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Parkinson病に対する治療と理論(応用編)


理学療法士 ゆうきです。


以前にもParkinson病(以下PD)に対しての内容を記載しましたが、今回はその応用編と言うことで治療をメインに考えていきたいと思います。

前回のPDに関する記事はこちらから↓↓

https://note.com/yuuuuki23/n/na979f810db09

治療 ↓↓↓


PDは進行性緩徐性神経変性疾患であり、理学療法ガイドライン2011においても歩行練習やバランス練習はgrade Aと表記されています。

しかし、歩行練習やバランス練習、ストレッチなどを行うに当たり、動作の誘導が正しくできていなければ機能の向上は見込めず、機能維持に留まるようにも思えます。  ※(PDのみに限りません)

今回は自分が行っている治療内容について説明していきたいと思います。


寝返り

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それでは僕が実施している寝返り練習から説明していきます。

これはベッド上動作の基本でもありながらそれ以降の応用動作まで変化を求める事ができるので使用する機会もかなり多いかと思います。

①背臥位で可動域の確保と筋緊張の調整
↑どの治療に対してもこれは必須です。

②寝返り方向への頸部回旋+寝返りと反対側上肢の協調運動を出しながら側臥位へ以降する際に肩関節外旋させながらover head reachまで誘導します。

理由としては、頸部回旋+眼球運動により中脳レベルまでの賦活を狙います。

→PDの原因部位は中脳黒質の問題でしたよね。

そこから側臥位へ移行するに従い、上肢挙上に伴う体幹伸筋群を活性化させる事で、今後の座位や立位での抗重力位に対する準備もこの段階できるからです。


座位

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ここでは骨盤と脊柱の伸展と、それができるとそのまま両上肢挙上運動により更なる伸筋群の活性化を図ります。
また自律神経が胸髄から派生しているため、睡眠障害や膀胱直腸障害、起立性低血圧なども含めた自律神経障害に対してもアプローチが出来ます。

→起立性低血圧や睡眠障害があれば、リハビリも積極的に行いづらいですから。
その後は体幹の回旋要素を取り入れ臀部圧の変化や立位での準備段階を進めても良いかと思います。
これが出来てくるとそのまま起立練習まで以降できるかと思います。


立位

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立位では重心移動の練習がメインです。
PD患者は歩行開始時や方向転換時において、動作が緩慢となる場面がかなり多いように思います。更にすくんだ状況において重心移動が困難であるため筋緊張を上げてしまい全身を固めることにより、すくみ足が助長されてしまうと考えています。
そうなると、結果的に転倒に繋がる可能性が高いですよね。
その為には↓↓

①左右への重心移動
②前後への重心移動
③回旋要素を取り入れた重心移動

が重要となります。

①では左右均等に移動ができるようになるまで行います。

②では後方への移動に関して特に難しいと思うので、前方へ移動ができたら元の位置に戻るところから行い、徐々に拡大していくと良いかと思います。

③最後に回旋運動ですが、解剖学的にも筋自体は回旋要素が乏しいため、難易度としては一層高くなります。
この場合、重心の上下移動は要素に入れず、回旋のみで実施します。そこから上昇と下降の要素を少しずつ加えていき方向転換や歩行に類似した状況で練習を行います。

これらを行う事で網様体脊髄路を活性化でき、歩行開始までスムーズに可能となります。
また歩行中に立ち止まったとしても重心の円滑化が図れている為、動作における所要時間が短縮されます。


歩行 

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歩行中は敢えて、いつも以上の歩行速度で練習したりもします。
これは、普段の歩行速度に応じて、体幹や四肢の動きも普段の状態であるために毎回同じ動作。
つまり、同じ状況での動作であるため同じ場面ですくみ足が出現すると考えます。

歩行速度を上げる事で視覚情報、重心移動、床反力、筋活動、リズム性にそれぞれ変化を求める事ができると思います。



以上が僕が考える理論と治療方法でした。

今回の内容が少しでも皆さんの一助となれば幸いです。

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