86歳おばあさんの教育論、身体を使って稼ぐか? 頭を使って稼ぐか?
私の家の近所に86歳のおばあさんが住んでいます。
おばあさんは、おじいさんと 娘さんと 三人で駅前の一軒家に住んでいます。
おばあさんは、ガーデニングが好きです。
30坪ほどの庭は、見事に整備され、一年中、きれいな花が咲いています。
庭がとても綺麗なので、私は一度、庭にいるおばあさんに声を掛けたことがあります。
「見事なお庭ですね、あじさいが綺麗に咲きそろってますね」
おばあさんはニコニコして
「そうかい? 少し持っていきな」
と、あじさいを3本切って、私にくれました。
その後私は、おばあさんの庭で、おばあさんの姿を見かけると少しお話をするようになりました。おばあさんは西暦1934年、昭和9年の生まれです。
そのおばあさんは私にこう言いました。
「子供は娘が一人だけ、子供がたくさんいると私が遊べないからね」
私は少々驚きました。昭和9年生まれの女性が
「自分が子育てで遊べなくなるから、子供は一人だけでいい」
と、言ったのです。
平成生まれの女性が言ったなら、驚きませんが、古い時代の人が言う言葉としては、ちょっと刺激的でした。
その言葉通り、おばあさんは、娘が小学校に入ると、一人でとっとと旅行に行ったり、遊びに出掛けたりしていたそうです。
で、おばあさんは子育てする時、娘にこう言い聞かせたそうです。
「私はね、あんたの人生だからあんたが勉強しても、しなくてもいい。
あんたが勉強して、頭を使って椅子に座って仕事してお金を稼ぐか
勉強しないで、身体を使って仕事して、お金を稼ぐか
どっちがいいか、自分で選びなさい」
物凄く大胆な説明だ、と私は思いました。
母親というのは 大抵
「勉強しなさい、勉強していい大学に入って いい会社に入りなさい」
とか言うものではないですか?
このおばあさんは
① あんたの人生と私の人生は違う
② あんたの人生なんだから自分で選んで行動して、
自分で人生を掴み取りなさい。
と、子供に言い聞かせているんです。
そこがすごいと思いました。
母親って、子供を自分の分身として同一視することが多くないですか?
で、この娘さんは地方公務員になり、その後、試験を受けて上級公務員になります。
そこからが、おばあさんのすごいとこです。
私の住んでいる所は田舎ですが、おばあさんは昔、私の住んでいる所より奥の方の田舎に住んでいました。
そして、私の住んでいる駅にある工場までパートで働きに来ていました。
そしたら、駅前に売地が出ていたそうです。
そこで、おばあさんは娘に
「あんた、この土地を買って、家を建てなさい、」
と、言ったそうです。
娘さんは、その土地を買い、そこに家を建て、今、両親と住んでいます。
おばあさんは私に言います。
「あの子もねえ、家を建てたとこは偉かったねえ」
まあ、私も年寄りなのですが、お年寄りというのは、なかなか秀逸な人生論を持っているものだ、と思って感心します。
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