“奇跡”を起こすのはチームの力か
私の家では年末に高校サッカーが開幕したのを見届け、元日には天皇杯を観て、2日以降はまた高校サッカーを観るのが定番だ。
(箱根駅伝が東京ゴールだということも知らなかったくらい、お正月といえば高校サッカー)
当たり前になんとなく観ていた高校サッカーに特別ハマりだしたのは第90回大会。私が中学三年生の頃。
この大会でぼっこぼこにゴールを決め得点王にも輝いた、四日市中央工業高校(三重代表)の浅野拓磨にとにかく魅了されたのだ。
田村翔太とともに、両者とも当時二年生でツートップ。同じチームながら得点王をバッチバチに争っていた。
とはいえ絶対的な信頼関係により、阿吽の呼吸でチームを支えた名コンビ。
浅野も田村もマシンガンのようなスピードを持ち、その攻めの姿勢は観ている方をワクワクさせた。
特別浅野拓磨に魅了された理由は、田村に比べても圧倒的に正面からドリブル突破する力強さがあったからかもしれない。完全に惹きつけられた。
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この年の四日市中央工業高校、通称四中工はとにかく“持っていた”。
三回戦では後半ロスタイムで同点に追いつきPK戦で勝利。
その次の準々決勝でも、後半ロスタイムで同点に追いつきPK戦で勝利した。
メディアは“ミラクル”や“奇跡”だと称賛していたが、私は必ずしもそれだけではないと思うのだ。
四中工の選手たちによる「勝ち」への姿勢と言うべきなのか。
中3の私にはそれぞれの強い意志がしっかりと同じ方を向き、それを呼び寄せているように見えた。
言葉で交わしているわけでなくとも、プレー中互いに「絶対勝てるやろ」「当たり前や」なんて会話を脳同士で通信しているようにすら思えた。(え??頭おかしいって??w)
そのくらい、どんだけ試合が押されていても負ける気を感じさせなかった。「何かやってくれるはずだ」と思わせてくれるチームだったのだ。
個人技も超優れていたが、これこそが“チームの力”だったのかもしれないなあ。
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スポーツの世界ではよく、「運も実力のうち」という言葉が飛び交う。
「運が良かった」「ラッキーだった」と言ってしまえばそれまでだ。
しかし、その“運”による“奇跡”というのは、チーム全体が同じ信念を持ち、というかむしろ体に練りこみ創り上げた賜物なのではないか。
だから高校サッカーは面白い。
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