じゅんくんとサカイさん

↑今回はこちらの「じゅんくんとひなちゃん」シリーズです。

・じゅんくん⋯ひなちゃんの彼氏。
「ごめん」の言葉の重さが物理的に軽すぎて部屋の中でプカプカ浮いてしまう。
俳優の卵。

(じ)←じゅんくん
(サ)←サカイさん


(サ)そうそう。 有機栽培の野菜しか食べないんだよ~その子。


(じ)へぇ〜、そうなんですね。
あっ、有機栽培の野菜って所謂オーガニックってやつですよね?

(サ)そう!
そこなんだよ!
有機栽培の野菜、有機栽培の野菜って
頑なにその言い回しを使ってくるから
「それってオーガニックって言われてるやつだよね?」
って聞いたら
「とも、言いますけど正確には別の物なんで有機栽培の野菜って私は呼んでますし私と話す時はそう呼んでください。」
って言われたのよ笑

(じ)へぇ〜
「オーガニック」の方がオシャレな響きなのに「有機栽培の野菜」の方を選ぶんですね笑

(サ)そうそう。変わってるよね?笑
あっ、作業場ここの部屋。


ガチャ(家の扉を開ける音)

(サ)ん。

(じ)お邪魔しまーす。
作業場なのに結構広い家ですね。
流石一流脚本家さんは違いますね~
あっ。やってしまった。
「流石一流脚本家さんは違いますね」なんて言う在り来りなキモ言葉を僕が使ってしまう日が来るとは…
自分に幻滅でもありつつ状況に感動もしてます。


(サ)本当だな。お前もとうとうマジョリティー側になっちゃったな笑
それに俺なんてまだまだ全然一流じゃないよ~

(じ)いや、こんな広い作業場持てるなんて
俺らからしたら夢の様ですよ。

(サ)そりゃあの頃の俺や今のじゅんとかに比べたら儲かってるかもしれないけど
もっと上には上が全然居るって話よ。
売れっ子演出家のハシジマさんなんて、作業場でバイソン飼ってるらしいぜ。

バイソン



(じ)え?ほんとですか?バイソンってあのツノ生えた牛みたいなヤツですよね?

(サ)そうそう。バッファローとも呼ばれてるアメリカバイソンよ。
そのハシジマさんに比べたら俺なんてまだまだだよ。

(じ)確かにそれを聞いたら。。
しかも作業場でですもんね。
本当の家では何飼ってるんだ話ですよね。
キリンでも飼ってるんですかね。

(サ)うん。本当の家ではキリン飼ってるらしいよ。

(じ)え?本当ですか?
冗談で言ったつもりなんですけど。

(サ)本当だよ。だから俺なんてもっと頑張らなきゃだよ。
そんな事より今日は来てくれてありがとうね。

(じ)お?前までは「急に呼んでごめんね」とか「手伝わせてごめんね」と言う様に
こういう時、必ず謝罪で締めてたのに「ありがとう」という感謝の言葉で締められるようになってますよ!

(サ)そうだっけ?笑

(じ)そうですよ!僕は「ごめん」に執着している人間なんで覚えてます。
売れて心に余裕が出来たって事なんですかね?
あっ、また「売れて心に余裕が出来たって事なんですかね?」なんて言う在り来りなゲロ言葉を使ってしまった…

(サ)もういいってそれ笑
別に全く気にしてないし!
ゲロ汚ねぇし笑


(じ)それなら良かったです。

(サ)うん笑

(じ)あっ、今日は台本の添削をして欲しいってことですよね?

(サ)そうそう。今度脚本を担当するドラマで主人公が外国語を使うシーンが結構あるんだけど

(じ)はいはい。


(サ)俺あまり詳しくなくて…
でもじゅんはそういう学校通ってたじゃん?
だから、これで大丈夫か添削して貰おうと思ってさ。

(じ)分かりました。まぁ通ってたと言っても成績悪かったんで力になれるか分からないんですけど頑張ります。

(サ)ありがとう。

(じ)因みにその外国語って何処の言葉ですか?

(サ)ああ。トルコ語。

(じ)え?トルコ語?

(サ)そうそう。

(じ)え?トルコ語が出てくるってどういうお話なんですか?

(サ)うん。主人公は日本人なんだけどある日突然トルコ語しか話せなくなるのね。
それで困ってる時に偶然トルコ人のバックギャモンプレーヤーの女性に出会って恋に落ちるって言うラブストーリー。

(じ)色々ぶっ飛び過ぎだろ!


(サ)そう?

(じ)え?ドラマですよね?
どの時間帯での放送なんですか?

(サ)日6よ。

(じ)日6!?え?午前ですか?

(サ)ううん。午後。

(じ)攻めすぎですって。
いや、敵が強すぎますって。
オカッパ顔射線ガールと松竹梅の松パーマ姉ちゃんに
トルコ語ラブストーリーぶつけるのは
幾ら何でも攻めすぎですよ。

(サ)あと一社提供よ。

(じ)え?こっちも!?

(サ)いや、あっちは変わったよ。

(じ)あっ、そうでしたね。
え?何処の一社提供ですか?

(サ)駐日トルコ共和国大使館よ。

(じ)攻めすぎですって。
大使館の提供は政治値がチラついて日曜午後6時にはちょっと固すぎますって。
せめてトルコアイスとかにしてくださいよ。

(サ)因みにタイトルは
「神が授けてくれたコトバと出会いで…」

(じ)攻めすぎですって。
これだけトルコ関わってて、タイトルに入れないの攻めすぎですって。
せめてトルコは入れましょうよ。


(サ)まぁな。
流石にじゅんでもトルコ語は厳しそう?

(じ)いや自分でもビックリなんですけど偶然トルコ語の授業取ってたんで、かなり出来ます。

(サ)奇跡じゃん!
流石じゅん!
よっ!日本一!

(じ)急な太鼓持ち要りません。
因みに主演の俳優さんとかもう決まってるんですか?

(サ)いや、まだ決まってないんだよね。

(じ)ここまで内容ギチギチに決まってるのに大事な所決まってないんですね。

(サ)うん。

(じ)でも、有名な脚本家さんになられてもこういう攻めた作品を手掛けられてて
そういう所は昔から変わってなくてめちゃくちゃ尊敬します。

(サ)そんな事はないよ笑
「昔と比べたら大分万人受けする作品作る様になっちゃったね」とか良く言われるし
自分でもそう思うよ。

(じ)へぇー。そうなんですか。

(サ)うん。現にこの前の作品は割と在り来りな王道ラブストーリーだったし。

(じ)あー。確かに。

(サ)昔は尖ってたり攻めてる風に見えてたかも知れないけど、
あの頃は自分が面白いと思う事とか元々持ってた感性を無造作に並べて
無理矢理「形っぽく」見せてただけなんだよね。

(じ)そうなんですか。

(サ)そう。だから尖ってるとか攻めてる、新しいって思われてただけなんだよね笑
単に「考え」を基礎とかフォーマットに落とし込むっていう作業が出来てなかっただけ。
今はそれが出来てるからパッと見「王道」っぽく見えるわけよ。

(じ)へぇ〜。

(サ)でも、所々のセリフや展開には昔と変わらない様な尖りや攻めを入れてるつもりだよ。

(じ)確かに。

(サ)建物に例えると、外側は綺麗な高層ビルで中は毒々しいキノコや緑の池、屋内をペガサスが飛んでるみたいな笑

(じ)チャーリーとチョコレート工場みたいっすね笑

(サ)そうそう!そんな感じ!
ずっと制作を続けてたら徐々に基礎が肉付けされてったって感じかな。

(じ)はいはい。


(サ)これは何かを極めようとする人全員に通ずる事だと思うんだけど
そういう人には3パターンの人間が居ると思ってて。


(じ)はい。

(サ)1つ目は俺みたいな
「最初センスやオリジナリティだけて勝負して後から基礎を付けていく人」
サンクチュアリの主人公もこれだと思う。

(じ)確かにそうでしたね~

(サ)2つ目は逆に
「早くに基礎を身につけて、そこからセンスやオリジナリティを磨いていく人」
3つ目は
「早くから基礎もオリジナリティもセンスも身についてる人」
この3つ目がいわゆる天才って呼ばれている人だと思う。

(じ)言われてみればそうですね。面白い話ですね。

(サ)でしょ?
まぁじゅんも自分がどのパターンに属するかを把握して
足りない所を磨いていけばきっと報われて
作業場でバイソンを飼う生活を送れると思うよ。

(じ)それは結構です。
でも、良い話ありがとうございます。
じゃあそろそろ添削やっちゃいましょうか。

(サ)そうだな。
あっちょっと待って。
そのドラマのプロデューサーからメール来た。

(じ)大丈夫ですよ。
なんて来たんですか?

(サ)主演俳優決まったって。

(じ)本当ですか!?
え?誰ですか?

(サ)パックンマックンのマックンさんだって!

(じ)攻めすぎですって。









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