見出し画像

本のこと|生と死をつなぎとめる 柳美里「ねこのおうち」

クラウドファンディングで柳美里さんに選んでいただいた、ご本人の著書「ねこのおうち」を読みました

柳美里さんのブックカフェにクラウドファンディングした話はこちら ↓


題名の通り、7匹のねこたちと
そこに関わる人たちの人間模様(ねこ模様)を描いた作品です


最初に登場するニーコは公園に捨てられてしまう
ほどなくおばあさんに拾われて、ニーコとおばあさんは、幸せに暮らす
そのうちおばあさんは、痴呆症になって、ニーコはノラ猫に戻ってしまう
ニーコは6匹の子猫を生み、6匹はそれぞれの飼い主に出会い、「おうち」を見つけていく
一方、ニーコは、ねこ駆除のための毒ダンゴを食べて命を落とす…

6匹がそれぞれの飼い主に出会っていく経緯もそれぞれで、
それぞれの飼い主に、それぞれの事情がある


感じたのは、「みんな、いろいろある」ということ

日々過ごしていると、周りの人たちがそれなりに順調に人生を送っていて
なんだか自分だけがうまくいかない、みたな
取り残された感覚を持つこともあるけれど、

みんな、いろいろ、ある

子どもは子どもながらに
大人は大人ながらに、
いろいろ、ある

そんな中で、ねこはいつも静かに寄り添う
でも、ねこの意志に関わらず人によって命を左右されてしまう

捨てる人がいたり、救う人がいたり…


このnoteのタイトルにした、「生と死をつなぎとめる」というのは、巻末の武田砂鉄さんの解説の言葉

命を凝視し続けてて来た作家・柳美里が本作で対峙するのは「死への鈍感」と「生への敏感」である。
人間の都合で市に近づけられてしまった命を、人間が拾い上げ、生をつなぎとめていく。(中略)
生と死はいつだって互いと互いを意識していなければいけない。
(解説 生と死をつなぎとめる 武田砂鉄  より)


解説まで読み終わったら、山田詠美さんの「学問」のことを思い出しました
この本も、生と死について、強く意識させられた作品です
この先noteでご紹介したいと思っています


生きていると、いいことばかりではないけれど、
生きていることを大切にしたい

ねこたちと、人たちの生活と命を通し、
そう感じさせられる作品でした


そういえば、子供のころ実家の納屋でねこの鳴き声がしたことがあって
奥の方で本当に小さい子ねこを見つけたことを思い出しました

我が家は祖父の方針でペット禁止だったので、
ミルクをやって、悩んだあげく、
近所の顔見知りのねこを頼って見せに行ったら
すぐに首根っこをくわえて連れて行っちゃった

あの子ねこは、あの「おうち」でちゃんと、幸せに暮らしたかな…
かわいかったな🐈


この記事が参加している募集

読書感想文

最後までお読みいただいきありがとうございました!私のnoteはすべて無料です。 サポートも もちろんうれしいですが、また読みにきていただけたら、そしてフォローやスキ♡、コメントしていただけたら、とても励みになります(^^)