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【私的読書生活】紙の本のいいところ

紙の本が好きだ。

デジタルの方が便利なことはわかっている。

軽い
ほとんどのものがすぐに手に入る
場所を取らない
出かける先に何冊でも持っていける
読書好きにとってメリットしかない
きっとそのうち紙の本はなくなる

そう言われて久しい。

でもなお紙の本は不動の地位を保っている。

読書系SNSでのつぶやきでも、タブレットなどでの読書写真はあまり見かけない。

紙の本には電子書籍にはない何かがある。

私の思う紙の本の魅力をいくつか挙げてみよう。

①質量による満足感

まずは紙の本を手で持つということ。
机や膝の上で読むこともあるだろうが、何はともあれその厚さや表紙の質感を味わうことになる。
人はきっと本能的に重いものが好きだ。
それは狩猟採集の際の獲物の重さだったり、農耕牧畜の際の収穫の重み。
何万年もの営みの中で蓄積された、しっかりとした重さを味わうことの喜び。

今や何でも軽量化の時代。
便利さと認めるし、その恩恵も受けている。

その中で紙の本だけは、今もなお、その重さをもってして、知識や娯楽の実感を与えてくれる数少ない存在なのだ。

②手の記憶

すべすべ、つるつる、しっとり。
装丁や出版社、印刷所の工夫と努力で、さまざまな表紙の本がある。
画一的に思える文庫や新書にも、どこかそれぞれの特徴がある。
図書館の本ならラミネートの触感がある。
それらが本の記憶となる。

また内容についてもしかり。
頭でページを覚えていないのに、確かこの辺に書いてあった…とパラパラめくって見つけられた経験はあるだろう。
これは脳科学的な視点から言っても、ありうることだと思う。

ペンフィールドのホムンクルス

見ての通り、手が占める割合は感覚、運動共に大きい。
これが脳との入出力との間に影響しないわけはない。

頭だけで覚えるのが難しい時、手による記憶はそれを助けてくれる。

(それを言うと、手書きで書くことのメリットも大きいのだろう。でもそこは自分の字のまずさのせいで、ストレスの方が強くなってしまう。よって感想書く時にはデジタルの方が私には向いているようで、その辺りは折り合いをつけてやってます、笑)

③本との間の親密さ

電子書籍で読む時には当然端末が必要。
そしてその端末には充電(電気)が必須。
よってなんらかの影響で電気が使えなければ、読むことが出来ない。

かたや紙の本は、開けばもうそこにある。
もちろん暗闇や夜は読めなくなるけれど。
「蛍の光」に歌われているように、何らかの薄明かりでもあれば、なんとか読める。

また紙の本ならば、余計な通知や誘惑が入ってくることもない。
本との間に蜜月を持ちたいのであれば、紙の本だけ持っていくに越したことはない。

④積み上げる蓄積

人間、目に入ってこないものは忘れがち。
冷凍庫の底、クローゼットの奥、存在を忘れている何かがある。
読書についても同じだ。
タイトルすら目に入らない書籍は持っていることすら忘れがちだ。
積読にも一定の効果があるという。
常にタイトルなどが脳に刺激を与えることで、そこにある知識や技術についてのネットワークが生じる。
検索すればほとんどのことが調べられる昨今だからこそ、多くのキーワード、ネットワークが外部ストレージ(本棚)に蓄積されていさえすれば、あとはどうとでも活用できる。

⑤満たされる所有欲

ミニマリスト、断捨離家には一笑に付されてしまうだろうが、それでも人には収集蓄積の欲望が少なからずある。
それが人類が発展してきたひとつの要因であり、結果でもある。誰もが修行僧のように托鉢と糞掃衣で生きてこれるのなら、今の世界にはなっていない。
今、世の中の流れは所有しないことの価値観を見出しており、その意義もわかっている。場合によってはシェアやリースだって利用している。

それでも所有欲をゼロにすることは難しい。

本なら場所は取るかもしれないが、常温保存で可能だ。
そして自分が得てきた知識、あの時の興味のかけら、別世界への扉がほんの20×15×5センチくらいの直方体に収められており、それがいつでも手に取れる場所にあるとしたら。
なんて有益で無害な所有欲だろう。

まだまだ言い出したらキリがないが、紙の本の魅力について語ってみた。

とは言え

ここまで述べてきたこと全て紙の本のデメリットにもなりうる。

重けりゃしんどいし場所もとる。

それでもその魅力が上回るものが、紙の本にはあるはずだ。

少なくとも私はそう思っている。
だから今日も紙の本を手に取る。

ちなみに今日は本の日だそうです。

本が並べば、そこはもうあなただけの本棚。
まずは一冊並べてみませんか?


最後までご覧くださりありがとうございました。

#読書
#紙の本
#アナログ
#本の日

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