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日々是、中高年。

某月某日 - 朝の気付き

ベッドのなかで何ということのない動作をしてみて、これまでとの違いに驚くことがある。

今朝は腕を曲げたとき、ヒジの内側に縮緬ジワができていて驚愕した。

お知らせ:「アナタノ腕ニ老化ガキマシタ。」

飛び起きて、塗ったこともないボディローションを塗った。かわいそうな私の腕。顔や首ばかりにかまけてるうちにこんなことが起きていたのだ。

これからの日々、こうした歓迎し難い発見をいくつしていくのだろうか。こうなったら開き直って劣化日記でもつけようか。動植物の観察日記をつけるように日ごと自身の変化を克明に記録していくというのも何かの役に立つかもしれない(一体何のよ)。

某月某日 - オバ化の自覚。

(男性からの)女性への気遣いというものが自分にはもはや与えられていないのでは、と思う瞬間がある。

ひとつ仕事を仕上げる。「じゃ、これもお願いします」「終わったらこれも」「これ、かたしといてください」。タスクは続くよ、どこまでも。

某月某日 - オバ化の自覚その2。

ラッシュ時に男性とぶつかりそうになる。「すみません」なんて言ってもらえない。それどころか「どけ」とばかりに先を急がれる。こんなことが多くなって憮然とする。昔はサッと避けてもらえたような記憶があるけどな。

欧米ではどんなおばあちゃんだって「Excuse me」って言ってもらえるぞ。ここらへん、西洋のマナーを学ばんかい。

某月某日 - 宣告。

健康診断のたびに「少しずつでも毎日続けられる運動をしましょう。ウォーキングとかジョギングとか」と言われる。あまりにも言われるので一念発起して昨年から1キロ程度のプチ・ジョギングを始めた。ところがこれが膝にきて、半年で歩行困難な状態に。

別の医者に行くと「年齢的に、膝に負担のかかる運動はやめた方がいいでしょう」と言われる。
運動すべきか、せざるべきか。いったいどっちだ。

某月某日 - ちょっといいこと。

代官山の某コーヒーチェーン。
カウンターで注文を告げると、スタッフがレジを操作しながら「おうちでコーヒーを淹れて飲まれたりします?」と聞いてきた。反射的に「はい」と答えたのは去年買ったコーヒーメーカーがなかなかで、家で淹れることが多くなったから。

彼女は後方から小さな紙包みを持ってきた。「新製品ですのでよかったらお試しください」。そして「あ、豆でいいですか?ひいたものもありますが」と続けた。私が「うちでひきますので豆で」と応えると、微笑んでその包みをトレーに乗せてくれた。

もちろん、それは多くの客に配っているサンプルに違いない。が、そんなことはいい。

「おうちでコーヒーを淹れて飲まれたりします?」は、「試供品です、どうぞ」とは明らかに違う。短いやりとりを少しだけパーソナルなものにし、1杯分のコーヒーの包みを小さなギフトに変えてくれた。

 ま、長く生きてればたまには良いこともある。

某月某日 - またちょっといいこと。

今日、目にして美しかったもの。夏木マリ女史の着物写真。

耳の上あたりで切り揃えたショートヘアに、襟を思い切り抜いた白地の着物。真っ赤なマニュキア。その全ての「粋」。

だけど、これまでの人生の集大成のような彼女の顔が一番素敵だ。そしてこの立ち姿は、一朝一夕に身についたものではないだろう。

こういう一枚を見ると歳をとることが少しだけ怖くなくなるよナ(楽しみになるとは言えないまでも)。

某月某日 - セックス アンド。。。

あのSATCが帰ってきた。

アメリカの人気ドラマ、「セックス・アンド・ザ・シティ」の新シリーズ「And Just Like That」である。

そう。私は主人公たちと近い世代で、放送開始時から一緒に歳を重ねてきた。
当然、カムバックは懐かしく嬉しいが、「はて」とも思った。

TVシリーズに続く映画では、主人公キャリーが長年の想い人であり大金持ちのミスター・ビッグとゴールインし、幸せな結婚生活を送るところでストーリーは終わった。つまりスゴロクの「上がり」のようなものである。ここからどう話をもってくの?

しかしそこはHBO。
ミスター・ビッグにファーストエピソードの終わりで心臓発作を起こさせ(ネタバレだけどもう広く知られているからお許しを)、キャリーは突然未亡人に。

若い頃からミスター・ビッグこそ理想の男だとしていた私にとって寂しくもあるが、大いにアリな展開であった。

だって。

マンハッタンの大金持ちマダムになったキャリーの平穏無事な日々なんて、誰が見たい?

独りになったキャリーは失意の日々を友情によって乗り越え、ビッグと住んだマンションを売り、独身時代を過ごしたアパートに帰ってくる。

そうして - And just like that - 私たちの大好きなSATCの始まり、始まり。

某月某日 - おまけ -

いったいミスター・ビッグのような男性は周囲に存在するか?

答えの代わりに彼のプロフィールを。

ニックネーム:ミスター・ビッグ(本名はジョン)
職業:多分金融関係
年収:推定1億円越え
住居:マンハッタンの一等地にあるマンション(コンドミニアム)、推定10億円以上
婚歴:キャリー以前に2度の離婚歴 *元妻二人ともモデル並みの美女

年上の友人は言った。「夢はいくつになっても持ってていいのよ、見るのはタダなんだから」

ハイ、同感です。



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