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子どもを見取る

子どもの見取り

教師をしている上で、常に探究し続けるべき要素の1つが子どもの見取りだと思います。

今回は改めて、「子どもの見取り」について言語化していきたいと思います。


1. 見取りの力はなぜ必要か?

子どもを見取る力がなぜ必要なのかについて考えてみましょう。

私たち教師の仕事は、要するに子どもを成長させることです。教科書やさまざまなカリキュラム、〇〇教育メソッドなど、世の中には子どもが将来の社会で力をつけるために必要なものがたくさん存在します。

しかしその力を身につけるのは当然ですが、子ども自身です。子どもたちがどのように感じ、考え、力をつけていくのか、どんな力を身につけたのかを私たちは見取りによって読み解き、自分たちの手段を最適化していく必要があります

2. 見取りの場面

「見取り」と一口に言っても、その場面や方法は多岐にわたります。

具体的にどのような場面や方法があるのか、以下に示します。
今回は、お城のつくりをなぞって

外堀編、内堀編、本丸編に分けて考えてみました。

<外堀編>
1. 年齢(発達段階)
2. 昨年度の様子を聞く
3. 指導要録

<内堀編>
1. 授業の成果物から見る
2. 周りの子どもからの話を聞く
3. 保護者から話を聞く
4. 他の職員から話を聞く

<本丸編>(本人の様子から)
1. 傾向や特性的な視点から捉える
2. 時間帯で見る(朝、正午、午後)
3. 教科で見る
4. 曜日で見る
5. 時期で見る(何月なのか)
6. 定期的な面談やアンケートから


<外堀編>では大まかに子どもを把握することができます。学級担任になる前から子どもの情報を得ることができるというメリットがありますが、実際に目で見た場合はバイアスがかかってしまう可能性もあるため、自分のバイアスのない情報を得ることが重要です。

一方で、詳細な情報が得られない場合や、過去の情報が多いため現在の状態と異なることに注意が必要です。

<内堀編>では外堀編よりも子どものリアルな情報を得ることができます。現在の状態に近づけるために、さまざまな人からその子の情報を聞き取ることで、多角的な視点で子どもを捉えることができます。

<本丸編>では子ども自身を直接目で見取ります。この方法が最も多くの情報を得られる可能性があると言えます。
 ただし、見取りと言っても「視点」がなければ意味がありません。例えば、①から⑥のように場面や視点で区切ることで、「その子」がより明確になります。

気をつけなければならないのは、人間には確証バイアスがあるということです。自分の考えを強化する情報だけを重要視し、それ以外の情報を軽視してしまうことがあります。

自分の見取りに過信するあまり、見取りが「レッテル」になってしまわないように注意が必要です。


3. 大切なのは見取りのその先にあるもの

ここまで見取りの視点について言語化してきましたが、大切なのは見取りそのものではありません。

重要なのは、「見取ってきたことを生かしてどう指導・支援していくか」です。

ただし、見取りから指導をする際に「彼は〇〇だからいくら指導しても無駄だ」と考えることは意味がありません。私が言いたいのは、見取りを活かしているということです。

子どもは大人になっていきます。子どもたちが社会に出ていったとき、どのように生活しているのか、幸せに過ごしているのかを想像してみてください。

「18歳になった時のその子を想像しなさい」と、特別支援学級の担任をしていた際に先輩教師から言われたことがあります。義務教育を終え、高校も卒業するであろう18歳のその時のその子はどうなっているのでしょうか。

そこから逆算し、微力ながらその子と向き合い、どのような力をつけていけばいいのかを考えるために、見取りを活用するべきだと思います。

4. 終わりに

今回は「見取り」について言語化してきました。

あなたが見取りで大事にしていることは何ですか?

見取りはただ情報を得る手段ではありません。得た情報をどう活かし、指導や支援に繋げるかが重要です。

「彼は〇〇だから無駄だ」と決めつけるのではなく、見取りを通じてより良いアプローチを考えることが求められます。

子どもたちは将来的に大人になっていきます。その際に彼らがどのような生活を送っているのか、幸せに過ごしているのかを想像しましょう。

私は、見取りを通じて子どもと向き合い、どのような力を育てていくべきかを考える必要があると思っています。

今日はこれでおしまい。

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