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2019年末に考える、誤った採用が招く組織崩壊とCHRO視点からの考察

「人×組織に最高の可能性を」あらゆる企業で実現することを目指す、RECOMO代表の橋本です。

毎年この時期になるとお話をいただくアドベントカレンダーですが、今年はキャスターが企画した「採用 Advent Calendar 2019」に参加することにしました。

(太刀川さん、お声掛けを頂きまして、ありがとうございます!!!)

この企画は「スタートアップから上場企業まで、採用の最前線で活動する方々が「採用」をテーマに語る」というもので、複数社で社外CHRO(最高人材リソース責任者)をさせてもらっている私の視点から見た「採用」を語らせて頂きます。

私がぶち上げたいのは、「2019年末に考える、誤った採用が招く組織崩壊とCHRO視点からの考察」という挑戦的な内容です。

企業にとって「採用」とは何か?

2019年の採用計画、2020年の採用計画は、一体どのように決まっているのか、振り返ってみましょう。

「去年はこんな感じだったから、今年はこれぐらい」

とか

「会社の数値目標がこれだから、人数割りするとこの人数かな」

とか。

そんな採用計画になっていないでしょうか?
(実はそうなんです、という声はよく聞きます)

企業にとって人材を「採用」することの意味が、「採用計画を達成するための採用」になっているのかもしれません。

そもそも自社にとって「採用」することはどういう意味を持つのか。

人員計画を達成するためなのか?

大きな目標を達成するために、組織全体の力を未来に向けて引き上げるために行うことなのか?

視点をどこに置くかで、「採用」に向けた動き方、向き合い方が大きく変わってきます。

企業にとって「採用」とは何か?の自分たちなりの考えや哲学を持つことが、そもそも組織全体のレベルを引き上げていく人材を「採用」することに、繋がっていきます。

「採用」面接で話す内容とは?

組織全体のレベルを引き上げて人材を「採用」するにはどうしたらいいか?

ポイントは面接で話す内容にあります。

面接ではどんな話をしていますか?

・現在保有のスキル?
・これまでの経歴や経験?
・会社への志望動機?

面接で聞くことがダメとは言いません。
でも大事なのは、「何のために聞いているのか」ということです。

■現在保有のスキル
これまで一緒に働いたことがないのに、本人が言う「このスキルがあります」という言葉をどこまで信じるのだろうか。

■これまでの経歴や経験
経歴は「盛る」ことができます。また、本人が言う「この経験をしてきました」という意味と私たちが捉える「こういうことができるんだな」という思いは、ほぼズレています。

■会社への志望動機
これまでその会社で働いたことがない中で、外からの視点だけで捉えた動機を聞いて、どう判断するのだろうか。熱量が高く志望動機を語る人が「優秀な人材」と定義するのは違うと思うのです。

これらはたった数時間の面接で理解することは難しく、表面的なもので判断することになりかねません。ミスマッチが起こる上位の理由が、その「人」について知らない状態で採用してしまうこと。目先の課題・面接官による主観的な「採用」の意思決定をしているとしたら、入社する人も、入社してもらう企業側も、時が経つごとにかなりのリスクを抱えることになります。そして最悪な場合、その人を起点として組織が崩壊することも起こります。

では、面接で受ける側も選考する側も双方で確認しないといけないのは何か。

・これまでどんな人生を歩んできたのか
・人生で起きた出来事をどう捉え、どう行動してきたのか
・これからの人生で、誰と、どこで、どんな時間を過ごすと、よりハッピーになれるか

「誰と、どこで、働くのか」は間違いなくその人の人生に大きく影響します。だからこそ、面接というお互いが判断する場で語り、確認するのは「人生」「価値観」であるはずです。

人生では様々な出来事が起こり、それぞれの場面で判断し、意思決定します。その過程の中で価値観が形成されます。それが自分たちが創りたい世界観や文化とどれほどマッチしているのか。

これが大事なポイントになります。

どの時点を見て「採用」するのか?

ベンチャーで急成長している企業によくある話です。

部署の所属長から人事に相談があります。

所属長:「こういう人を採用したい!」

人事:「分かりました!動きます!」

こういう会話から採用活動が動き出します。

あらゆるルートにアプローチして、応募者があり、書類選考、面接選考、内定提示、入社承諾を経て、入社に至ります。

現場の所属長から、該当する人材が入社する時に、こう言われます。

所属長:「ありがとう!入社まで動いてくれてありがとう」

そして数カ月後にまた声を掛けられます。

所属長:「思っていた成果がなかなか上がらない。採用を見誤ったのかな・・・」

どこかで、何かが違っているからこそ起きるわけですが、原因は分かりますか?

ポイントは、「どの時点を見て採用するのか?」にあります。

「こういう人を採用したい!」と言われてから、入社するまでに最速でも3ヶ月ほどは掛かります。(現職中の方に内定を出すことが多いので)

急成長している企業では、状況がおよそ2週間単位で変わっていきます。それに応じて採用基準や求める内容も微妙に変わっていきます。つまり「採用したい」から「入社まで」が3ヶ月あるとしたら、6回内容が変わっているわけです。これでは求める人材が状況にベストマッチする確率は相当落ちると思います。

「採用」する時は、「未来の姿」を想像していく必要があります。もちろん先のことを想像するのは難しいです。でも、想像するヒントは至るところにあります。社長を始めとした経営陣の話、営業状況、キャッシュの状況という社内の情報から、社外での状況、たとえば求人市場や企業のニュースなどを知ることで、できるだけ少し先の未来の状態を想像するようにします。

その未来の状態に必要な組織は?人材は?というところから考えて、「採用」活動を行うようにすると、未来の時点で求められる人材が見えてきます。(こういう分野もCHROが担う役割になります)

先回りで「採用」ができる企業の成長スピードは確実に速くなります。どんどん未来に向けて突き進むことができるようになるでしょう。

2019年末に考える、誤った採用が招く組織崩壊とCHRO視点からの考察

年が明けると2020年になります。

ちょうど来年から40年後の日本は、本当に生き残るのが厳しい時代になっていくと想定しています。

人口は1.2億人から、8600万人に減少します。
労働人口は7200万人から、4300万人に減少します。

仮に企業の数が今と同じだと仮定すると、人手不足が必然的に起きます。企業は溶けていくわけです。

おそらく自社だけでは生き残れないでしょうし、人×組織、人×仕事の関係も変わっていくと思います。

具体的には、「人が組織に所属する」という今までの形が変わり、「プロジェクトが立ち上がり、そこに人が参画する」という形になるでしょう。また「仕事に合わせて人が振り分けられるワークシェアリング」という状態が減っていって、「人に合わせて仕事が振り分けられる人材シェアリング」という形が一般的になっていくと考えています。

「人の可能性・価値」を最大限に発揮してもらうにはどうしたらいいか、を考え抜いて、実行したところが生き残ることができます。

「採用」という視点で捉えると、今だけを見て採用している組織は崩壊(溶ける)していくことでしょう。

未来を見て、今すべきことを決断する。

私が社外CHRO(最高人材リソース責任者)として企業から依頼を受けてやっているのがまさに「視点を変える、視座を変える」ということです。

本当の本物しか生き残れない時代になります。

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