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経営者として考えていること(組織運営編)

最初は私一人で始めたトナリズムも7期目に入りました。今ではグループ会社の「リサークレッジ」「トナリゾート」「海外グループ会社」も含めて社員は33人、2023年4月期の売上43億円、顧客数1,000社まで成長することができました。しかし、組織を運営するうえで、数多くの失敗を経験してきたことも事実です。

思い返せば、私は人に様々な価値を提供することが好きだから会社を経営し、ビジネスをしています。そのためなら、休むことも惜しんで働ける。しかし、トナリズムの社員も含め、考えや価値観は当然ながら人それぞれ。何よりの楽しみが仕事ではなく、家族とキャンプに出かけることや漫画を読むことでも良いんですよね。

しかし、当時はそう思えなかった。私としては、自分のお金も時間も全てを投げ打ち、会社を大きくすることに必死でした。そのうちに、「自分はこんなにやっているのに…」という思いが強くなり、社員に対する傲慢さにつながったと思っています。

ホストで実業家でもあるローランドさんは、ほかの人はなぜ自分(ローランド)になれないのか、と不思議に思っていたそうです。でも、そのうち「みんな、自分になりたいわけじゃないんだ」ということに気づいた。当時の私は、社員も同じように仕事にすべてを注げると思っていましたが、それは全くの間違いでした。

ところで、私には5歳と0歳の娘がいます。毎朝、出勤前に保育園へ送るのですが、上の子によく「行きたくない!」と大泣きされます。朝は時間もないので、どうしても自転車に無理やり乗ってもらうしかない。

しかし、時間さえあれば、できる限りの説明をすることで理解してもらえる部分もあると思うんです。今思えば、「俺の考えがわからない社員がダメなんだ」と考えていた頃の私は、まさに社員とのコミュニケーションを怠り、無理やり自転車に乗せるようなことばかりしていた。

そのことに気づいてからは、社員に「自分はこう思っていた」「あのときは私が悪かった」と直接話すようになりました。経営者と社員の関係ではありますが、フラットな立場で心を開き、コミュニケーションの手間を惜しまない。今ではこのことが、非常に大切だと思っています。

ベンチャーは経営者に属人的であり、それが強みだとも言われてきました。トナリズムも、まだ私にかなり属人的な側面を持っています。しかし、会社がさらに成長していくためには、私一人の力では限界があります。会社の経営理念という骨子をしっかりと共有しつつ、社員一人ひとりに裁量権が担保され、自らが判断し行動できる組織にしていきたい。

そのうえで、僕の中には理想的なチームがあります。それは、スラムダンクの湘北高校。ミッチーが3ポイントを決めて、リョーちんはドリブルで攻める。そして、安西監督は何もしないけど、生徒たちからすごく尊敬されている。どうしたら、安西監督のようになれるんだろう。映画「THE FIRST SLAM DUNK」も観ましたが、めちゃくちゃよかったな・・・。

いずれにしても、私にはない強みを持った社員たちがトナリズムにはすでにたくさんいます。一人ひとりがそれぞれの役割を持ち、それぞれの強みを生かす。そして、会社が一つのチームとして機能すれば、「1+1」は2にとどまらず、5にも10にもなる――。理想のチームにもっと近づけるよう私自身が努力し、経営者としての器をもっともっと大きくしていきたいと考えています。