妄想彼氏 #2 最近アパレルでバイトを始めたやつ
駅で彼を待っていると、向こうから全身自分が働いているブランドの服を着てきた彼が風を切るように歩いてきた。
どうやら社割で安く仕入れたらしい。
「前まではお洒落とか全然興味なかったんだけど、実際働いてて客よりダサかったら信用してもらえないじゃん?」
「だから最近はお洒落意識してるんだよね」
と言っていたが、前から随分洋服にはお金をかけてるっぽかったし(主にハイブランド物ばかりだったけど)、確か私に面接の練習を手伝って欲しいと頼んできた時に
「まあ僕は小学生の頃から洋服に興味があって、どうしても周りの子と被るのが嫌だったので、靴とかも日によって履き替えてたりしちゃってましたね。」
「やっぱり服って個性出るじゃないですか?それで言うと、中学、高校の時は地獄でしたね。」
「だってみんな一律に制服着させるなんてみんなの個性ぶっ潰してるもんじゃないっすか?」
「日本の制服制度、あれどうにかしないとまずくないっすか?って思いますね。」
とかなんとか言ってた気がするが、いくら私相手だからとはいえ終始語尾に「っすね」を使っていて、人がゆっくり洋服選んでる最中やたらめったら話しかけてくるアパレル店員感を醸し出してなんか嫌だった。
「今日のゆうかの服の点数は63点で一す。」
「まあシルエット的には悪くないんだけど、まだその感じの配色だと春に取り残されてる感じ出ちゃってるかな。」
「もっと透け感とか大事にして、もしくはこう差し色で青入れちゃったりして清涼感あった方がいいよね。」
「もしくはもう逆に秋を見越してブラウンとか入れちゃったりなんてのはどう?」
アドバイスありがとね!それじゃあ、あんたのクソダサ眼鏡ここで今すぐ叩き割っちゃったりしちゃおうかしら!
ゆうか