【書評】「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問 〜仕事もサッカーも大事なことは全く一緒〜
こんにちは。Yuyaです。
普段はサッカーブログを書いているものですが、自分プロフィールに書いてあるとおり、本を読むのも好きです。
これからは、自分が読んでみてこれは良かったと思える本を中心に、本のレビューを書いていきたいと思います。
書く理由としては、本の紹介もありますが、アウトプットして自身の理解を深めたいという意味もあります。よろしくお願いします。
1.本の紹介、読む目的
今回紹介する本は、細谷功さんが書かれた『「具体⇄抽象」トレーニング 思考が飛躍的にアップする29問』という本です。
ざっくりいうと、全てのものごとを、具体と抽象の概念から考えようという本になります。
自分がこの本を手にとった理由は、
・話題になっている抽象化とはなぜ重要なのか
・抽象化思考のできる人間になるにはどうすればいいか
になります。
2.具体とは、抽象とは
そもそも「具体」とは何なのか。「抽象」とは何なのかを説明します。
具体
具体とは、言葉や行動のように目で見えるもの、答えのように白か黒かはっきりしていることです。
物事を具体にしていくには、「How」を問いて行くことだと解釈しています。
Howとは、どんな、どのようなという意味です。
それは一体どんなことなのか、「いつ」「誰が」「どこで」「何を」などといった、目に見える事象を言語化することで明確化していくことができます。
また数字も付け加えることもより具体的になります。例えば、私はサッカーが好きなのでサッカーに例えさせてもらうと、「今シーズン10ゴール取ります」といえば、それが達成できたかどうかは目に見えますし、それに対してどのくらいできたかが分かります。具体にしていくと、その人が何をしているのかが明確になります。
なので具体とはものさしを作るともいえると解釈しています。何か指示をする時も具体にしたほうがシンプルになり、指示を受けた側も、上記した「何を」するかが明確なので、行動の質、再現性は高くなります。
抽象
抽象とは、考え方のように目で見えないもの、概念のようにざっくりしたもの、略したもののように様々なものに置き換えられることです。
物事を抽象にしていくには「Why」を問いていくことだと解釈しています
Whyとは、なぜという意味です。
起こった物事に対して、なぜ起こったのかと深掘りしていく。これをしていくことで、物事の根本にたどり着くと思います。
そしてあらゆる事象を深掘りしていけば、共通点や法則が見つかってきます。そして要するにと一つに集約することができ、これが物事の本質になると解釈しています。本質とは「結局大事なことは何か」ということです。
なので抽象とは、目的を問うことといえると解釈しています。
サッカーに例えます。サッカーは全く同じ場面はありませんが、似たような場面はたくさんあります。ここでいう「全く同じ場面」とは具体のことで、似たような場面は「抽象」のことです。似たような場面を「なぜおこったか」を深掘りしていくと、「〇〇のときはうまくいった」「〇〇のときはうまくいかなかった」という共通点・法則が見えてきます。それを一つの言葉、考え方にまとめることで、一つの場面だけでなく、様々な場面に使うことができます。
3.なぜ抽象化が重要なのか
自分がこの本を読む目的である、「なぜ抽象化が必要なのか」について説明します。
なぜ抽象化が重要なのかというと、これからの時代は、誰かが作った正解を解くのではなく、自分自身で答えを出さないといけない時代だからです。
抽象化が重要というよりも、タイトルのように具体と抽象を行き来することが重要だと感じました。中でも抽象に関しては、特に日本人には抜け落ちているかと自分は感じていますし、より重要かと思います。
ではどういうことか。以下の4つにまとめました。
①今ある仕事はAIにとって変えられる可能性がある
これは知識量重視の時代は終わると言う意味です。単なる知識量では、人間はAIには勝てません。AIの進化は言うまでもなく、様々な仕事が手動から自動になっています。
今の時代は「知識を多くもち、今ある答えを正確に解ける人」が、いわゆる仕事ができる人になっているイメージです。
そもそもこうなっているのは、学校教育がそういうシステムで評価の仕方をしているからだと考えています。先生は生徒に知識を詰め込めさせ、テストでそれを正確に解ける順に評価していく。正確に解けないと指摘していく。
ただテストのように「誰かが決めた答えを解く力」はAIには敵わないと思います。要するに具体的な知識やマニュアルの作業は、AIにはミスがなく一瞬で答えを出せるため、とって変わられてもおかしくありません。
人間にできることは、具体を抽象化し、プラスα(応用)をすることなのではないでしょうか。
②一つの知識から十の知識を知ることができる
これは抽象は共通点・法則みたいなもののため、一つの概念から、無数の場面に置き換えられるということです。
「〇〇は〇〇である」という抽象があるとしたら、「それは何」という具体への変換をすることができます。様々な具体に置き換えられ、ということです。
本に書いてあることも抽象的に考えれば、言っていることはほとんど同じような気がします。具体的に「〇〇をしろ」といえば分かりやすいですが、基本的に「〇〇しろ」という具体はその場面でしか使うことができません。
③「具体→抽象→具体」によるステップでより本質的な問題解決につながる
これは起きた現象に対し「なぜ」と深ぼっていくことで、より根本を知ることができ、その根本からどうするか(具体)を考えることで、より本質的な問題解決になるからです。
組織において様々な問題にぶつかると思いますが、上からの表面的な問題解決を言われたところで下との考えの相違があり、側だけの問題解決になっている組織があるのではないでしょうか。
大事なことは、起きたことに対し「なぜ」と問える力なのではないでしょうか。「なぜ」と問い続け深掘りすることで、物事の根本が見えてきます。
サッカーに例えると、
「失点が多い」という具体から「なぜ」と問う
→「〇〇なときは失点につながっている」という共通点みたいなものを見つける
→その共通点に対し「なぜ」と問い、「そもそも〇〇だからなのではないか」
と、どんどん事象から概念みたいなものに変換していくことで、選手の側にたった本質的な問題解決に近づくと思っています。
④何かをやる、学ぶには必要性を考えるのが必要
これは何かをやる際は、ゴールを提示することが必要なのではということです。ここでいうゴールというのは、それをなぜやるのか、やってどんな意味があり、どうなれるのかを教える側が提示してあげるということです。
ここも「なぜ」をまずと問うこと、そしてその先にあるゴールを提示することで、ゴールに対して自分に必要なのかを考えることができます。ゴールを考えるにも抽象化が必要ということです
会社でも、それぞれに企業理念があると思います。これも企業がその事業(やっている業種)をしながらどこに向かって進むのかを示すものだと思います。やっていることがそもそも好きで自然と前のめりになれる人はいいと思いますが、そうでない人には、これにどんな意味があるのか、何のためにやるのかと存在意義みたいなものが見出せないとどこかで詰まってしまうと思います。
また勉強でも、数学は「論理的な思考を養うため」に学ぶのではないかと思っています。しかしそれを学校側は提示することがないので、ほとんどの人が「これを学んでも将来使わないでしょう」と必要性を感じれず、何のためにやっているのか分からないでしょう。
昔はこんなことは考えてはいませんでしたが(笑)、今となっては、この授業を学んで何が得られるのか、どんな姿になれるのかを提示しないと、やらされているだけで前のめりにはならないかなと。生徒はただ知識を詰め込むだけになってしまうと思います。なので日本人は答えを求めてしまうようになっていると。
4.本を読んで感じたこと
「〇〇をしなさい」のような指示は手段(具体)であり、ただそれを行うだけでは、何のためにするか、なぜやるのか、つまり目的が分かりません。その指示をこなしておしまい、思考停止となってしまいます。
逆に抽象を伝えたとしても、アクションにはつながりづらいです。ほとんどの人は「じゃどうすればいいの」と止まってしまうと思います。特に日本人は具体(答え)を求めるので、抽象概念に弱いです。また具体を示さないと、それぞれが違う行動をとってしまいがちで、まとまって行動することが難しくなります。
だからこそ具体と抽象を行き来することが大事かと思います。
この本を読んで「自分で考えられる人」とは、相手に言われた具体や抽象に対し自分で変換できる人、具体と抽象の行き来ができる人のことだと自分は解釈しました。
サッカーの話をします。サッカーには、「全く同じ場面」はありませんが、「似たような場面」はたくさんあります。
「全く同じ場面」はなくその場その場で状況は違います。そのため「この場面ではこうしよう」といちいち具体的に決めていてはキリがないと思います。
もちろん具体的なことが良い方に流れることもあります。ただ具体的すぎても状況の変化した時に対応できなくなります。具体的な指示には、目的は現れていません。指示をそのまま受け止めやる思考停止では、なぜやるのか、何のためにやるのかという目的をしらないままやることとなります。具体的な指示は目的を達成するための手段に過ぎません。
「一つの知識から十の知識を知ることができる」サッカーにおいては、「ざっくりした決まり事」のような原則や「まずはここを選びましょう」みたいな判断の基準を提示することで、選手が判断しやすくなり、様々な場面に対応できるようになると思います。
そして抽象的な概念は、誰かの作った答えをなぞるのではなく、自分で考え、答えを出すことにもつながります。サッカーも人生も大事なことは同じだと思います。
この具体と抽象の概念を考えるのに、自分はサッカーの分析がすごくつながったと感じています。
起きたことに対し「なぜ」そして「なぜ」「なぜ」と問い続けていき、ではどのようにすればいいかと具体に置き換える。サッカーを分析することは、最高の具体の抽象のトレーニングだと思っています。
自分は「なぜ起こってしまったのか」「なぜそうなっているのか」と根本が知りたいからだと思いますが、サッカーに対する興味がなければここまで問うことはなかったでしょう。
改めて「好きなことを頑張る」ことは大事だなと。「これからの時代はオタクが最強」とおっしゃっていた人がいましたが、それは好奇心からくる、この「なぜ」と問いていく力が強いからなのではと思います。
これからの時代は、より人間らしく「考える」ことが大事かと。その考えるとは、まさにこの本のことかと思います。
この具体と抽象をなぜ学校で教えないのでしょうか。すべての方におすすめできる本です。ぜひ一読を!
本のまとめ
・具体とは「How」を問いて行くこと。5w1hを問い、目で見てわかるようにしていくこと。「それはなぜか」と問うと抽象につながっていく。
・抽象とは「Why」を問いて行くこと。なぜを問い詰めると目的、本質が見えてくる。「それは何なのか」と問うと具体につながっていく。
・これからの時代は変化に対応していくため、誰かが作った正解をなぞるのではなく、自分で答えを出さないといけない時代。具体と抽象を行き来できる思考が重要。
・具体は分かりやすいが、本質(目的)ではない。具体をそのままやるだけでは思考停止になってしまう。抽象だけだと手段(具体)がなく、アクションにつながりにくい。
・自分で考えられる人とは、具体と抽象の行き来ができ、自分で解釈できる人
・仕事でもサッカーでも、いちいち具体で決めるのではなく、思考・判断の軸を作ることが重要
・「なぜ」を問い続けることで根本が見えてくる。問い続けるには好奇心が必要
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