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但馬皇女(おそらく人妻)への穂積皇子からの挽歌

今週のインスタライブ #万葉週話 は
「文武両道、人望篤き早世の皇子さま、
高市皇子(たけちのみこ」
 
の(おそらく妻)とだろうと言われている
但馬皇女(たじまのひめみこ)へ、
夫じゃない穂積皇子(ほづみのみこ)から贈られた
挽歌をご紹介しましたー*

インスタライブ アーカイブ▲

「どういうことなの?!」と言いたくなる
ご関係ですが(笑)

秘密の恋人、タジーとホヅィー

万葉集一、長い挽歌を贈られるくらい
人望も社会的立場もある高市皇子さまを差し置いて
穂積皇子こと“ホヅィー”(勝手にアダ名シリーズ)に
熱烈苛烈な恋歌を贈っていた
但馬皇女こと“タジー”。

(そこまで夢中にさせるホヅィーは
どんな魅力のある方だったのかしら?!)

その時の返歌は残っていないので
どういう心境だったのか分からないのが非常に
「もどかしい〜〜〜!」なのだけど、
二人の関係はホヅィーの左遷(?)的な
勤務地移動により終わった模様。

この歌はそれより十数年後、
和銅元年(西暦708年)六月二十五日に
タジーが薨(亡くなる)じられた年の、
冬に詠まれた歌だと題詞に書かれています。

タジーへの挽歌(死者に贈る歌)

降る雪は あはにな降りそ
 吉隠(よなばり)の 猪養(ゐかひ)の岡の
  寒からまくに
 
(訳)降る雪は たくさん振らないでおくれ
 吉隠の猪養の岡は 寒いだろうに

万葉集203

タジーが身罷られたのは旧暦六月、
今の七月なので夏の盛り。

きっと抜けるような青空と白い雲。

生を謳歌する虫や鳥の歌声響くなか、
命の煌めきあふれる中で
死を見送るホヅィーの気持ちは
どんなだったろうなあと思うのです。

そのコントラストがより悲しくもあり
けれどたくさんの花や、
鮮やかな夕焼け、星空…
美しいものと一緒に見送ることができたのは
心の救いにもなったかもで。


それが、今はこんな鈍色の空の下、
花も咲かず、鳥の声もせず、
冷たい雪ばかりの山に
ひっそり一人きりで葬られている、タジー。

圧倒的な自然の摂理に
「何もできない自分」というのを、
葬送の時のように、また噛み締めることに
なったのかな、とも…(涙)

「寒いだろうに」と、
「あたためてあげれたら」と
思ってしまうホヅィーの優しさが
見える1首だなあ〜と!

まあ、「自分もそちらに行きたい」
という言葉が出てこないところが
タジーへの返事の無いことや、
彼の性格ゆえのことかな…と
妄想も膨らむところではありますが。

あなたはどんなホヅィー像を
思い描かれますか?

インスタライブ・アーカイブ

今日のお着物

今日も雪と葬送のイメージで*

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