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今週の【ほぼ百字小説】2021年11月29日~12月5日

 今週もやります。よろしくおつきあいをお願いします。【ほぼ百字小説】をひとつツイートすると、それについてひとつ書きます。100円で一週間分読めます。最後に全部を通して朗読して音声ファイルを貼ります。まあ道端でやってるライブに投げ銭する感じで100円投げていただけるとなかなか励みになります。

 今回も、オマケ掌編『ショートカメリ』がついてます。

11月29日(月)

【ほぼ百字小説】(3472) いつもの空き地にいつもの猫がいる、と思ったら、様子が違う。前方の雀を狙っているようだ。走った。跳んだ。普段からは想像もできなかった思いがけない野生に驚く。間一髪で雀は飛び去り、いつもの猫がそこにいた。

 猫です。まあ『100文字ねこ』は、いちおう仮に完成させたので、もうこれは加えません。見たまんまです。こういう光景に出くわしました。そして、なかなかいいものを見たなあと思いました。それをそのまま書き留めてみました、というやつ。近所にいるよく見かける猫で、けっこう食べ物をもらってるところを目にするんですが、あいつにもあんな野生があるんだなあ。

【ほぼ百字小説】(3473) 人魚を作った余りもので作った。上半身が魚で下半身が人間、だからまあこれだって、人魚と表示してもいいのでは。そのうち問題になるかもしれないが、今のところはまだ大丈夫。それにどうせ切り身にして売るのだし。

 人魚のミイラですね。あの猿と鮭を材料にして作ったと言われてるやつです。子供の頃、夏場によくテレビでやってた怪奇スペシャルみたいなので何度も見ました。そういうものがたくさん作られた頃があったらしいですね。まあそんなのを作ってるんなら余りものでも逆のやつを作れるだろう、と。逆人魚、というか、魚人、というか。でもまあミイラだとおもしろくないので、ここでは生身というか、まあショッカーの改造人間みたいな感じにしてます。人魚女とか人魚男を作るんですね。余りができるのは同じ。それから、人魚と言えばその肉ですね。不老不死になるとか八百比丘尼伝説とか、まあそんなのを絡めて、人魚の肉として売る。だからそっちの余りもので作ったやつの肉も「人魚の肉」として表示して売る。こっちも人魚には違いない、ということで。どうせ偽物なんですけどね。しかもいちど人魚の形にしてから切り身にして売る、という、もうなにやってるんだかわからない、というところで落ち。いろんな成分をわりとぎゅっと詰められたんじゃないかと思います。

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