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不便は名探偵の母【雑記】

数十年ぶりに英国ドラマにどっぷりつかっている。

自粛期間にAmazon prime videoでひたすら視聴。英国のクライムドラマ、やっぱり好きだ! なぜ? と、視聴をしばらく止めて考えてみたら答えが出た。もしよかったら、この5作をためしていただけないかしら。

『ニュー・トリックス』
『ライフ・オン・マーズ』
『アッシュズ・トゥ・アッシュズ』
『ミステリーinパラダイス』
『ブラウン神父』

登場人物たちのかもしだすウイットやユーモア、皮肉、ファッション、宗教や土地柄など背景に違いはあれど、正統派英国ミステリードラマのこの5作には大きな共通点がある。

「ものすごく不便」

なのだ。

『ニュー・トリックス』
現代(放送当時)のロンドン警視庁エリート警視(女性)が左遷されたチームの部下は、退職した元刑事たち。持病の話してるか、老いてなお女癖が治らないとか、アルコール依存症治療中とか、とにかくめんどくさいおじいちゃんたち。扱うのは3、40年前の未解決ケース。データは紙が多く、目撃者や関係者などルートをたどるのも死んでたりボケてたり、大変。老人だから走るのも大変。いろいろ大変。

『ライフ・オン・マーズ』『アッシュズ・トゥ・アッシュズ』
これは別のドラマですが、実は話は続いています。1973年、1981年にタイムスリップした現代(放送当時)の刑事。ほんの2、30年昔、という設定が絶妙で、できそうなのにできないことばかりだし、女性差別人種差別などさまざまなハラスメントがあからさまに残っている。(邦題は時空刑事、とか、キケンな女刑事、とか、なので検索はそちらで)。

『ミステリーinパラダイス』
現代(放送当時)の霧雨の都ロンドン警視庁から常夏の小島に左遷され、環境には馴染めず、エアコンもなく、検死もラボも他の島に運んで翌日結果を送ってもらうしかなく、基本的に紙の書類とホワイトボードで捜査するしかない警部。

『ブラウン神父』
ブラウン神父の舞台は原作の1910〜1930年代から時代を進めた。神父は第一次世界大戦には兵役、第二次では従軍神父を経ての1950年代の田舎。上記3作以上に捜査手法は限られる上、警察に鬼のように邪魔者扱いされながら、自転車で走りまくる。

そして、英国ではアメリカのように銃を使わない。ほとんど。民間人はもちろん、刑事もだ。「なんで拳銃なんかもってるんだ?」って容疑者に質問するんですよ、刑事が。アメリカだったら民間人でも持ってるの珍しくないですよね。

不便だから、知恵や経験や記憶や人脈などをひっぱりだし、チームワークの空気感から解決を導きだしたりと、名探偵、名刑事、名ドラマが生まれています。

イチオシは、これぞ英国のユーモアたっぷり、キャラクターが全員最高で10年近く同じメンバーで続き、かつ、ミステリーとしてもしっかりしている『ニュー・トリックス』ですが、気楽にみられるのは『ミステリーinパラダイス』。南国の景色も気持ちいいしね。

また自粛自粛がくるかもしれず。どうぞ、ユーモアたっぷりの英国クライムドラマの世界へ。


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