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コミューンの米国市場挑戦について

こんにちは、コミューン株式会社CEOの高田です。

こちらのプレスリリースの通り、コミューンは米国カリフォルニア州に Commmune Inc. を設立し、2022年から米国における事業展開を開始することとしました。

これに伴い、わたし自身も来年アメリカに移住する予定です。

スタートアップで働く多くの方にとって馴染みのない意思決定だと思いますので、意思決定の背景や思いについて記します。

なぜ米国にいくのか?

我々はカスタマーサクセスプラットフォーム「commmune」を提供しています。

すべての企業が広義のカスタマーサクセスに取り組みLTV (Life Time Value)向上を実現する必要がある現代において、最適なコミュニケーションインフラとなり企業とユーザーが融け合う社会を実現することを目指しています。

2018年の創業以来、commmuneはお客様に支えられて成長を続けています。
2021年9月には19.3億円の資金調達も発表し、日本のカスタマーサクセス / コミュニティのマーケットではデファクトスタンダードである、といえる状況になりつつあります。

先日行ったユーザー向け謝恩会では、クライアントのみなさまはとても熱量高く、カスタマーサクセスやコミュニティのあるべき姿を一緒につくっていくパートナーとして当社をご評価頂いていることも実感し、ここまでやってきたことは間違っていなかった、という確信も得ました。

ユーザー謝恩会の様子 (感染予防対策を徹底して行いました)

(もちろんまだまだ未熟ですが)創業以来ずっと「あした会社がなくなるかもしれない」という恐怖と戦いながら一日一日を過ごしていましたが、ここに来て、少し先を考える時間を取れるようになりました。

そして思いました。このままだとやばい、と。

カスタマーサクセスやコミュニティの市場は、広義ではCRM (Customer Relationship Management) と呼ばれる領域のサブセグメントです。

commmuneでは、APIを用いて既存CRMと連携することでデータドリブンな顧客体験最適化ができるので、我々は多くの顧客企業様のCRM利用状況についてお伺いする機会があります。

そこで否応なしに気付かされるのが、外資系プロダクトの存在感です。

例えばSFAであればSalesforce Sales Cloud、MAならばMarketo、 Hubspot、ヘルプデスクならZendesk、Freshworks、、、などなど、多くの領域で国内マーケットは外資系プロダクトに牽引されています

そう。CRMの特徴は、文化や法律による参入障壁がなく、グローバルでの勝負が避けられないことなのです。

そこから考えると、我々が戦っているカスタマーサクセス×コミュニティ領域ではまだこれといった脅威がありませんが、このままいくと3~5年後くらいにめちゃめちゃ強いグローバルソリューションが黒船として日本市場に殴り込み、豊富な資金と実績を活かして、我々を駆逐するだろうな、と容易に想像できました。

だとすると、我々のビジョン - 企業とユーザーが融け合う社会を実現する - 達成のためには、グローバルでの勝負は避けられません。

グローバルでデファクトスタンダードとなるためには、アメリカでNo.1を獲らないといけません。
日本市場のみでいくら頑張っても、グローバルでは勝てません。

だから、アメリカで勝負することを決めました。

とにかく、わたしたちはビジョンに対して誠実でありたいのです。
「企業とユーザーが融け合う社会を実現する」というのは、日本の企業や日本のユーザーにこだわった表現ではありません。
口では壮大なことを言って、実際は小さくまとまるようなことはしたくありませんでした。
本気でグローバルスケールで世の中を良くするために、我々は仕事をしています。

なぜいま行くのか?

シリーズB前から投資をしていただいているUBVの岩澤さんやDNXの倉林さんと常に目線合わせをしていたのは、「記念受験はせず、勝てる見込みがあるタイミングで米国に行こう」ということでした。

米国のカスタマーサクセス領域に目を向けると、まだ勝者が決まっていません。ユニコーンも1社しかおらず、いまだにアーリーステージの会社が有名VCから調達しているくらい、まだまだこれからのマーケットです。

他方コミューンは、今年のはじめまでは、プロダクトレベル、組織の強さ(わたしが日本から離れるわけなので)、資金力、あらゆる側面で不足ばかりで、いま行っても負け戦になるな、という状況でした。
それがちょうどこの半年くらいで、プロダクトもグローバル競合と比べても優位性が説明できるようになり、国内チームもすごく強くなり、資金的にもシリーズBラウンドを行え、ようやく勝てる見込みが出てきました

ARRや評価額は数値非公表ですが、海外のド競合と比べても速い成長スピードです

もちろんもう少しプロダクトを磨いて…とか、チームを強化した上で…というのも考えました。

しかし米国はマーケットの動きが速いので、数年我々が日本でのんびりしていたらその間に勝ち目はなくなります。

グローバルで「企業とユーザーが融け合う社会を実現する」ために、我々にとってベストなタイミングはいまだと判断しました。

今回の意思決定は、もしかするとコミューンのIPO確率を下げる意思決定かもしれません。もっと無難に、手堅く、早く、IPOする道もあると思います。

そんな中で、より高いレベルの飛躍可能性があると信じてくださり、全力で応援くださっている既存投資家のみなさんには感謝しかありません。

個人的な思い

日本は、単体でも一定規模のあるSaaSマーケットです。かつ、マザーズもあります。
これはすごく恵まれていることでもある一方、起業家が日本から海外に目を向ける必要性を薄め、内向き志向にさせる環境でもあると感じています。

例えばインド発のフレッシュワークスという会社が今年アメリカで上場しました。時価総額1兆円で上場したこの会社のCEOは、上場に当たりめちゃめちゃシビれるファウンダーレターを書いています。

・市場に600もすでにヘルプデスクあるのにどうやって勝つの?
・マイクロソフトがParature買収したよね。あれにあなたたちは負けるよ
・チェンナイだといい人材採用できないから勝てないよ
・とにかくCRMは競争厳しいからうまくいかないよ
・インドからはグローバルSaaSつくるのは無理。
いろんなことを言われてきたけど、自分たちのミッションを信じ抜いてここまでやって来ました。

フレッシュワークスは、創業から4年のタイミングで初めてアメリカにオフィスを構え、そこから足掛け7年。創業から11年で上場しました。

また、東南アジアや韓国からも、グローバルで評価されるSaaSが出てきています。

翻って日本はどうでしょうか?

素晴らしいSaaS企業は多くありますが、ほぼすべてが日本市場にフォーカスしています。

日本は素晴らしい国ですが、このままいくとゆっくり沈みゆく船であり続けることはだれしもが気づいているのではないでしょうか。

この状況を打開するための有効な打ち手のひとつが、日本のスタートアップが国外で挑戦することが当たり前になり、勝つことだとわたしは考えています。

BtoCだと、メルカリさんやスマートニュースさんがアメリカで戦っています。

SaaSの世界では、コミューンが先陣を切ります。
グローバルマーケットで戦い、そして勝ちます。


コミューンのアメリカ進出についていろんな方と話すたびに、フレッシュワークスが言われてきたことの日本版をあらゆる角度から言われています。笑

結果で証明するしかないので、死ぬ気でやります。



あとがき

わたしは野球を見るのが好きなのですが、メジャーリーグについて、野茂がいなければイチローや大谷は出てこなかったのでは、と時折考えます。

野茂がアメリカにいくまで、日本人がメジャーで活躍するなんて無理、と言われていましたし、実際に現地の野茂評も初期は低いものでした。

野茂も最初は、日本時代の1/10以下の年俸でメジャー契約しています

また、アメリカ以上に日本側でのバッシングや活躍できないだろうという声の方が大きかった、と当時を知る人からは聞きます。

その前評判をかき消す活躍をされて、NOMOマニアという言葉も生まれたのはみなさまご案内のとおりです。

彼が活躍したからこそ、メジャー球団がより日本人選手に興味を持つようになったと思いますし、なにより日本人選手にとってメジャー挑戦が現実的な目標になりました

今後、アメリカでコミューンよりも成功する日本発SaaSの会社はたくさん出てくると思います。

そのためにも、SaaS界の野茂としてアメリカで成果にこだわり挑戦します。


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