【4ヶ月で2.2倍】 カウルをグロースさせるために実践した3つのこと
こんにちは、UXデザイナーの古里です。
2015年から3年間所属していたrootを退職し、2019年1月からINSIGHTという屋号で活動をはじめました。
rootとはパートナーとして関わりながら、中古マンション提案アプリ「カウル」のプロダクトマネージャーとしてHousmart(ハウスマート)にジョインしました。
カウルで最初に取り組んだのはグロースハックです。今回はグロースハックを行う上で実践した3つをご紹介します。
結果、4ヶ月でOrganic経由の初回見学率を2.2倍成長させることができました。これからグロースハックをはじめる方の参考になれば嬉しいです。
改善の結果、アプリ内の体験がどれくらい良くなっているのか?を確認するために「Organic経由の初回見学率」をモニタリングしています。Organic経由とは、ペイド広告以外のApp StoreやGoogle PlayからアプリDL&会員登録したユーザーを指します。
なぜ4ヶ月で2.2倍成長できたのか?
短期間でグロースできた要因を分析すると、以下の3つに整理できます。
①施策の優先度づけ
カウルではPdMが施策に優先度をつけ、順次対応していきます。優先度は以下のマトリクスを使って決めていました。
「効果軸」と「コスト軸」で施策をマッピングし、左上にマッピングされた施策から取り組みます。
ただ、左上にマッピングされる施策は非常に稀で、ほぼ9割が△のエリアにマッピングされます。
では、どうすれば施策効果が高く、実装コストが少ない施策を企画できるのでしょうか?
試行錯誤の結果、△にマッピングされた施策の (1)実装コストを下げる か (2)施策効果を上げるの2つに着地しました。
(1)どうすれば実装コストを下げられるか?
実装コストが大きくなってしまうは、最初から「理想形」を実装しようとしているからです。理想形を最初から実装するのはおすすめできません。
なぜか?
まず、施策の成功率は低いです。成功したとしても指標が1~3%改善されるくらいで、非常に地道な取り組みになります。
大きな施策には、時間と人数が必要になりますし、成功率の低い施策に大きなリソースをいきなり投下するのはハイリスクです。
実装面でいうと、施策が大きくなるとレビュー範囲も大きくなります。バグを載せたままリリースしてしまう可能性があります。
また、施策が大きくなると機能同士のひも付きが複雑になり、バグを発見できたとしても修正に時間がかかります。
理想形を最初から実装するのは、リソース管理や開発の視点からも避けたいところです。
私がおすすめするのは「課題を解決できる最小サイズの施策をリリースする」ことです。
仮説検証を繰り返しながら段階的にリリースするため、リスクを最小に抑えながら成果を最大化できます。
これはMVP(Minimum Valuable Product)と同じ考え方です。
MVPとは、製品を提供する上で必要最小限の機能のみをもつ、もっともシンプルな製品です。一般的には、「顧客価値があり、利益を生み出せる最小限のもの」と考えられています。MVP(Minimum Viable Product)とは?実践するメリットと検証方法
(2)どうすれば効果の高い施策を企画できるか?
手法としては 対象をCVしやすいユーザーに絞る と CVに近いエリアから改善する の2つがあります。
カウルのユーザーは、(A)買いたいマンションが決まっているユーザー と (B)マンションを比較検討したいユーザーに分類されます。
データ分析の結果、(A)のユーザーは会員登録後1週間程で見学申請しやすいという傾向を発見しました。
主にオウンドメディアから流入しますが、「オウンドメディア経由の会員登録後のアクティブ率が悪い」という課題も発見できたので、流入経路の改善を行いました。
アプリダウンロードの訴求画面を改善した結果、オウンドメディア経由の見学申請率が1.3倍向上しました。
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次に、CVに近いエリアから改善した例をご紹介します。
カウルのCV(コンバージョン)は見学申請完了なので、そこに近い見学予約ボタンを改善しました。ユーザーインタビューで見学はハードルが高いという声が多かったため、心理ハードルを下げるように「無料」や「強引な電話営業は一切ございません」という文言を追加しました。
また、お気に入り数と見学率の相関が高いことが発見できたので、お気に入りボタンも改善。ヘッダーから見学予約ボタンの右側へ移動し、タップしやすくしました。
改善の結果、平均お気に入り物件数が1.3倍増え、見学申請ボタンのクリック率が1.8倍向上しました。
②ワークフローの整理
グロースハックといえばUI改善やABテストが想起されますが、「プロセス」が整っていなければ、スムーズにPDCAを回すことができません。
私がジョインした2019年1月には、デザイナーとエンジニアが5名ほど増え、開発チームの半分が新メンバーで構成されていました。
早く成果を出したいあまり、責任範囲やプロセスを明確にしないまま施策を進めた結果、コミュニケーションコストが高くなり、当初予定していたスケジュールから大幅に遅れることに。
そこで、責任範囲とプロセスがひと目でわかる ワークフロー を作成しました。
タスクをワークフローと連携させることで、担当とステータスを把握しやすくなります。
結果、コミュニケーションコストが減り、PMが細かい指示を出さなくても施策をリリースできるようになりました。
余談ですが、この記事を書いているときに見つけた「GRPIモデル」が参考になりそうです。
GRPIモデルとは、組織開発コンサルタントのベックハード氏が提唱した、組織の健全性を考えるフレームワークです。具体的には、目標→役割→手順→関係性という4つの要素に着目します。チームビルディングで用いられるフレームワークGRPIモデル【組織開発】
よくチームビルディングを語るときに、「良い関係性を築こう!」みたいな話がよく出てきますが、手順(Process)も大事とのこと。
③施策の振り返り
施策はリリースしっぱなしだと意味がありません。カウルでは(毎日)ダッシュボード確認 と(毎月)施策振り返り会を行っています。
施策を評価し、数値が落ちてしまったら改善前に戻す、あまり変わらなければ経過観察、効果があれば更に改善する。
勝ちパターンが見つかったら、そこにリソースを集中させます。「選択と集中」です。
振り返りの副次的なメリットとしては、「良い方向に進んでいる感」が醸成され、チームの雰囲気が良くなります。成功した場合はお互いに称賛し合い、失敗してしまった場合は元に戻せば良い。
チームビルディングの視点でも、施策の振り返りはおすすめです。
まとめ
グロースハックで実践した3つをPDCAモデルに置き直すとこのような関係性になります。
「グロースハックをどう始めたらよいか」や「グロースハックで成果がでない」と悩んでいるPMの方は、①〜③を実践してみてはいかがでしょうか?
最後に
開発メンバーとCTO高松さんの協力があってこそ成功したグロースハックです。感謝🙏🏻
またアップデートがあったら記事を書きますので、是非フォローよろしくお願いします。ではでは。
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