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昼は年下君が二人きりのランチに誘ってくれて、夜は年下女子ちゃんと恋愛談義をした

年下君に会えない(電話だけかけた)日を経て、出社して挨拶もそこそこに作業を開始。

いつのまにか年下君と喋っていた。

年下君も話しながら椅子を持ってきてくれて、私の隣に座る。

仕事と雑談が入り混じった時間を、昼前に小一時間過ごしてしまった。

「そろそろ引き上げた方がいいな」
というタイミングで
「じゃあ、そんな感じで今後もよろしく」
と声をかけると、

なんと年下君が
「昼飯食べましたか」
と聞いてくるではないか。

「食べてない」
と答えると
「食いに行きません?」
と、久々にランチに誘ってくれたのだ。

多分、話し足りなかったのだろう。
そして、会話がだいぶドライブしたので結構楽しかったのだろう。

わかる。

このままもう少し喋りたい時ってあるよね。

しかしそのあと少しだけ会議があったので、
「30分待てる…?」
と恐る恐る聞いてみると、
「全然待てますよ」
とのことだったので、私が解放されるのを待ってもらった。

無事会議を終えて街へ繰り出す。

いつもは「何食べたい?」と私から質問するが、
年下君は「タイ料理行きましょう!」と提案してくれた。

以前通りすがった時に
「ここ、おいしいんだよ」
「へえ、今度行ってみたいな」
と話したことのある店だった。

そしてそのお店、相変わらずしっかりおいしかった。

年下君の「うまっ!」が耳に心地よい。

食べながら、最近の仕事の話もそこそこに、やっぱり映画やドラマの話で盛り上がった。

すると年下君が、めずらしく「最近ハマった恋愛ドラマ」の話をしてくれて。

そういう類のドラマを見る印象がなかったので新鮮だった。

どんなドラマか聞いてみたら、

恋愛がご無沙汰な男性が同僚の女性を好きになり、ライバル的な男同期の存在にやきもきしつつもなんだかいい感じになって、意を決して彼女に告白したところで、女性に「そんなつもりはなかった」「ライバル同期のほうと付き合うことになった」と言われて撃沈する、

というストーリーらしい。

年下君は流暢にあらすじを紹介したあとに、小声で
「…これ、僕もよくやるんですよね」
と言った。

女性といい感じだと思っていたのは自分だけで、相手が思わせぶりなのか自分が勘違いしやすいのか、「実は違った」ということが過去にもあったらしい。

遠くを見ながらぼそっとつぶやくその姿がなんだかおかしくて、そして可愛らしくて、思わず笑ってしまった。

「普段こういうドラマはあんまり見ないんですけど、なんとなくテレビ見てたら『見覚えがあるぞ』と思って…自分に置き換えて見ちゃったんですよね」
と、完全に感情移入して見ていたらしい。

年下君は絶対にモテるだろうに、そんな過去もあったのか、と新しい一面を知った。

まだまだ話は尽きなかったが、結構ランチタイムをとってしまったので、泣く泣く私の方から「もう行こう」と切り上げる。

会社に戻る道でも、年下君は楽しそうにずーっとおしゃべりしてくれて、最近仲間内で飲みに行くことが多かっただけに、「二人だけでもお酒がなくてもちゃんと盛り上がれる」ことを再確認できて、とても嬉しくなった。

午後は仕事を早めに切り上げて、かねてから年下女子ちゃんと約束していた映画を観に行った。

帰り際年下君に挨拶したかったが席を外していたので、社内チャットで「今日早めに帰るね」とだけ連絡して切り上げた。

本来なら年下君も映画に誘いたいところだったが、その日観た映画は、仲間内では私と年下女子ちゃんしか観ていないドラマの映画化作品だったので、二人だけで鑑賞することに。

これがまあ、心に刺さる素敵な映画で。

そして本当においしそうなご飯がたくさん出てくる映画で。

観終えた後年下女子ちゃんと感想を言い合いながら、「ていうかお腹空き過ぎた!何か食べよう!」とお店を探し歩く。

映画に出てきたご飯を食べようか、なんて洒落たことを言っていたのに結局「よさげな居酒屋」に落ち着いてしまった。

(しかし初めて入ったこの居酒屋も、大当たりだったので結果オーライすぎる)

年下女子ちゃんとは映画の話を散々した後で、ほどほどに仕事の悩みも打ち明けあって、最終的にはちょっと恋愛の話になった。

そこで
「いま好きな人いないんですか?」
と直球で言われてちょっとうろたえてしまう。

こういう時は決まって
「いないよ〜恋愛したいよ〜」
と反射的に何もないフリをしてしまうのだが、もちろん年下君のことなど言えるはずもなく、結局いつも通りはぐらかしてしまった。

私の方はといえば、年下女子ちゃんに
「そっちは好きな人いないの?」
と質問するのがなんだか怖くて。

そこでもしも年下君のことが出てきたらと思うと、怯えてしまって。

情けないことに直球では聞けなかったが、
年下女子ちゃんは
「今は恋愛する感じじゃない、恋愛はあんまり向いていない気がする」
と教えてくれた。

…とすると、「いま好きな人はいない」という回答でよいのだろうか。

そして、割と最近合コンで知り合った素敵な男性たちがいることや、彼らと特に進展らしき進展はないが何やらアプローチはされていることなども語ってくれた。

さすが年下女子ちゃん、可愛いし賢いので当然のようにモテるのだ。

その素敵な男性たちとどうこうなるつもりもないらしかったが、私は心が狭いので、年下君の話題が出なかっただけでなんだかほっとしてしまっていた。

そのままお互いの恋愛観の話をしたが、年下女子ちゃんはとても視野が広い上にしっかり自分を尊重した恋愛ができるのに対し、私はよく言えば一途だがただ激重なだけなので、モテる人とはそもそも考え方捉え方が全然違うのだと思い知る。

だけど「恋愛モードに全然なれない」と年下女子ちゃんが少し残念そうにしていたので、
「今がそういうタイミングじゃないだけで、恋愛できる人なんだから、そのうち気づいたらまたしたくなるかもしれないし、何も心配することないよ」
とだけ伝えておいた。

…だって仕事も忙しい中で相当あそびに連れ回してしまっているから、彼女が恋愛モードになれないのはだいぶ私が足を引っ張っているせいもきっとあるしさ…!!

そして、楽しいから私とも引き続き遊んでいてほしいし、恋愛したさに遊べなくなったら嫌だな、とも勝手に思っている。

人の気持ちは、あからさまな態度と言葉で示されないとわからない。

どんなに仲が良くても、わからない。

みんなは誰のことが好きなんだろう。

それを知りたいか?
と問われれば、関係性がくずれそうで怖いので正直知らないままでいたいかもしれない。

とりあえず、私が年下君を日増しで好きになっていることだけが、事実だ。

…気づいたら帰宅して爆睡してしまっていたので、お風呂に入ってきます…!

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