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N0V3LとFamous。聴いた後に浮かんだ世界。

■N0V3L – STRANGER

2xxx年。高層ビルが立ち並ぶ地上では、全ての労働から解放された利権者による鎖なき奴隷制度が横行した。一部の若者たちは地上との永遠の別れを決意し、アンダーグラウンドへ消えていった。新たな文明を作るように彼らは一から全てをやり直した。生き抜くことは並大抵な苦労ではないが、そうすることの他に彼らは選択肢を持ち得なかった。新たな生活の土台を作ることと並行して、音楽を作る。身体に響くビートはいつの時代でも生活者の肉となり骨となる。時は経つ。今日は僕らの先祖が初めて地上から離れたこの場所での生活を決意した記念日であり、お祭りの日。同朋たちで準備した小さなステージに立った。1曲目はその先祖たちに捧げる先祖たちのカバー。N0V3Lの楽曲だった。これがフィクションかノンフィクションかはまだ分からない。

カナダ・バンクーバーを拠点。Crack Cloudのメンバーも3人が在籍しているN0V3Lのデビュー・フルアルバム『NON-FICTION』は5月28日にリリース。


■Famous – The Beatles

愛と平和。人類がいつまでも追い続けた夢。そんな大それたことを歌いたいわけじゃなかったけど、僕は愛と平和を歌った。君と一緒にいる時間が本当に楽しかった。帰り道を二人で歩いている時、本当はドキドキしていた。愚かな僕は恥ずかしくてそれを伝えるタイミングを最後まで逃してしまった。出会ったあの日からはかなりの時が経った。僕はやっと成功した気がする。有名になってお金を沢山稼ぐことが成功だと思う人からしたら、僕の成功はその定義には当てはまらないんだけど。この曲を聴いて欲しい。自分の気持ちは少しは晴れやかになったかな。

UK・ロンドンのFamous。5月28日にEP『The Valley』をuntitled (recs)からリリース。インターネットの検索網に引っかからずとも彼らは美学を証明するであろう。




延長する緊急事態宣言。諸外国ではワクチンの普及と共に閉鎖されていたあらゆる産業活動やカルチャーが再オープンされていく中で、多くの国民の協力で爆発的な感染をそれなりに防げてきたわが国では、政府の怠慢で悪びれない姿勢がそのまま現れるようにワクチンの接種率はOECD加盟の37カ国で最下位。そして、最もダメージを受けたであろう場所には更なる忍耐を強いる。拳こそ無い暴力が振り続けられる中で、強固な姿勢で開催されようとしているオリンピックにポジティブな気持ちになれる人なんているのだろうか。

文化庁長官から「文化芸術は実力が全て」という発言があったらしい。ここでいう実力は「一般的な知名度」とか「稼ぎ=平常時の納税額」とかであろう。何かと後回しにされることの多いアートやカルチャーでもあるが、社会は安定を求める一方で、アートは「今までのそれではいられない衝動」を作るものだ。いつの時代もアートやカルチャーが利権者の脅威となることはあるだろうし、それが世の中に良い変化をもたらすきっかけになるとも思う。行政が支援の手に消極的な姿勢であることは、行政の視点からすればある意味では残酷にも理に適っているかもしれない。


僕が大切にしているようなアートやカルチャーなんて連中が言う「実力」視点からは零れ落ちるようなものばかりであろう。
でも、今の時代や考え方を変えていけるのは、今の空気を吸っているアーティストや楽曲だと思う。これまでにも僕はそうしたものに救われたり興奮したりしてきただけじゃなくて、本当に多くの大切なことを学ばせてもらった気がする。もしそういうものに触れてこなかったら、今も何にも気付けなかったかもしれないし。



School In London 8th Anniv.は延期。
可能な限り同じラインナップで開催できるよう調整します。悲しい!




いつもありがとうございます!

村田タケル

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