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【仕事のこと】補助金実務を俯瞰する

 おはようございます。久しぶりに仕事の話に戻ります(笑)今回はどちらかというと、公務員の仕事に関心にある方向けです。

これまでの記事は、こちらにまとめております。
https://note.com/yuza1024/m/m5ec1d1e5214e

 いま、巷では次年度予算や今年度補正予算の関連した補助金が話題になっているところもあります。そこで、今回は役所側からみた実務について、全体を俯瞰してみようと思います。

 今回も、一例ですので、国や都道府県、市町村によって、あるいは補助金制度によって細部が異なることがあります。(だいたい、何かが異なります)詳しくは、制度や自治体ごとに改めて確認する必要があること、ご了承ください。

【補助金の目的】

 大前提の話です。「補助金」の定義については、実は法律などで明確に定地がされているものがないようです。少なくとも、国では法律で定義されているのは、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」で適正な執行に関するものしかないようです。
 ただ、実態としては、何らかの政策を実現するために、政策実現に合う「何か」を行う団体や事業者に対して、その「何か」を行うための経費の一部を補助するものが多いと思われます。

 個々の補助金については、制度ごとに別途「補助金交付要綱」が決められることが多いです。目的や対象経費、補助率、事務手続きの流れは、こちらに明記されることが多いかと思います。

【補助金の事務手続き】

 制度にもよりますが、補助金のよくある事務手続のフローは以下のとおりです。ここでは、民間事業者がある補助金を獲得することを想定しています。今回は細部は省きますが、経費の使途や行った「何か」に対する結果は詳細に報告を求められます。

(1)申請書の作成と提出(事業者→国・自治体)
まずは交付要綱などの条件に従い、申請書を作成し、申請することから始まります。下記(2)に関連して事業計画書を求める場合が多いです。提出先は原則、国・自治体ですが、国・自治体が事務手続きを委託した民間事業者の場合もあります。

(2)審査と交付決定(国・自治体)
申請内容をもとに、国・自治体で審査して交付の是非を決定します。場合によっては、事業者に事業計画のプレゼンをしていただくこともあります。(研究開発型の補助金に多い傾向があると思います)

(3)決定通知(国・自治体→事業者)
審査結果が事業者に通知されます。たいていの制度では、ここで採択決定の通知がもらった時点で、対象の「何か」を始めることができます。この時点より前に使った経費は対象外になることが多いので、注意が必要です。

(4)補助事業の実施(事業者)
事業者が申請内容にそった「何か」を実行していきます。制度によっては、定期的に進捗のチェックが入ることもあります。
ただし、申請内容に対して計画や経費の使途の大幅な変更が判明した場合、すぐに国・自治体と相談する必要があります。

(5)実績報告・検査(事業者→国・自治体)
「何か」が完了したら、その実績を報告書にして提出する必要があります。提出にあわせて、国・自治体が実地調査を行い、報告書どおりをしているか、経費の帳簿が全部残っているか確認します。
ここで、不備があると是正を求めるか、最悪の場合は経費の一部を認めない場合もでてきます。

(6)補助額決定の通知(国・自治体→事業者)
上記(5)までの確認が済んで、初めて補助金として渡す額が決定します。これもたいていの場合、文書などで通知されます。

(7)補助金の支払い(国・自治体→事業者)
ここでようやく、補助金が支払われます。「何か」が完了してから、実績報告や検査の期間とあわせて1~2か月かかることが多いかと思います。

(8)(場合によって)アフターフォロー(国・自治体→事業者)
制度によっては、補助事業となる「何か」が完了後、数年間、その後の状況を定期的に報告する必要があります。「ものづくり補助金」なんかがそうだと思います。場合によっては何らかのヒアリングや事業協力の相談がある可能性もあるかもしれません。

というわけで、申請するまで、採択されるまで、補助される「何か」を実施中、実施後とあらゆる場面で、いろいろな事務作業が発生してきます。

【補助金の主な特徴】

 上記の事務手続きもそうですが、補助金によくある特徴です。知っているものもあれば、「え、そうなん!?」というのもあるかもしれません。補助金制度全てに当てはまるわけではありませんが、参考になれば幸いです。

○精算払い

 補助金はたいていの場合、「後払い」です。補助対象の「何か」を実施後、その実績をみて対象経費の一部を補助金として支払われます。
 なので、補助対象の「何か」を実際に実行している間、その必要経費は「自腹」で一旦、立て替える必要があります。最近は、その旨公募要領に明記されることが多くなりましたが、ここは注意が必要です。場合によっては、期間中の資金調達の検討が必要かもしれません。補助金制度によっては「概算払い」といって、事前に支払ってもらえるものもありますが、補助金全体でみれば、レアケースだと思いますし、「概算払い」では使わなかった経費や認められなかった経費に相当する補助金は返還を求められます。

○経理処理

 補助対象の「何か」を実施する場合、その期間に注意する必要があります。補助金制度によっては、その期間内に経費の「支払完了」までできていることを要求されます。例えば、よく事業者でみられる「月末締め翌月●日払い」のような条件で通常の取引を行っている場合、補助対象期間の終わりに近づいていると、「モノは来たけど、支払は補助対象期間後なので、モノの購入経費が補助対象してい認められない」ケースが発生します。なので、場合によっては、経理処理で通常行っている処理とは違う処理をする必要が発生するかもしれません。

○計画変更

 補助対象の「何か」を始めたものの、社内外の情勢が変わって、計画を大幅に見直さなけばならない場合、申請内容から大幅に変わると交付決定を取り消されるリスクがあります。補助対象の「何か」を実行する期間中は、申請内容に縛られる形になることが多いので、情勢にあわせて柔軟にやり方を変える事業をしている事業者にはリスクになるかもしれません。事業計画と補助金の公募要項をよく比較して、申請する/しないや、事業計画のどの部分を対象に申請するの判断をするのがいいかと思われます。

補助金制度によって、上記のことが必ずしも当てはまらないケースもあるかもしれません。最近はCOVID-19の対応で柔軟に対応する制度も出てきているため、制度ごとに、その交付要綱や公募要項をよく確認して対応することをおすすめしたいです。

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