コルクラボ編集専科奮闘記 #2「今日の学びをコンテンツ化するという挑戦」
昨日、僕はコルクラボ編集専科の第2回に参加してきました。前回に引き続き、今回も「学びを言語化」にチャレンジ。前回は感想というアウトプットでしたが、今回は誰かに届くことを意識した「コンテンツ」として言葉を綴ってみました。それこそ「編集」の実践!
前談、なぜ「編集」が必要なのか?
そもそも僕は健康食品と化粧品の通販会社に勤めていて、会社での役割は、採用とリピートマーケティングの担当です。そんな人間がなぜ「編集」を学ぶのかというとシンプルに「コンテンツの時代」を生き抜く力を得るためです。なぜコンテンツの時代かの説明は下記の記事に任せることにします。
この記事を田端さんが絶妙な表現でまとめてくれています!
これは、採用活動する上でのイベント企画やリピートマーケティングをする上での販促物の企画においても同じことが言える。その中で、今まで通りに人事同士、業界のマーケター同士で情報交換していては間違いなく世の中から取り残される。そんな危機感から、この場所への参加を決めました。
実際、日本のこれまでもこれからも「エンタメ」業界が一番盛り上がっている。
つまり多くのお金が動き、良い人材が集まり、知識と知見が集まるのは当然であり、そこから学ぶことはビジネスパーソンとして必須のようにも思う。
出来ることなら僕自身が先頭に立って学び、活用し、自社だけでなく今まで育ててきてもらった業界に恩返しが出来ればという願いもあったりする。
講師、鈴木重毅さんという人について
今回の講師は、多くの大ヒット少女漫画の編集を担当されてきた「鈴木重毅」さんです。僕自身、勉強不足ゆえに名前を存じ上げてなかったけれど、今まで担当された作品を見れば少女漫画に疎い僕でも知っているものばかりだった。
また、事前に鈴木さんのことを知りたいと思い、鈴木さんのnoteをすべて拝見しました。その中から僕が好きな記事を2つ紹介させていただきます。
フォロワーさんからの質問に対する答えが好きだった。(一部抜粋)
この中で、鈴木さんの価値観に触れることができました。
紡がれる言葉から、人に対してすごく熱くて優しい人なんだなぁと感じて「あっなんか好きだなこの人」という気持ちで臨みました。そして、その感覚は直接お話を伺うとなお強くなっていくのです。
「編集者とは、自分が良いと思うものを、出来るだけ多くの人に良いと思ってもらう仕事。」
鈴木さんがコンテンツ作りで大切にしているのは「読んだ後に、前向きになれるかどうか」とのこと。
もっというと、普段みんなが見ていないところに対して「良いな♫」って思ったことや「こんなにも素敵な世界があるんだ!」って感じたことを、ほかの誰かにとっても良いと思ってもらうこと、それが出来るだけ多くの人にもそうなってもらうことが「編集者の仕事」だとおっしゃっていた。
そんな人に対する思いが強い鈴木さんだからこそ、良いモノ作りをする上での「コンテンツ」と「コンテクスト」についても素敵な言い回しをされていた。
すごく素敵な表現だと思った。実際、僕自身も就職活動をする学生の「仕事とは何か」という質問に対して「仕事とは、プレゼントを贈ることだよ」と表現していたので、すごく共感したし、来て良かったと何だか嬉しくなった。
なぜコンテンツとコンテクストを同時に考える必要かは、だれかの誕生日を祝う時のことを考えてみれば良いと思います。
親友の誕生日に「喜んでもらいたい」とプレゼントを選びに買い物に行く。その時、渡すシチュエーションを自然と考えますよね。そのシチュエーションによって、サイズ、数、種類、金額感・・・包装の仕方、手紙を添えるかどうかなど、渡すものと渡す方法は自然と同時に考えている。
その大切な人には当たり前にやっている工程を、コンテンツを作る上でもやるということです。
コンテンツ&コンテクスト作りの4工程
鈴木さんはこの工程を下記のように分類している。
(各工程の説明は、どうしても説明の再現が難しく、自分なりの解釈でまとめているため、講演内容にはない表現や割愛部分があります)
1、入り口のコンテクストを作る
「入り口」ということだけあってプレゼントの渡し方における「受け取る」瞬間のシチュエーションのことだと解釈しました。プレゼントを受け取る人が今どんな状態であるかを考えようってことだと思う。
それを「社会の文脈を捉える」または「社会の雰囲気がどういう気分でいるか」と鈴木さんは表現されていた。
これは具体例(となりの怪物くん)で説明する方が理解できると思う。
鈴木さんが「となりの怪物くん」の際には、若者にとって「付き合うこと」がネガティブな印象が強くなり「そもそもなんで付き合う必要があるのか?」という空気感があったという。そのため「誰かと付き合う良さって何か」をテーマに据えて作ったとのこと。そう、鈴木さんが企画の真ん中に置いている「読んだ後に、前向きになれるかどうか」そのものだ。
この「社会の文脈を捉える」で言うと、昨年少女漫画で一番売れた「コーヒー&バニラ」という作品(現在テレビドラマ放映中)のヒットした理由を、編集長の畑中さんがこう述べている。
この具体例を通して「社会の空気感を捉える」ことと「企画者の答え」を提示することがコンテンツを届ける上ですごく重要であることがわかってもらえただろうか。
2、入り口のコンテンツを強くする
自分たちがどこにいて、どこに向かうのか。
長所は何か。どういう個性を持っているのか。
それらを理解すること。
これを鈴木さんは「座標を確認する」と表現していた。
これは企業の在り方と一緒だなと思った。
流行りとかそういう流れだけで考えるのではなく
戦略という名のガチガチの理論武装で作るのではなく「自分自身」に問いながら作ることが大事。
はたして、それが自分たちの強みを生かしているのか?
それらを鈴木さんは、読者のアンケート内容やネットの反応によって確かめるとおっしゃっていたが、それも企業と一緒だと思う。顧客の声を聞くことで、自分たちの強みを知ることができる。
さらに言うと、その作品が自分たちの情熱を注げるか。魂を込められるものであるかは、コンテンツにおいて極めて重要だと思う。愛されるものを作るには、自分たちが一番愛してあげなきゃいけない。理屈ではないものを意識しないと。魂が込められるものこそ、強みと言っても過言じゃないと思ったりする。
これらはエンタメ業界以外のコンテンツでは、まだまだ重要視されなかったりするが、今後はどの業界にとっても必須要素となっていくように思う。
3、コンテンツを強くする
コンテンツを強めるとは「伝えたいことを絞ること」だと言う。これは、分かっているようで中々できないことだと思う。多くの社会人が一度は「伝えることを絞る」ことを意識させられたり、誰かに諭されたりしたのではないだろうか。これは作品作りも一緒だ。
またその説明の中で出てきた「読み筋」という考え方が、面白かった。
つまりなにがどうなるか見当がつかないものは読めない。きっとオチはこうなるんだろうなぁと。この主人公が最後にこの敵を倒すんだろうなぁとか。この男女が最後に結ばれるんだろうなぁとか。何となく話の流れを掴めるって大事だよってこと。
これは、以前に見たハリウッド映画の脚本術でも大事だと書かれていた。以下が、王道のハリウッドの脚本パターンである。
その中で、1から5を開始10分から30分ほどで描く。するとあとの1時間半は、6を観ることに集中できる。ヒットするものに、こういうパターンがあるということは、人は先がある程度読めるものしか楽しめないという証明のように思う。
コナン君が「犯人はお前だ!」って言ったのが、観客だれも予想していなかった人物だったら最悪だもんね(笑)
よく考えると旅行も一緒かも。誰も見たこともない絶景なんて行きたいと思わない。写真や映像で見たことのある絶景だからこそ、時間もお金もかけて行くことが出来る。そして、周りが知っているからこそ行ったことを自慢できる。
コンテンツ作りって「誰も見たこともない」って思いがちだけど、既視感って大事って話。
4、出口のコンテクストを作る
出口とは、作品を誰かにシェアするときのことだと言う。
コンテンツを広げていく上で、友人同士の紹介が重要なのは周知のことだと思いますが、その際に説明しにくい作品は紹介しづらいし、そもそも話題にもしづらい。出来るだけ簡単に紹介できるようにする。「なんかおもしろいから読んでみて」じゃ伝わらないし、会話も生まれない。作品の魅力を簡潔に言葉にしてもらえるようにすることこそ出口のコンテクストを作ることであり、作品が広まっていくことに繋がる。
プロとしての素人目線が実は「一番大事」
これは自分が良いと思って作った作品が「他の誰か」にとっては、どう感じるかを考え抜くこと。ここの良し悪しによって届く人の数は大きく変わってきてしまう。
これは「本当にいいものか」をある種作業的に確かめていく行為だった。その方法をいくつか鈴木さんが教えてくださったので、その中から割と活用しやすいものを選んで紹介する。
内容を一言で表現できること
作品の内容を一言で言えるかどうかがいい作品であるかに直結する。それが、読み進めやすさであり、簡単に説明できる紹介しやすさに繋がる。これは漫画に限ったことではない。採用という仕事柄、プレゼンをする機会が多い私にとって「一言で表現する」とは、意識していることでもある。プレゼンの神であるスティーブ・ジョブズがそのいい例だ。
特にiPhoneに関しては、小さなスーパーコンピュータと言わず、ただの1機能に過ぎない電話の機能がさも中心にあるかのように表現することで、ありとあらゆる人に対して自分ゴト化させたのが凄いところだ。
7種類の読み方で7回読むこと
意識的に読み方を変えることで、自分の目線以外の読後感を感じることができる。その方法がフォーマット化されていたので、紹介します。
今後は自分の企画、たとえばブログやtwitterのつぶやきひとつとっても、この工程を行えばより良いものになると思うので試してみたいと思う。
プライドを外す
これはそのまんまだ。恥ずかしいとか、否定されたくないとか、そういう自分に向いた意識を捨て、いろんな人の意見に触れることだ。それが企画を深めることに繋がる。多くの人に届けるために、多くの人の意見を知るというのは、すごく当たり前でありつつ、なかなか実践できなかったりする。
自社のターゲット層がほとんど女性であることやプレゼン対象者の年齢が10歳以上離れた学生だからこそ、自分の感覚に頼ってはいけないなと再認識させられた。
以上が、今回のワークショップのまとめとなります。拙いまとめだったと思いますが、何かしらの価値になっていれば幸いです。
今後、私も企画する中で「コンテンツとコンテクスト」について考えてみたり、「素人目線」で評価してみたりすることで企画をブラッシュアップしていきたい。
おわりに・・・
今回もこのようにワークショップをまとめるという工程を踏むことで、頭が整理された。また情報を受け取ることと発信することの大きな壁を感じることが出来て、このおわりにを書いていることの高揚感すらある(笑)
このような機会をくださった佐渡島さんには感謝でいっぱいだ。参加者のひとりが成長することで、何かしら恩返しになればと思う。
次回も頑張るので、ぜひまた観に来ていただければ幸いです。
戸田良輝
追伸
鈴木重毅さんの話は、本当に勉強になりました。何より印象的だったのが、話の節々から伝わってくる他者への優しさです。「こんな素敵な人が作る作品を見たい!」と心が躍り、人生で初めて少女漫画を買ってしまった(笑)「となりの怪物くん」の世界観の印象は、鈴木さんの文章に初めて触れた時のものと一緒でした。
「あっなんかこれ好きだ」
こんな気持ちを人に届けられる自分でありたいと思った日となりました。
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