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言語探偵 T:信大・言語の事件簿

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2021年6月の記事一覧

言語探偵T 第4話

言語探偵T 第4話

認識問題 (前編)
英語母語話者は無意識で冠詞を使いこなしている。
このネイティブの「直観」の中身を暴き出したいものだ。

1.関係節による限定の謎

時折、以下のような質問を受ける。

関係節が使われると限定(説明)されるので、theをつけるのか?

しかし、関係節で説明されているからといって、必ずしもtheがつくわけではない。

次の2つの文の違いについて考えてみよう。
(『わかりやすい英語冠

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言語探偵T 第3話

言語探偵T 第3話

特定問題 (後編)
「the sun問題」に対して、いくつかの解答が寄せられた。
そのうちの2つを紹介する。

3.the の特定の仕方の謎

sunにburning (灼熱の)のような形容詞がつくと、「太陽の1つの状態」を表すから a がつくといえる。

しかし、sunは「1つしかないからtheがつく」といえるのだろうか?

固有名詞も1つしかないものであるが the はつかない。
たとえば、ミ

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言語探偵T 第2話

言語探偵T 第2話

特定問題 (中編)
the は確かに特定できるものを表す。
でも、目の前にいるからといってtheは使えない。

2.特定の中身が不明な theの謎

「タイタン問題」を解くカギは、theの「特定」の中身にある。

それは、聞き手も「すでに知っている」ものを表すということである。

目の前にいるものを指すならthatやthisなどの指示詞を使えばいい。
指示詞ではなくtheを使うなら、聞き手もすでに

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