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本の魔法:読書がもたらす人生の豊かさ

今日は読書について書いてみたいと思います。本にもいろんなジャンルがありますが、私はどちらかと言えば「雑食」です。会社を経営しているので、ビジネス書はもちろん読みますが、小説も漫画も大好き。活字中毒なのかもしれません。

コスパだけで物事を測るのは好きではありませんが、本って本当にお得だと思います。1冊1500円や2000円で、その本を書いた人が長年考え、実践してきたことに触れられる。あるいは、小説を読んで、自分の琴線に触れる瞬間を味わえる。数百ページの中で、1フレーズでも自分に響いたら、それだけで十分に価値があると思っています。

こんな話をしていて思い浮かんだのが、村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」。印象的なフレーズは、「限定された目的は人生を簡潔にする」です。読んでいて、しみじみ「そうだよなぁ…」って思ったんですよね。こんな瞬間は私にとって、まさに至福のひとときです。

長い長い文章を通じてストーリーが展開されるなかで、作家が言いたいことって多分、ほんのちょっとの場面や言葉に込められている。それを自分がいかに感じ取るか。これが小説を読む醍醐味だと思います。

若いときに読んだドストエフスキーの「罪と罰」も、思い切り単純化してしまえば「悪い人間を殺すことは、本当にいけないのですか?」という話です。そんな簡単な結論ではあるのですが、一人の作家が苦しみながら生み出したストーリーに正面から向き合い、自問しながら読み進める中で辿り着く。こうした経験を積み重ねることで、物事を深く考えられるようになると思うんです。

私は大学生のとき、やりたいことが見つからず、迷走していた時期がありました。時間だけはたくさんあったので、とにかく本を読んだんですね。そのおかげで、自分の頭で考える癖がつきました。ですから、とくに学生や社会人になったばかりの人たちには、もっと本を読んでほしい。

オススメの本はたくさんあるけれど、ポジティブになりたい人には中村天風の「運命を拓く」がぴったり。彼は松下幸之助や稲森和夫といった経営者はもちろん、大谷翔平にも影響を与えたことで知られます。要は「愚痴は絶対言うな」「前向きでいろ」という話に終始するのですが、とにかく元気になれる。彼のメッセージは「短い人生を暗い言葉で埋めるのか?違うだろう。明るくいよう」。本当にその通りだと思います。

カーネギーの「人を動かす」も良い。書かれていることは「相手の立場で考える」「議論を避ける」「穏やかに話す」といったシンプルなことだけど、今となっても全く古くならない、めちゃくちゃ大事なことばかりです。

これとは真逆かもしれないですが、太宰治もぜひ読んでほしい。太宰って、ものすごく繊細で、「そんなに考えなくてもいいのに」と思うほど相手のことを見ているし、ある意味で自意識過剰。でも、そのほんの一部でもいいから、太宰のような繊細な気持ちを持てるだけで、相手のことを思いやったり、相手の考えを受け入れたりすることができると思うんですよ。

最近読んだ本で面白かったのは、「海賊と呼ばれた男」、「半導体戦争」、「ご飯を大盛にするオバチャンの店は必ず繁盛する」です。

活字中毒はまだまだ治りそうにないな。皆さんは、どんな本が好きですか?