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帰りたくなさそうにしている年下君が愛らしかった話

最近、「この子はきっと年下君にハマりだしているな…」という若手の女子を発見してしまった。

年下君が参加しているプロジェクトのメンバーで、年下君よりもさらに年下の【清楚女子ちゃん】だ。

すごくお育ちの良いお嬢さんといった趣で、可愛らしい声でゆっくりと喋るけれども、仕事はテキパキとしていて上層部からの評判も良い。

年下君は誰にでも優しいのと、まだ知り合って日も浅い清楚女子ちゃんの前では、務めて明るくしっかり者アピールしようとしている。

でもそれはモテようとしているそれではなくて、チームメイトとして嫌われないようにちゃんとしているんだろうなと思う。

お気に入りの女の子への接し方とは違う。

もう結構近くで見てきたから、私そういうの、わかるようになってきたんだ。

ただし清楚女子ちゃんは、優しく頼り甲斐があり接しやすい年下君を、だいぶ拠り所にしている感じがする。

他の人には話しかけないのに年下君には声をかけるし、気づくとそばに座って作業している。

…というのを把握している自分が気色悪い。

ただ、清楚女子ちゃんに対して嫉妬を覚えないのは、それが年下女子ちゃんへの感じと違うからだ。

でもとにかく年下君は誰にでも優しくして好かれてしまうので、私は「優しいのも困りものですねえ」と達観したふりをしている。

そんな平和な(?)日にゆっくり作業して、そろそろ帰ろうかなあと思っていたら、年下君が隣に移動してきた。

「ちょっと聞きたいことがあって」
と質問を受ける。

「こうやるんだよ」
と教えて、一瞬で解決。

全然大した作業じゃなかったので、先輩としてのメンツも保たれた。

そのまま年下君は元の場所には帰らず、
「そういえば、こないだ釜石さんが面白いと言っていたあの映画、家で観ましたよ」
と雑談を開始。

私も嬉しくなって、ついつい映画の話をしてしまった。

そこから、止まらなかった。
どんどん脱線しておしゃべりが弾む弾む。

途中からそれを聞いていた、先週一緒に飲んだの男性メンバーも参戦して、完全に仕事そっちのけで雑談タイムに突入した。

年下君、見るからに絶対に作業していない。
完全にあきらめたかもう今日の仕事は終わっているはずだ。

「なんか腹減りました」
とカップラーメンを食べ出した。

「いや家帰って食べなよ!」
と思わずツッコむも、気にせずおいしそうに食べ続ける年下君。

「なんかこうやってみんなで喋りながら飯食ってると、友達の家いるみたいだなあ」
と笑顔で語る年下君。

あまりに居心地がよかったのだろう。

そういう可愛いことを突然言う子なのだ。

楽しいからすぐに帰りたくなかったんだろうね。
わかる。すごくわかるよ。
君と一緒に喋る時間、本当に楽しいもの。

結局誰も作業せずにただただおしゃべりして、最終的に居残り仲間が4人まで増えて、「もういい加減に帰ろう」とみんなでワイワイ駅まで歩いた。

帰り際、「年下女子ちゃんはもう帰りましたかね」と年下君がつぶやいたが、私はもうすでに彼女が先に上がっているのを把握していたので、「もうとっくに帰ったよ…」と教えて差し上げた。

これも「いつものメンバーだから声をかけよう」という気持ちからきたものだろう、と思えるようになってきたので、もういちいち嫉妬したりはしないぞ。

帰り道、なんとなく2人ずつで二列になって歩くことになり、年下君と隣になった。
彼は歩きながら、今まで聞かされていなかった「意外と大変なヘアセット事情」を教えてくれた。

いつもナチュラルにきまっているなあ似合うなあと思っていたヘアスタイルは、実は時間をかけてセットしていること、パーマをあてていること、髪質のコンプレックスを解消するために大いにこだわっていること、などなど。

年下君の髪型は本当に自然でかっこいいので、朝起きたら自然とその形なのかと思っていたら、そんな努力があったなんて…

とても素敵だと思った。

年下君は、結構頻繁に初出し情報を話してくれる。
もちろんみんなに話すこともあるが、「あ、それこないだ聞いたやつだ」ということが多くて、偶然私が初聞きになることが多い。

もちろん、光栄である。

これからもどんどん私で初下ろしトークを試してほしい。

そのあとは、「LINEのアイコンを変えたいと思っている」話になり。

一緒にご飯に行くたびに私が年下君の写真をよく撮るので、「いい写真いっぱいあるからあげるよ」と言うと、「どうせ釜石さんの撮った僕はふざけた写真だろうから却下!」と門前払いを喰らってしまった。

撮るたびに送ってあげているから全部見ているはずなんだが、まあたしかに、ふざけた写真しか撮っていないな…

でも「これはすごくよく撮れたなあ」と思う一枚があったので、解散したあと電車の中で再送してさしあげた。

年下君からすぐ返事が来て、
「僕もこれは良い写真だと思うけど、自らアイコンにするのは狙いすぎだから無し!」
とやはり却下されてしまったが、
今後は「年下君のLINEアイコンに採用される良い写真を撮る!」を目標にがんばっていきたいと思う。

ちなみに、「撮ってあげるよ」という名目でどんどんスマホの中に年下君の写真が増えていくのは、内心とても嬉しい。

たくさん、撮っていきたい。

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