放課後に夕雲

少年はスーパーの長椅子に座っていた。放課後に友人とそこへ来たが友人は先に帰ってしまい、家に帰ることも何だか退屈で、ただひとり終わりのない待ちぼうけをくらっていた。ゲームセンターからの賑やかな音が何も楽しくなかった。ただただ不快な落ち着きを持ち、ピントを合わさずきアイスの自動販売機を眺めていた。
女性が視野の中心に入り目を逸らす。こんな不審な学生がじっーと女性を見てることを気付かれ不気味がられるのは御免だったからだ。
プラスチックの机に2個分のアイスが置かれた。近くで見た女性は若く、少年とは8つほど離れている容姿と雰囲気をまとっていた。ずっと眺めてたから、と言われどちらの味がいいか促された。少年は急に現実へ戻ったよう緊張し、食べれもしないミントのアイスを指さした。制服を着ていないその女性は落ち着いているのに決して地味ではない、綺麗な服を着ていた。会ったばかりの少年へ矢継ぎ早に話していたが、その顔が笑顔になるほど何故か少年は悲しいような気持ちになった。刻々と過ぎ、用事があるからと少女は歩いてどこかに向かった。少年も退屈じゃなくなり満足した心持ちに満たされたので、ゲームセンターの音に合わせるよう、エスカレーターの手すりをたったったっと叩いていた。

翌日と翌々日も少年はアイス前に来た。それに遠目で気付いた少女は、少し立ち止まり考えた。少年の視界に入らない道へ回り、少女は屋上に行くことを延期し自宅へと帰っていった。

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