さようならの時
頭の中の
境界線の敗れた穴は
ちょっとづつ
ふさがれているのだろうか
リョウコの様子からは
あまりわからない
けれど
以前よりも
縛られることが少なくなってきた
あんなに好きだった
甘いものを何も食べていないからか
ほっそりとした
横顔
薄暗い部屋の中では
顔色は悪い
閉鎖病棟のドアは分厚い
何重になってるんだろ
特別なドアだ
そこに小さなガラス窓がついてる
20㎝×15㎝くらいの小窓だ
声は全く聞こえない
中が見えるだけの窓
さようならの時
いつも
バイバイって
その窓から見える
バイバイしてるリョウコ
慣れてきたころに
何度も何度も
バイバイしてた
行かないでって
言ってるように見えた
ただ時間が流れる
いや
止まってる
ガラスの小窓は
ふさがった穴と一緒だ
リョウコの頭の中の
境界線の穴にちゃんと蓋ができたら
こっちに戻ってこれる
閉鎖病棟は
リョウコの
潜在意識の中みたいだ
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