総領の甚六－自己紹介に代えて

私は男三人兄弟の長男です。

私はどちらかというと、ぼんやりしている方です。

総領の甚六という言葉があります。

いまどき、長男も次男も三男もないんですが、わが三兄弟に限って言えば、

私は総領の甚六といえると思います。

次男と三男はしっかりしています。世の中のことをよく知っているように見えます。

私は、住んでいるところが里山ということもあるでしょうが、世の中のことに疎い方だと自分では感じています。

私は十八で就職してから六十で定年退職するまで、一度も昇進することはありませんでした。まあ、私としては肩書にこだわらなかったのか、仕事ができなかったのか、その両方か、となりますが、気が楽といえば気が楽でした。弟たちは、なかなか昇進しました。

今は三人とも定年退職しています。授かった時間を、甚六は自給自足をめざし、弟たちは再就職し、それぞれに楽しみながら送っています。