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卒業式で貰った花が枯れた時、きっとその時が卒業したということなのだろう。
今年の3月に大学を卒業しました。
嬉しいことに部活の後輩が卒業式に来てくれ、その時に色紙と花束を貰いました。
貰った花束は家のリビングのテーブルという、家の中で一番目立つ場所に飾りました。
飾り立ての花束は家の景色からしたら見慣れない感じがして、よく目に入りました。
そして、大学生活が終わってしまって悲しいという気持ちも相まって、飾った当初は、よく目に入るその花束を見るたびに学生時代を思い出していました。
しかし、日にちが経つと花束も家の景色に馴染んで、目を引かれることもなくなってきました。
それに加えて、新生活が始まると新しい日々に追われてきて、花束を見て学生生活を懐かしむという行為も次第にしなくなっていきました。
卒業してから1ヶ月が経った頃、気付いたら机の上にあった花束がなくなっていました。
きっと枯れてしまったから母親が片付けてしまったのでしょう。
もうその頃には、花が片付けられたことにも気付かないぐらいに完全に新生活に向き合っていました。
花を見て学生生活が終わった悲しさに浸る私はもういなくなっていたのです。
時間が洗い流してくれるという言葉がありますが、学生生活が終わった悲しみというのは卒業式の日に貰った花が枯れるぐらいの時が経てばなくなるのではないでしょうか。
学生生活に別れを告げ新しい日々に向き合うという、精神的な意味での卒業はこの時に行われると思います。
もしかしたら、花には人の悲しみを吸い取って枯れていていく効果があるのかもしてません。
なので、私の学生時代が終わってしまったことに対する悲しみもいつの間にか消してくれたのかもしれません。
もしそうであっても、花が枯れる時に完全に学生生活から新生活に向き合うことが出来ます。
いずれにしても、卒業式で貰った花が枯れた時、きっとその時が本当の意味で学生生活から卒業をしたということになるのでしょう。
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