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妖怪に導かれて!?子どもの「好き」がライター仕事に生きた

「『全国各地の妖怪』特集の記事を執筆してもらえませんか?」

ある日、別の仕事でご一緒していた編集者さんから、こんなメールが届いた。

「わたしはあまり詳しくないのですが、全国各地の妖怪から厳選して、10体くらいの妖怪と解説を紹介できればいいなと思います。妖怪に詳しいライターさんを知らず、でも片岡さんなら楽しく書いてくださるかなと思い、お声がけした次第です」

私のことを思い浮かべて依頼をいただけたようで、嬉しい。この案件は企業の顧客向け季刊誌での特集のため、イラストレーターさんを選んで、依頼する必要もある。本などを参考にして書いてもいいけれど、妖怪の専門家のような方にナビゲーターしてもらってもいい、という依頼内容だった。

この依頼を見て、体温がぐわんと上がった気がした。

なぜなら、現在小6の次男が一時期妖怪にハマっていて、お絵描きをしまくり、妖怪関連の児童書を何冊も持っていたからだ。

テンションが上がり、二つ返事で引き受けた。


子どもが大好きな本の監修者と会える?!

早速編集者さんとオンラインで打ち合わせをした。家にあるいろいろな妖怪関連の本を見ながら、イラストを描いている方や監修をしている方について共有した。

その中の一冊、小学生に絶大な人気を誇る「最強王図鑑」シリーズの一つ、『妖怪最強王図鑑』の監修者の名前に、編集者さんと二人で目が留まった。

多田克己さん。

調べてみると、妖怪研究家の第一人者で、著書を多数持つ方だった。京極夏彦さんとも親交があるそう。

「この方に連絡をしたいですね」

との話になり、取材依頼をすることになった。

息子が大大大好きで、ページが破れるほど読み込んだ本の監修者の先生に取材ができるなんて……! 一人、内心大興奮だった。ところが、多田さんはSNSを一切されていなく、いくら調べても連絡先がわからない!!

かすかな手がかりをもとに、関係のありそうな方に連絡を取ることで繋いでもらえ、無事に取材することができた。オンラインではなくて、リアルで。良い雰囲気の喫茶店で、多田さんと編集者さんと3人で、日本の妖怪伝承について直接お聞きした。ここには具体的には書かないが、編集者さんも「妖怪に導かれているよう……」と言っていたような流れだった。

イラストは、編集者さんが元々付き合いのある人の名前も上がっていたものの、私の頭の中には一人の方が浮かんでいた。

著書『名もなき家事妖怪』などを持つ、イラストレーター・漫画家の川口真目さん。

サイトに載っているさまざまな「家事妖怪」たちを見て、編集者さんも依頼してみたいと言ってくれたことで、川口さんにイラストをお願いすることになった。

川口さんは『子育てしながらフリーランス』の著者でもある。私自身この本を読み込んで、営業の考え方など参考にさせてもらっている。

お互いの子どもたちが同時期に不登校がちになったことをきっかけにSNS上で交流するようになり、親子でお会いしたこともある。一緒に仕事ができることになり感無量だった。

完成したページは、妖怪イラストが悶絶の可愛さ。子どもたちにも「見てみて!かわいいでしょ!」と、すぐに見せびらかせた。企業の顧客向け機関誌という特性上こちらに載せられないのが残念だけど、見てみたい人がいたら連絡ください(笑)!


未経験からライターになり、模索の日々

ここで、私のライター遍歴について少し書いてみる。ライターを始めて4年目で、Webからのスタートだ。出版社で雑誌編集者を経て独立……といったキャリアではないことに、ちょっと引け目を感じている。

しかし、今回の仕事は自分のこれまでの知識やつながりがページ作成に貢献できたのかな?と思えて。成長を感じた仕事となった。

ライターを始める前、専業主婦を6年間していた。「プロ母になる!」と意気込んでいた時期があり(途中ガス欠したのだけど)できることの一つとして、「子どもが興味・関心を持ったことを一緒に楽しむ」ことに力を入れていた。

具体的には関連の図鑑や本を揃えたり、一緒にイベントや博物館などに足を運んだりしていた。

鉄道博物館、科学博物館の特別展、福井県立恐竜博物館、沼津の深海博物館……!子どもがいることで、未知の世界にたくさん触れた。

自分で選んで専業主婦になったつもりだ。それでも、収入がないのに支出ばかりしている状況への引け目もものすごくあった。そこで、「SNSを伸ばしたりブログを始めたりしてなんとか収入を得られないだろうか?」と、模索もしていた。

でも、一人でコツコツ何かに取り組むことが本当に向いていなく、ブログはタイトルやハンドルネームが決められず始めてすらいない始末。

Instagramは、子育て日記的に子どもとのお出かけや遊びのことを記録しはじめ、同じ趣味や感覚の人たちと交流するようになり、1900人もの人にフォローしてもらえるまでになった。

とはいえ、収入になるわけではない。

転機は2020年。コロナ禍に、在宅ワークの一環としてWebライティングを初めてみようと、少しずつ仕事を受けて、勉強して、を繰り返して、今に至る。

ただ、4年が経つというのにいまだにライターを始めたころの「自分は初心者」「未経験だったし」という自信のない感覚から抜けきれないところがある。

ふと、アルバイトや会社員の場合は、後輩ができて教えるようになることで「自分はこれだけできるようになったんだな」と実感ができていたのかもしれないなと思った。

ライターを始めた初期からフリーランスとして一人で仕事をしていたため、そういう機会はなかなかない。先ゆく先輩たちとの経験年数が縮まるわけではなく、ずっと色々な人の背中を見ている気がしてしまう。

でも、専業主婦期間に子どもたちと足を運んだあれこれや、子どもたちを通しての感情、全ての体験が、今ライターの企画や執筆に生きている。すごく面白い仕事だと実感した出来事だった。ありがたい!!

ただ、最近は仕事の比重が大きくなって子どもたちに以前ほど寄り添えていないかなあと感じることもある。もっと子どもたちと出かけたり、一緒に勉強したり、どこまで手を貸したら良いのか。バランスが難しい。

「仕事をやめてよかったのかな」
「今回の引っ越しは子どもにとってよかったのかな」

気づくとすぐに自分の選択に自信が持てなくなりかける。

でも、どの道を選んだとしても、経験は自分の中に積み上がっていくと思うと、周り道も悪くないのかもしれないな。一つの仕事をきっかけに、思ったのだった。


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かたおか由衣
https://www.foriio.com/yui-kataoka


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