5月 東京

上野公園に行ってみた。
こんな状況だが、少しぐらい運動しなければと思った。
こんな状況で少し遠出をすることにワクワクしていた。

10kmほど歩いた。
道中の街には、想像より多くの人が溢れていた。きっと彼らは少しでも日常を維持しているのだ。決して繁華街とは言えない地元の商店街には、行き場をなくした生活がさまよっていた。

湯島から不忍池に着く。
舗装された地面と、プラスチックの車輪の摩擦の音が心地よいノイズを放っていた。
まるで最近の状況など気にしていないかのように、彼らは風を切る。

大きな広場に着いた。
久しぶりにこんなにも多くの人を見た。2、3人の人の塊が連なっていた。半分は家族連れで、もう半分はカップルだった。
幸せが、形をなしてそこにあった。
普段なら直視を避けるほどの眩しさも、今は心地よかった。

誰も。
誰も褒められた人ではない。
彼らはもっと自粛をするべきで、
彼らは感染防止を妨げる元凶そのものだ。
彼らは世間にとってあまりにも幸せなのだ。
私たちは今、そんな世の中に生きている。
他人に不幸せを願うことこそが正しいとされる、そんな世の中に。

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