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某月某日。 ガジェット考察 - 腕時計。

私は時計というものにあまり興味がない。特に男性用のものなどほとんどわからない。ただ、海外の時計愛好家(ほぼオタク)向けWebサイトの記事を、日本の(これまたオタクレベルの)愛好家向けサイト用に翻訳するという仕事を受注したことがある。

 日々愛好家たちの時計愛溢れる文章を訳していると、いやが上にもその熱の影響を受けるものだ。

 ヴィンテージのロレックスやパテック フィリップに何億円の値段がついたとかいう浮世離れした記事もあるが、廉価で高品質な日本の時計に関する記事もかなりの数ある。
 その中で驚いたのは、カシオのG-SHOCKという時計が海外の愛好家の間で非常に人気が高いということだ。 私は「カシオ=電卓の会社」くらいの知識しかなかったが、世界中に「G-SHOCKコレクター」が存在し、人気の高いモデルはネット上ですぐ完売してしまうという。

G-SHOCK豆知識:
 全世界で累計1億本以上を売ったカシオの腕時計シリーズ。1983年、初代モデル発売。時計という精密機器が壊れて当たり前だった1980年代初頭、一人の若手技術者の「落としても壊れない丈夫な時計」というたった1行の企画案から開発された。当の技術者はこの企画があっさり通るとは思わず、のちに非常に困難な開発実験を繰り返すことになる(この人こそG-SHOCKの生みの親、伊部菊雄氏)。3階のトイレの窓から落とすという過酷な実験を繰り返し、それまでの常識を覆す耐衝撃構造の第一号が登場するまで、200の実験機と2年の歳月が費やされたという。

 時計オタク、じゃなかった愛好家ばかりのWEB編集者たちは皆、G-SHOCKを数本所有していた。私は小ぶりのレディースウォッチを2本所有するのみだったが、確かに水仕事をする時やジムに行く時、いちいち外さなくていい時計があれば便利だろう。

 初めてG-SHOCKのサイトを覗いてみると、そのデザインの多様さに圧倒された。「ゴツいデジタル時計」のイメージがあったが、堅牢さはそのままに薄型になったもの、アナログの文字盤を持つもの、女性の腕にも合いそうな小さめのフェイスのもの、などなど。中でも高級スポーツウォッチを彷彿とさせるような八角形のベゼルとアナログ針を持つ薄型のモデルに目が止まった。イメージを覆す洗練されたデザイン。「カシオーク」と呼ばれる人気モデルだ。思わずポチってしまった。

 そして。
 ミルク色の「カシオーク」が手元に届いて半年。
 この時計はどんな酷使にも耐え、ぶつけても、間違って踏んでしまっても、つけたままプールに飛び込んでも、平気な顔をしている。私の華奢な時計たちはめっきり出番が少なくなってしまった。

「カーボンコアガードの耐衝撃構造(ショックレジスト)。20気圧防水。世界48都市ワールドタイム。ストップウォッチ(1/100秒計測)。24時間計。時刻アラーム5本。最大24時間タイマー。ダブルLEDライト。フルオートカレンダー。平均月差±15秒。」

 以上全ての機能に私が払った対価、1万4850円。

 日本のものづくり、万歳。

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