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50からの迷走

どこに住もうか、何をしようか。
切実な悩みだけど、贅沢な悩みだと思うことにしてる。
転職出戻りありつつ25年以上勤めた会社を50目前で辞めて、サンクトペテルブルクに来た。毎日3時間、シフト制でリモートのカスタマーサポートの仕事に変えた。当初はまるで隠居生活のようだった。
何もかもがアドベンチャーで、しかも春夏秋冬、11月以外は本当に美しい街だ。何度同じ景色を見ても、まるで初めて見たかのように、なんて美しいんだろうと、いたる所で顔をあげて息を飲む。こんなに好きなのに。
ロシアは手強い。簡単には心を開いてくれなかった。ずっとビザや居住権に頭を抱え、ようやくようやく一時居住許可(РВП)取れて、やっとやっと暫く落ち着ける、まずは本格的にロシア語習ったり、他の習い事もして友達も作りたいと希望を持ち始めた矢先、軍事侵攻が始まった。実際見た目の生活は何も変わらず、領事館もまだ空いてるし、いつでも出国できる準備だけして、ギリギリまで居ようかと思ってた。
会社がセルビアに別会社を設立することに。パートナーはおなじ会社で、そこの主力メンバーみたいな感じだったから、セルビア行きに白羽の矢がたった。元々海外に出たいと思っていた人だったのと、徴兵の事もあり、引き受けた。私にどうするか一応聞いてはくれたけど、私に選択肢はなかった。所謂パワハラだ。決まってからは1か月足らずで、夏服少しだ持って猫連れて、セルビアまで2500キロ以上の車の旅が始まった。猫用の飛行機の予約が先までうまっていたからだ。とりあえずセルビアで数か月過ごして、私の居住権の年次通知もあるから、その時サンクトペテルブルクへ戻って、セルビアが気に入れば残りの荷物やアパートを片付けて、セルビアには住めないと思えば、サンクトペテルブルクに戻ればいいと思ってた。
結果として、セルビアは生活するには本当に良い国だ。物価安いしみんな親切だし、英語通じるし。ロシアより断然理解できやすいプロセスが多い。役所や不動産とか。良くも悪くも小さくて貧乏な国なんだろうなと思える事にちょくちょく遭遇する。外国人に対する詐欺が横行している。住みたいとは思えなかった。会社の状況も変わってきて、転職の機会もあったりで、一瞬、ギリシャかUAEに行くかもしれない事になりかけたけど、淡い期待だった。
今、居住権の年次通知でサンクトペテルブルクに戻ってる。当初2か月半滞在予定が、アパートをどうするか決まらず、更に2か月半以上延ばした。セルビアに住む意味が見い出せない。サンクトペテルブルクに住みたいけど、いろいろ難有り過ぎる。言いたくないけど、一人でここで生きて行くには茨の道だ。
少し前からふと思ってたこと、
生まれ変わったら、絶対獣医師になる。
今からではさすがに無理かなと、来世の夢にした。きっかけは、猫を飼い始めて、あまりにも感情豊かで驚いたし、こんなに猫を愛せると思わなかった。そして、Youtubeでトルコの獣医師さんのチャンネルがあるんだけど、すごく動物にフレンドリーで尊重して接している姿を見て、そう思った。
もう一つは、海の見えるところで、ゆっくり過ごしてこの生を締めくくりたい。願わくば大らかな心の広い誰かパートナーと共に海辺で毎朝コーヒーを飲めたらいい。
今、病室のベッドの上で、退院しても完治まで最低あと3.5か月かかるといわれてるし、その間にロシア語もっと勉強して永住権の準備してみようかなとちょっと思い始めた。
どうしようかな。
とりあえず今の小さな小さな私だけの城、最愛の猫が待つ私の部屋へ帰りたい。

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