『月曜日の抹茶カフェ』

私は静寂の中にいる。

本を開く、その時、高い高揚感に包まれる。

『月曜日の抹茶カフェ』もそんな一冊だった。

なぜなら、単行本のそでの部分にこう書いてあるから。

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川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。

その「マーブル・カフェ」が定休日の月曜日に、一度だけ「抹茶カフェ」を開くことに。

この縁は、きっと宝物になる。

人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押している。

一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ12ヶ月の心癒されるストーリー。

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「この縁は、きっと宝物になる」なんて…!

この本がより一層輝いて見える。早く登場人物たちに会いたくなる。

登場人物同士の縁だってそうだろうけれど、読者である私との縁もこの先宝物になる予感✨


この本で出会った登場人物の中で一番私が好きなのは、「8  抜け巻探し」の富貴子。
この章の主人公ではなく、主人公である「おじさん」の奥さん。
教師を長年やってきて、サバサバとしていて、芯が通っていて…。

かっこいい女性そのもの。

おじさんは、富貴子さんにずっと家計を支えてもらっていて、それを申し訳なく思っているのだけれど、そんなことは富貴子さん自身全然気にしていない。

むしろ自分は、好きな仕事を長年自由にやってきたと話す。


…好きな仕事とは何なのだろう。長い間ずっと続けられるような仕事。
私はとても小さい頃から、「好きな仕事」「やりがいのある仕事」に惹きつけられてきた。

なぜなら、一人の漫画家に出逢ったからだ。

その漫画家は、本の中で「これが私の天職」「ずっとやり続けていきたい。生涯現役で、おばあちゃんになっても、死ぬその直前まで漫画を描いていたい」と言っていた。

なにそれ、かっこいい。
そんなにやりたいと思える仕事があるのなら、私もやりたい。

幼い私は、漫画家になることを夢見た。

時が経って、現実を見るようになって、私に漫画の才能はないと気づいたけれど、「好きな仕事」や「やりがいのある仕事」というものはずっと頭の中でこだましていた。

今の仕事(事務職)に就き、3年が経過したが、やりがいみたいなものはなかなか見出せなかった。それどころか、ミスや失敗もまだまだしたりする。

この仕事を辞めたいと泣いたり、転職を考えたりしたけれど、お金や生活のことを考えると、最初の一歩が踏み出せず、毎日憂鬱な気分でいる。


だから、何年も前からおじさんのことを見守ってきた富貴子さんの「このままじゃこの人、壊れてしまうんやないかなってそっちのほうが心配やったよ」という言葉が、私の心にすとんと落ちてきたのかもしれない。

今まさに心が壊れそうな私への言葉だとも思ってしまった。

私にもそうやって見守ってくれている人がいるけれど、なかなかその人の言葉を心に落とし込むことができないでいる。

そんな私にも、富貴子さんの言葉は届いてきた。
この一文を読んだだけで、富貴子さんも長年色々なことがあったかもしれないけれど、紆余曲折を経て、今おじさんの「やりたいこと」「好きな仕事」を応援したいと思っているのだな、とても強くて心の温かい人なんだなと、心がほっこりした。



このように、ほっこりできるお話が12ヶ月分もある!

ぜひ一度、『月曜日の抹茶カフェ』を読んでみてほしい!

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