チェルシー

プレミアリーグ18-19シーズン8節 チェルシーvsマンチェスター・U 「現状維持は退化」

チェルシーvsマンチェスター・Uの試合は、2-2のドローに終わりました。
両チームのスターティングメンバーはこちらでした。

この試合を見て、僕が気になったことは2つ。

1.敵を見て攻め方・判断を変えられる選手が少ない
2.モウリーニョが整備したのは、「守備ではなく攻撃」

です。
今回はこの2つについて書きたいと思います。

敵を見て攻め方・判断を変えられる選手が少ない。

この試合、明らかにチェルシーの攻撃はうまくいっていませんでした。サッリのベンチでの振る舞い、アロンソが終盤イラついてボールを蹴っ飛ばすシーンを見ても顕著に出ていました。

試合を見る前は、モウリーニョがガチガチにサッリ対策をしてきたのではないか、と思いました。もちろん全くしていないわけではなかったのですが、ここまで苦しめられるほど変態な策は打ってなかったと思います。

僕が思うには、「敵の動きを見て攻め方・判断を変えられない選手が多い」ことが最大の理由だと思います。

最近のチェルシーの攻撃は、サッリの影響もあってかなり機械的になっています。

また、上記からも分かる通り、

左サイド=高い位置で細かいパスを繋いで密集
右サイド=守備のバランスと、裏抜け用

という明確な役割分担がされています。
僕はこの試合ペドロがスタートで出ると思いましたが、この試合でのウィリアンの動き方を見ていると、サッリのロボットのようにショーの裏を狙っていたので、起用法に納得してしまいました。

90分間通して打開策を見つけられなかった最大の原因は、ピッチ内で起こっている現象に対して自分で考えて実行した選手が、僕が見ている限り「ジョルジーニョとアザール」しかいなかった。からだと思います。


ジョルジーニョとアザールに関する3つの動画は、ユナイテッドの守り方をいつもと違うプレーを選択して外したシーンです。

ユナイテッドの守り方を簡単に言うと、縦パスが入りそうなポイントで受け手に激しく寄せて、落としのコースも全て遮ってボールを回収する。というものでした。

前節のレビューで書かせていただいた通り、サッリのサッカーは人への意識付けが強いです。なのでモウリーニョは「人に食いついたところで奪い切れば問題ない」と考えたのでしょう。見事にその作戦は成功して、縦パスから多くのボールを奪いました。

その意図を認識した上で逆を取ろうとしたり、空いたスペースを活用する動きを見せた選手がチェルシーで2人しかいなかったので、チェルシーの攻撃は機能不全に陥ったのです。

タイトルでも言った通り、現状維持は退化です。

・相手の逆をつく
・人に食いついて出来たスペース(空けることに成功したスペース)

を認知して、攻める意識を各選手が持たなければ、今後勝ち続けていくことは難しいと思います。サッリのロボット止まりにならないような選手が出ることを期待したいです。

2.モウリーニョが整備したのは、「守備ではなく攻撃」


ここまでチェルシーのことについて書き続けましたが、モウリーニョが考えた「チェルシーの守備崩壊シナリオ」もなかなか面白いなと思ったので、それについて書きたいと思います。

僕が今までのレビューで挙げていたチェルシーの守備における問題点。

・SBの裏のスペース
・ボールが自分の背後まで回ってしまった時のプレスバックが遅い。

この2点に対して、モウリーニョ先生は的確についてきたと思います。

まず「SBの裏のスペース」ですが、リバプールのようにサラーとマネの攻め残りを利用することはしませんでした。ラッシュフォードとマルシャルは守備時にしっかりと場所に戻っていたので、攻撃開始時のポジションはかなり後ろ目に設定されていました。

ユナイテッドが狙ったのは、「チェルシーSBが前がかりに人を食いにいく」ことです。サイドから攻撃を開始して、アロンソやアスピリクエタが前に出てボールを取りにきたタイミングでポグバ、マタなど中央の選手、あるいはパスアンドゴーでラッシュフォード、マルシャルが裏のスペースを取りにいくという攻め方でした。

前半は全体の位置を下げて守備の対応をしていたためあまり機能していませんでしたが、後半ポグバが運動量を上げ始めたのと、最初の狙い所を変化させた(後述します)のもあって、チェルシー陣内まで攻め込む機会が増えました。

次に、「ボールが自分の背後まで回ってしまった時のプレスバックが遅い」点ですが、「ルカクへの縦パス」を意図的に狙うことでチェルシーの守備に綻びを作らせました。

ルカクへの縦パスを入れさせてしまったときに、チェルシーの中盤の選手はプレスバックが遅くなるため、落としのボールへの対応が遅れます。そのためユナイテッドは、強靭なフィジカルで簡単にボールを失わないルカクに縦パスを入れて、その落としからサイドへ展開していき、クロスで仕留めるという攻め方を志向しました。

ユナイテッドが奪った2点はいずれもサイドからの形で、後半チェルシーがうまく攻められなくなったのも、守備の時間が長引いてポジションを崩されたことが原因の1つであると感じました。

現状維持は退化

この試合で、また1つチェルシーを倒すための方法が確立されてしまいました。戦術は日進月歩です。監督だけではなく、選手も1試合ごとに少しずつ変化をもたらしていかないとすぐに越されてしまう厳しい世界です。

この先、勝てない試合も増えてくるとは思いますが、1シーズンという長い目で見たときにどれだけチームをアップデート出来るのか、を僕は見たいし、追っていきたいと思います。今後どのように変化するか注目していきたいです。

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