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他者が存在しない理想の世界

理想の世界を想像し、イメージの中で創造してください。そして、その世界に住むことを想像してください。

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この世界自体が幻想です。そのため、理想の世界を想像し、その世界に住むことを空想することは、別の幻想の世界に移るようなものです。自分で作り上げたメタバースに入るようなものです。

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空想の世界に住むことは現実逃避ではありません。現実自体が幻想であり、幻想であるために恐れるものもありません。ただし、幻想である現実よりも、イメージの中に創造した理想の世界の方が美しいため、空想の世界をメインの世界に選ぶのです。

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空想の世界には無限の可能性が広がっています。どんな理想の世界も創造することができます。そして、その空想の世界には価値があります。現実的なものだけに価値があると思うのは間違いです。

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あなたが孤独を愛するならば、あなたの理想の世界に他者を存在させる必要はありません。

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他者が存在しない世界であれば、倫理や道徳、義理や社会性も必要なくなります。また、孤独になることで心の安息を得ることができます。

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孤独の中で、私たちは「真の自己」を見出し、生きることの美しさに気づきます。

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内なる神性である「本来の自己」から霊感を受け取るためには、孤独が必要です。

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孤独は、自己と向き合う静かな時間であり、自己探求や内省の場となります。周囲の騒音や影響から解放された静寂の中で、自己の深層にある欲求や価値観を見つけ出すことができます。

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芸術こそ人生です。美を追求することが人生です。現実的な作品を生み出すことだけが芸術ではありません。理想の世界を想像することも立派な芸術活動です。美しい理想の世界を想像し、イメージの中で創造するのです。創造活動は魂を充実させます。

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『悲劇の誕生』はそもそも「生存と世界」とを「一つの美的現象としてのみ」、すなわち芸術作品として是認しようとする試みであり、力点は世界そのものの「美」の問題に置かれている。

梅田孝太『ニーチェ 外なき内を生きる思想』 (法政大学出版局)p48

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夢の世界の産出という点ではあらゆる人間が十全な芸術家なのであるが、この世界の美しい仮象はすべての造形芸術の前提であり、それどころか、後述するように、文芸の重要な一半でもある。〔夢のなかで〕われわれは直接的な理解において形姿を享受するし、すべての形式がわれわれに語りかけ、どうでもいいもの、不必要なものはなにひとつ存在しない。この夢の現実の最高の生に参与しながらも、われわれはやはりそれが仮象であるという、一貫して流れる微かな知覚を持っている。少なくとも私の経験ではそうであって、この経験の多発性、のみならず正常性については、あまたの詩人たちの証言と発言を援用することもできよう。哲学的な人間ならば、われわれの生き、存在するこの現実の下に、第二のまったく別個の隠された現実があり、したがって第一の現実もまた仮象であろうという予感をさえ持つのである。『悲劇の誕生』

『ニーチェ全集第一巻』(白水社)p30-31

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