見出し画像

ポジティブさんと憂鬱さん

<1>

だんだん前を向くのがキツくなる
嫌な予感…

逆戻りの感情が
心の隙を見つけてやってきた

「来たでぇ〜!」
キターーーーー!Σ(゚д゚lll)
憂鬱さん!!

しかも勝手に入ってきたーーー!
「鍵、壊れてるでぇ〜〜」

ガビーーーーーンΣ(゚д゚lll)

「久しぶり!いい具合のネガティブ持ってきたでぇ〜」
相変わらずの口調
しつこい勧誘のような馴れ馴れしさ

いらん!
いらんいらんいらん!!!

呼んでもないのに
なぜ来たの!?

「ずっと,会いたかったやろ?だから来たんや!」


え??
私が召喚したの?
そんなことない!!
頼む,帰ってくれ〜〜!!

「しばらくそばに居てやるからな!」

なんでやねん!!
断る!!


「今はポジティブさんがいるから
居てくれなくて結構です!!」


あれ?
ポジティブさん?

私のポジティブさん!
どこにいるの??

って…
寝てる(-_-)
冬眠レベルの爆睡だよ💦

ちょっとちょっと💦
ポジティブさん!
憂鬱さんが来ちゃったよ

「爆睡やなぁ。疲れさせたんやなぁ…」

確かに。
ずっと気を張ってた
前向いて頑張ってた


「しばらく寝かせとき!オレが居てるから心配いらんで!!」

それが1番心配なんだよぉ〜〜

なんとかお帰り頂く方法を考えなくては!!

<2>


「お!!やっぱ気がきくなぁ」
ソファーでくつろぐ憂鬱さんについお茶を出していた。

「あのね…私今,頑張ろうとしてるのよ。」
なんとか帰ってもらおうと切り出してみる
「憂鬱さんがいると,その気持ちが薄らいでしまうよ…」

またあの,暗くどんよりした気持ちに戻りたくない

「だから,帰ってくれない?」


憂鬱さんはソファーに座ったまま
私を見つめる

き…気まずい

「まだまだやなぁ!」
大きい声が部屋に響き渡った
「心配せんでもええ!しばらく居てるからな!!」
あはは〜と笑う憂鬱さん
作戦失敗,途方に暮れる私
気持ちよさそうに爆睡中のポジティブさん


憂鬱さんはポケットから何かを取り出して
「ほれ!!」
私に放り投げた


これって!!!

気がついたのが遅かった😱

受け取ってしまった
憂鬱玉


「…私って,ダメな人間なんだよ…
しっかりしていない。自分軸がない。
いつも後ろ向きで,寂しがり屋で、誰かに居て欲しくて
1人になるのが怖くて,泣いてばかりで,ブレブレで…」

これだよ,これ💦
手にした途端,憂鬱の沼の落ちて行く

動けない,考えられない
前を向けない
全てのことが嫌になる…


すっかり落ち込んだ私に
憂鬱さんはつぶやいた

「そんなのみんな持ってる気持ち。
完璧な人間なんてどこにもおらんよ。
喜怒哀楽はみんなに与えられた,
神様からのプレゼントやん。
今日はたまたま「怒」が多いだけ。
時には「哀」に浸かる日があってもええやん。
どっぷり浸かったら小さな「喜」や「楽」が
よりよく感じられる。
毎日が楽しいの連続やと感覚が鈍るで〜!」

「どんな感情も自分を作る大切なもん。
だから無くしたいって思ったり,嫌だって考えるよりも,
それでいいって受け入れんと苦しいだけやで。」

「いつもポジティブがええとは限らん。
ネガティブの時は自分を知るチャンスや!
自分に深く潜るチャンスやと思って
落ちたらええんちゃう?」


<3>


憂鬱さん…
ちょっと,いいヤツだ
こんなにポジティブなネガティブってある?(笑)

満面の笑みの憂鬱さんは
「そんなお前のこと,好きやで!」

明るい声が部屋に響いた

あれ?
なんか急に憂鬱さんの顔に夕陽が当たってる…
何?このシチュエーション
そんな演出いらんし(笑)


でも…
「ありがとう」
なぜだろう
心がフッと軽くなった


「さてと!そろそろ帰るわ!」

スッと立ち上がる憂鬱さん
急に寂しくなった

あんなに早く帰って欲しかったのに
もう少し居てもいいのにと,思ってしまった。


「ほら!あいつ,目を覚まし出したでな」
冬眠から醒めるクマのごとく
ポジティブさんがモゾモゾと動き出した。

そっか
ポジティブさんが寝ている間,そばに居てくれたんだね

「気をつけてね」
出口に向かう憂鬱さんの背中に向かって声をかけた。


「おう!また来るでぇ〜〜」


え…?
また来る…??

「いや…来たら来たで困る…」

戸惑う私を背に、手をあげてこう言った。

「また来る。多分,3時間後にな!!」


えーーーーーーー!!!



              終わり(笑)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?