2023年初の投稿になります

皆様、いかがお過ごしでしょうか。新年はとうに過ぎ、4月となってしまいました。更新をすっかりサボりきってしまっていまして、自分としても抱えている現状をどう書いていいのか迷っていました。そのために筆が進まない毎日でした。ですが、自分の中でも一区切り付きましたので、更新したいと考えて筆を取ることに致しました。

私個人としては、農場と今の関係を断ち切るわけではなく、”独立採算制”という形を取ることに致しました。誤解されることも多いのですが、農場を離れるわけではありません。自分の可能性も広げていきたいと考えての決断です。

キッカケは昨年の秋。毎週金曜日を自身の休養日として設定させて頂いておりましたが、その度に

「自分は今のままでいいのだろうか―」

と思うことが多くなってきました。農場のことはもちろん好きですし、愛情もあります。元々はU代表とS姉さんと一緒に二人三脚でやってきたという自負はあります。もちろん、僕がそう考えているだけですから、2人が僕のことをどう思っているのかは分かりません。業務は淡々とこなしていくことは当たり前ですが、若いスタッフたちが増えてきたことも相まって、「自分が裁量を持ってやれる領域も少ない。言ってはいけないとは思うが、つまらなくて仕方がない。達成感もない」というのが本音でした。無論、誰のせいでもありません。自分自身の力不足なところでしたり、働きかけが足りないところもあったでしょう。そして、言いたいことを言いたいだけ言ってきて、周囲に煙たがられているであろうことも感じたりしていました。そうなってくると考えることは一つでした。

「農場の今後を考えたら、自分が居続けるよりも一旦違う形で仕切り直した方が良いのかもしれない。自分が尽くし続けることが責任を果たすことだと信じて止まなかったけれども、そう思い込んでいたのは自分だけであって、スタッフたちが見てる景色とは全く違うものなのかもしれない。このまま続けていっても自分としても、周囲としても不幸なだけかもしれない。今の現状は快適と言えば快適なのかもしれないが、自分がギリギリの中で成長している感覚はない。もう一度、10年前のようなヒリヒリする感覚を味わってみたい」

そう考えていた日々を送っていた中で10月に入る直前に「独立採算制を取るか」と知らず知らずの内に口に出していました。思い返せば10年前は人が僕とU代表しかおらず、そもそも若者もいない。つまりは僕が働かざるを得ない状況でしたから、良くも悪くも忙しかった。しかし、今はそんな状況ではなくなってしまい、そのことに対して物足りなさを感じていたのかもしれないと自分の中で腑に落ちました。役割分担で楽にはなったものの、その分、物足りなくなっている自分がいました。

初めに打ち明けた時は一寸驚かれましたが、淡々と”その日”のための手続きが取られ始め、11月から独立採算制を取ることになりました。正直話しますと、僕自身、やりたいと思うこともあり、試してみたい手順も多々ありました。それを日々、誰に読まれるわけでもないノートに書き溜めていたのです。もちろん、不安はない訳ではありません。自分の力を試していきたいと考えるならば、既存の枠の中で力の限り叫ぶよりも、自分自身が新しい場所を作って、そこでやればいいだけの話です。

恐らくは誤解されることも多いでしょうから、申し上げさせて頂きます。農場の人たちのせいではありません。”こういう”選択をしたのは僕自身の感情の問題です。10年間、農場を良くしていければという一心で駆け抜けて来ました。それも一巡して、「そろそろ、自分自身の未来のことも考えて良いかもしれない」と思えるようになれたのもまた、10年間の中で自分自身の取り組んできたことに対する結果が良いか悪いかは他の方々の評価に委ねることにはなりますが、自分自身の中でも一つの区切りとなりましたので、新しい道を歩み出すことを決意した次第です。

当たり前の話ですが、農場は僕がいなければ回らないわけではありません。また新しい農場になっていくでしょう。僕は僕でやれることをしっかりやって、結果を出すことを念頭に手を結べるところは結んでいく。やがては農場の中で同じように「独立採算制でやりたい」というスタッフが出てくるかもしれません。そういう未来を見据えつつ、動いていくことについてはU代表もS姉さんも反対するどころか、「古泉さんがモデルケースになっていければそれでいいんじゃない?」と言ってくれたので、そこは有り難く思っている。もちろん、本心としては二人共に複雑極まりなかったことは承知の上なので、それでも言って頂けたことについては大きな意味があったと考えております。

無論、10年間もいましたから周りのスタッフたちもいつまでも僕がいるような気がしていたかもしれません。僕自身も10年後も農場で未来を見据えていたいと思っていた気持ちに嘘はありません。最初は制約もある中での挑戦でしたが、ようやく播種した葉物も収穫始めることができたりしたことで、「ああ、ようやくここからなのだな」と気持ちが引き締まる感覚がありました。この初期衝動は忘れずにいたいと、葉物を収穫しながら考えた次第です。

独立採算制になったとはいえ、農場と協業していくことに何ら変わりはありません。しかし、今までのように相楽左之助の如く、農場に入り浸るような居候生活もしていられませんでしたから、葉物が収穫し始めることができている今現在は、正直安堵しているところです。これからナスとキュウリ、スイカの播種と接ぎ木作りも始まってきますので、一層健康に気を付けて参ります。

形は変わりましたが、僕自身は農業従事者として励んでいくことには何ら変わりはありません。関係者の皆様方、今後ともどうぞよろしくお願い致します。


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