるのか?オイラに興味」にする案もあったんですが、流石に安直すぎてやめましたね()韻は踏めてるけども、それはないだろう、と。

そして、このあたりで違和感を覚えた方も中にはいるかもしれません。
「いやお前一人称ブレすぎだろ」と。「そもそも『小生』なんてイマドキ誰も使わんやろ」と。
えーとこれは、「③自分の生き方のスタンス」の話にもなるんですけど。

以前の記事で、「自分はその場の相手によって様々に演じ分ける空虚な人間だ」って話をしたんですね。そういったブレブレの自分を「私」「僕」「オイラ」「小生」といった、様々な一人称の代名詞で表現しています。まあこのnoteを始めたのも、その彼の影響なので、もはや文脈が交通事故。繋がりすぎて梅田の地下通路みたいになってますね(伝わらない)。

Verse2

さて、やっと二番です。楽曲解説はどうやっても長くなりますね。いい曲だから仕方ないね。語りたい所しかないのよ。
では!ここで遂に二本目の「気持ち悪い程のサンプリング」について話していきましょう!もはやこれ言いたいが為に、このnote書いてるまである。

サンプリングというのは多分Hip Hop特有の文化なのかな。超簡潔に言うと、「引用」ですね。オシャレに言うなら和歌の「本歌取り」みたいなもんでしょうか。

自分は今までラップソングにサンプリングなんてものをしたことはないのですが、今回の歌詞には明確に伝えるべき相手がいる訳なので、最悪「俺とお前にしか分からない」話をしたっていいのです。
なので、僕と彼の共通で好きな音楽とかを引用してたりするんですね。例えば、この冒頭の「たりないふたり」はCreepy Nutsの楽曲名です。かつ、その部分のリズムも本家リスペクトですね。
次のブリッジに出てくる「朝焼け」も同じくCreepy Nutsの楽曲名。「墓場まで」もサンプリングです。「子供のままで」は星野源の「KIDS」から。

…まあ、ここまではいいんです。でも、この歌詞の主なサンプリングはむしろこういうのじゃなくて。実はところどころで、彼自身のnoteの言葉をサンプリングしてるんですね。(はいここで鳥肌です)(悪い意味の方で)
元々、彼と話すようになったきっかけが、彼に「書いているnoteを見せてほしい」と言ったことというのもありまして。。うん。
皆さんは彼の記事を見れないので、実際に確かめようがないんですが、引用した箇所だけ一応羅列しておきますね。

「どんな温度で」「冷めるの待つくらいなら」「熱くなくていい」「君の温度を確かめるように」「冷めぬほとぼり?」
→まずこの辺は全部同じ記事、同じ文脈の引用(及びその派生)です。彼がある記事で、人間関係を「温度」に喩えてエッセイを書いていたので、その比喩を借りています。

「捻じれきった根っこ」
→これは彼が自分をそう表現した言葉をそのまま借りてますね。内容も友達関連だったので使わせていただきました。

ふう、なんか振り返ってみたら「あれ?こんなけだったか」ってなってますね。めっちゃ多いつもりだったので、こんなもんだったか、と。いや、充分多いし充分気持ち悪いんですけどね。
うーん、でもなんか引用が上手く歌詞の文脈にハマると気持ちいいんだよなこれが(反省の色なし)

Bridge2

はい、ここはVerse2の続きというか。実は段々この辺から、「彼」に向けての話から「自分」の話に移行していきます。
それは単純に言いたいことなくなってきたのもあるんですけど(おい)、まあ単純に「自分」ってものに興味を持ってほしいって気持ちもありました。なので、ここから書く内容は基本的に、「自分のスタンス」の話になりますね。

突然ですが、「淋しさと煩わしさ 六畳間と社交場 行ったり来たりを繰り返す そんなシャトルランを」の歌詞よくないですか!?
ここが一番気に入ってるんですよね。というか、ずっとこの表現を歌詞で使えるタイミングを探ってたんだけども。

何が言いたいかと言うと、「一人でいたい時もあって、でも人といたい時もあって。そういう揺らぎの中を自分は生きてきたなあ」みたいな思いが僕はずっとあって。人間関係をリセットしては、新しい出会いに目を輝かせる、みたいな。そんな「馬鹿な真似」を。
それを僕はずっと「寂しいと煩わしいを反復横跳びしてる人生」とか表現してたのだけれども。反復横跳びはちょっと韻が思いつかなかったので、シャトルランになりましたね()

ちなみに、こういう淋しさ/煩わしさ、六畳間/社交場という歌詞の対比構造は、R-指定の影響をモロ受けてますね。「生業」とかね。

まぁそういう生き方は多分変わらないから、どっちも大切にして生きていこうと思うように最近なったんですよね。

Hook2

そしてラスサビです。話してることはさっきとあまり変わらなくて、ただそこに「創作」っていう自分の軸を乗っけてますね。
「自分には創作しかないんや!」ってね、この記事でも散々話しましたけども。そういう想いを込めました。

「輪を描く中で」と「鏡の前で」という対比は、先ほどの「他者といること」と「ひとりでいること」を踏襲しています。歌詞はストーリーとメロディになってますけど、言いたかったのは単純に「他人と関わるからこそ生まれる創作もあれば、他者と距離を置くから生まれる創作もある」ってこと。
そうやって、死ぬまで創作していたいなぁっていうのがこのラスサビです。

これは余談ですが、実は、本当はね。星野源の「Pop Virus」の引用も入れたかったんですよ。

口から音が出る病気 心臓から花が咲くように

「Pop Virus」星野源

音楽を奏でずにはいられない自分を表現するのにはぴったりだと思ったし、何より「病気」「ように」でフックの韻にも合う。
だけど……語感の問題で断念しました。残念。。

Outro

さて!長かった解説もこれで終わりです!もう眠い!(年内にやるとか言っちゃったお前が悪い)
最後のストリングスが入ってくるパートはほぼおまけというか。
元々は動画にも字幕を入れないつもりでした。

このアウトロのパートには、署名のようなつもりで、自分のスタンスを端的に書きました。
まず、僕のラップ(というか作詞作曲)のルーツである「櫻井翔」さん。彼が公言し、そして体現してきた「HipなPop」。自分はそれに影響された一人ですよ、といういわば出自の表明です。レぺゼンですね。
ちなみに、1バース目の「オトノハ」も彼の造語だったりします。

そして、「星になる」「網戸開けた」っていうのは僕の処女作「夏星」から綿々と続く比喩のセルフサンプリングです。初心を忘れず所信表明ってね。

最後にリピートされている「シニカルに粋がるよりリリカルに響かす」というのは、なんか自分も代名詞的なフレーズ、つまりはパンチラインってやつが欲しいなあと。そう常々思ってたので、ここで無理矢理入れました()
これを入れる相応しい曲はまた別に作るべきだとも思ったんだけど、こんな状況では次にいつ曲が書けるか分からないのでね。。
まあでも、このフレーズの解説はまた来たるべきに残しておこうと思います。


というワケで!「dawn」の楽曲解説は以上です(ライナーノーツってかっこいいからタイトルに使ったけど、なんか何度も繰り返すには恥ずかしいですね)。
こんな5000文字近くある文章をここまで読んだあなたは、相当なファンか相当な暇人でしょう。どちらにせよありがとうございます。

では、また次の記事か。次の曲で会いましょう。

良いお年を!






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