〘お題de神話〙 御魂の音──たまのね
シャン ────!
涼やかでいて凛とした音が辺りの空気を震わせた。
「なんと言う音色……」
比丘十八物のひとつとされるその杖は、頭部の輪形に遊環と呼ばれる輪が通され、揺らすと都度音が鳴る。
「その音を聞くだけで満たされた心持ちでございます」
道端に伏した民人は、姿が見えなくなり、音が遠ざかっても、まるで聞こえているかのように手を合わせていた。
(この錫杖の音を聞いて心穏やかならざる者などないだろう)
杖の主は思う。
(ここには、我が友の……いや、我が友たちの御魂が宿っているのだから──)
シャン! シャン!
人々の身心を乱し悩ませる心の働き──〈穢れ〉や〈汚れ〉──をその音で雪ぎ、浄化うため、来る日も来る日も歩き続けているのだった。
だが、時にはその音の根源を思い起こし、足を止めることもある。
根源──即ち、杖に宿るふたつの御魂の存在であった。
目をつむり、手にした杖を揺らすと遊環が共鳴し、清冽な、それでいて包み込むかのような音を発する。
シャラーン──
シャリーン──
夜の宙に音がとけてゆく。
その音は友たちの性を悉に現しており、故に、ここに姿が見えずとも、聞けば共に在ると感じられた。
その身に業火を纏い、世を浄化い、新たなものとして生み出す者──阿修羅王。
一切の衆生を救済すべく、新たな世に覚醒める者──弥勒菩薩。
かの日より56億7000万年の後、邂逅を懐かしむ暇など恐らくはない。例え、この後に於いて、すれ違うだけの運命であったとしても。
それでも、右手に杖、左手には宝珠を携え、ふたりを迎える世までひたすらに歩き続ける。
六道全ての衆生を救うために。
滞りなく、新たなる世に移り変わるように。
杖の音と共に慈しみの心をそそぐ者──その名を地蔵菩薩と言う。
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神話ではなく仏話になりました。世界観はほんのり自作にかぶしてます。
釈迦入滅より56億7000万年後(※)に人々を救済するために現れる弥勒菩薩が不在の間、代わりに衆生を救う役を担ったとされているのが地蔵菩薩だそうです。六道全てを救う任に当たっていたようですが😅(※)元は5億7600万年後であったものが、後年56億7000万年に入れ替わったとされています。
ナンチャッテ仏教徒なので、そこは妄想としてお読みください(笑)
さて、『錫杖』ですが、『錫』と付いているワリに遊環の素材は鉛や鉄であるとのこと。もしくは鉛と合金で使われているのかしら? 名前の由来は『錫々』と鳴る音からと言われているそうです。当て字ひど過ぎん?www
ちなみに、テーマが〈杖〉なのに魔女っ子ステッキより錫杖になった責任の一端は、テレビアニメ『鎧伝サムライトルーパー』にありますwww(転嫁!)
途中からキャラ変し、いきなり托鉢僧の格好になった 手天童子(鬼魔将・朱天) と言うキャラがジャラジャラ錫杖鳴らすのが悪い!w(いや、元は迦雄須ってキャラがその格好で朱天は受け継いだ感じなのですけどw)
あ、私が好きだったのは白炎と言う白虎です✋ ←
そして『杖』ですが、恐らく部長がお題として出した時に何となくイメージしていたのは、
「エクスペクト・パトローナム!」
……的なもの(観てないけど呪文合ってますよね?w)、もしくは『海が割れる』寄り的なものだったのではないかと思うのですが😅
一応、王笏とかヘルメスの杖とかも考えはしたのですけどね。(下書きの嵐)
夏企画の時の下書きの数もなかなかでしたから、まとまらないって恐ろしいことです(-_-;)
あと〈杖〉と言えばお茶の間で大暴れの越後のちりめん問屋のじーさんですよね。神話でも何でもないやつですがw
私、あの杖は絶対ホントは仕込杖だと思っていて、お茶の間ではビシッ!バシッ!ターン!しかやってないけど、楽屋裏ではドシュッ!バシュッ!ズバッ!ってやってると確信してます。 ←
最後、「成敗!」って言ってたりね。(番組違)
さらに話は変わりますが、つい昨日、我が部・夏の企画まとめアンソロジーが発表されました!(*´꒳`ノノ゙☆パチパチ
これが終わると、少し寂しいけどほっとする、自分にとっての風物詩になって来た4年目の夏祭りです(笑)
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