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コロナの濃厚接触認定者になった話③

コロナの濃厚接触認定者になった話② の続き

登場人物
コロナ感染者 Aさん
濃厚接触認定者 私
保健所の女性 保Bさん
保健所の男性 保Cさん
保健所の女性2 保Dさん
保健所の女性3 保Eさん
保健所の女性4 保Fさん
医師 先生

自宅待機

 結局この日も1時間、30分などと細切れに、合計3時間くらいしか眠れなかった。ちょうどウトウトしていた朝9時ちょっと前、電話がなった。PCR検査をしてくれた先生だ。検査結果によって今後の動きが変わると思うと少し緊張する。

先生「昨日のPCR検査の結果だけど…」
祐香「はい…(ゴクリ)」
先生「陰性でした」
祐香「ああ、良かったです!」
先生「今FAXで結果が来ているだけで、来週くらいになったら証明書が発行できます。今後の体調に注意して、また何かあったら保健所に連絡してうちに来てください」
祐香「わかりました、ありがとうございます」
先生「私はこのあと保健所にも連絡するので、保健所からも連絡来ると思うのでね。お大事に」
祐香「ありがとうございました!」

 とりあえず一安心。ただ、PCR検査をしたのがAさんに症状が出てから3日後だったので、私に症状が出るとしたらもっと先の可能性の方が高い。Aさんより先に陽性になった人の家族も、最初のPCR検査でみんな陰性、数日後みんな熱が出て再度検査をしたら陽性となったらしい。インフルエンザもすぐに検査すると陰性だったりするしね。

 ここから先は、陽性にならないこと、仮に陽性になったとしても症状が出ないことを祈るばかり。

 先生との電話を切ってから10分後くらいに、保健所から電話が来る。毎回微妙に電話番号が違う。結構な数の回線があるのだろうか。今回は女性(保Dとする)だ。名前を聞いて、Aさんの対応をしていた人だと気づいた。最初にAさんから、保健所から私に電話が入ると聞いたときは「保Dさんという人から来ると思う」ということだったけど、実際は保Bさんからきた。

 保Dさんは保Bさん以上に、よく仕事ができるタイプだと思った。ちょうど良い距離感でこちらも話しやすいし、こちらが聞く前に知りたいことは話してくれるし、そのあとで聞きたいことはないかと言ってくれるし、テキパキと対応してくれる。

保D「保健所の保Dです。PCR検査、陰性だったということで、まずは良かったですね! このあと自宅でお休みいただくことになりますが、祐香さんは心疾患があるということなので、毎日1回保健所から状況確認の電話を差し上げます。何かあったときは祐香さんからもいつでも電話してください」
祐香「保健所って何時までですか?」
保D「平日夕方5時までです」
祐香「それ以外の時間に体調が悪くなったりしたら、どこに連絡すればいいですか?」
保D「今から言う番号が時間外の番号で、守衛室に繋がります。折り返しになりますけどご連絡しますので。番号は×××-×××-××××です」
祐香「ありがとうございます」
保D「それから、パルスオキシメーターという血中酸素濃度をはかる機器をお届けします。貸し出しになるんですけど、祐香さんのご自宅のドアノブにかけて、そのあとお電話しますのでお受け取りください。説明書も入っていますが、パルスオキシメーターは通常97~99辺りの数字が出ます。95くらいになってくると息苦しさを感じる人もいます。数値が少なくなると肺炎の可能性も出てきますので、定期的にチェックしてください」
祐香「わかりました」
保D「ちなみに、今熱はどうですか?」
祐香「さっきはかったときは、36.2℃でした」
保D「体調はいかがですか?」
祐香「特におかしなところはないです」
保D「良かったです。他に何か気になる点はございますか?」
祐香「今のところ大丈夫です」
保D「わかりました。では職員がパルスオキシメーターをお届けするまでお待ちください」
祐香「ありがとうございます」

 昼頃、再び保健所から電話が来た。また違う女性(保Eとする)からだった。

保E「保健所の保Eと申します。先ほどパルスオキシメーターをお届けしたのですが、確認していただいてよろしいでしょうか。ドアノブにかけました」
祐香「はい、少しお待ちください。あ、ありました。ありがとうございます」
保E「使い方をご説明しますので、やっていただいてもいいですか。まず、電源ボタンがあると思うんですけど、それを押してください」
祐香「電源入りました」
保E「そこに人差し指を挟んでください。しばらく待っていると数字が2つ出てくると思います。90台後半の数字が血中酸素濃度で、もうひとつが脈拍です」
祐香「98と出ています。あと、脈拍は79ですね」
保E「正常値ですね。脈拍はだいたい60~80くらいの方が多いですが、安静にしているのに大きい数値が出ると動悸がしているのが自分でもわかると思います。そのときはご注意ください」
祐香「わかりました」

 こんな感じで、パルスオキシメーターというアイテムが我が家に加わった。最初に電話をもらったときから、ここまでの保健所の対応はとても丁寧で親切だったし(唯一の男、保Cはチャラチャラしていたけど)、本当にひとりひとりにきちんと丁寧に対応しているんだなと感じた。

 陽性者・濃厚接触認定者に電話、いろいろな聞き取り、ホテルや入院の手配、PCR検査をする病院の手配、送り迎えが必要な場合はその手配、パルスオキシメーターなどの貸し出し、その他いろいろな仕事がある中、私のようにおとなしく話を聞く人だけじゃないだろうから、きっと大変だと思う。

 今もまた少し陽性者が増えてはいるが、一時期は大変な数の人の対応をしなければならなくて、仕事といえどもその苦労を考えると頭が下がる思いだ。他の保健所がどうかはわからないけど、少なくとも私の対応をしてくれている保健所の方々はみなさんとても素晴らしい。

 そして、次の日(これを公開している日)にはまた違う女性(保Fとする)から、状況確認の電話が来た。13時頃だった。

保F「保健所の保Fです。体調はいかがですか?」
祐香「特に変化はないです」
保F「お熱は?」
祐香「36.0℃でした」
保F「酸素濃度は?」
祐香「98です。脈拍は80でした」
保F「大丈夫そうですね。他に何か心配なことや、聞いておきたいことはありますか?」
祐香「今は特にないです」
保F「わかりました。また明日お電話しますので、ゆっくりされていてください」
祐香「ありがとうございます」

 違う人になっても、やっぱり丁寧な対応だ。睡眠サイクルが崩れている今、何時に電話が来るかわからないのがさらに寝つきの悪さに繋がっていたが、今日昼過ぎに来たということは明日からもそうなのだろう。

 元々、昼夜逆転した生活サイクルなので、朝早く電話が来ると思うと睡眠が妨げられると思って、いつ寝ていいかわからなくなってしまう。昼まで寝られると思ったら、安心して朝方に眠りにつける気がする。

 この保健所からの電話が終わったあと、安心したのか細切れではあるが合計5時間くらい寝ることができた。このままうまく睡眠サイクルを戻したい。

ホテル生活

 その頃Aさんはというと、ホテル生活を始めていた。ホテルに入る日、保健所から「今日の午後〇時に迎えに行きます」という連絡が来て、自宅マンション前ではなく近くの少し広くなった場所に車を停めてもらったらしい。風評被害を避けるためか、自宅前ではない停められる場所を聞かれたようだ。

 ホテル療養の経験がある人に持って行ったらいいものを聞いて、準備していったらしい。でもホテルによって部屋に常備されているものが違うようで、Aさんにもらった写真を見ると、そのホテルでは部屋にコーヒーとお茶のパックが大量に置かれていた。

 タオル、バスタオルは多く持って行った方がいいとか、服は自分で手洗いしなければいけないホテルが多いから手洗いをするか、それが面倒であれば着替えはたくさん持って行った方がいいとか、お菓子はある程度置いてあるホテルもあるけど自分の好きなものを持って行った方がいいとか、いろいろ聞いて準備していったが、実際一番つらいのが食事らしい。

 食事は確か、朝8時30分、12時、18時と言っていたと思うけど、フロアごとに準備されるらしい。朝7時30分に「今から配膳の準備をします。終わったらまた放送でお知らせするので、放送があるまでは部屋から出ないでください」という放送が入って起こされたと言っていた。

 準備が終わるとまた放送があり、それぞれ自分で部屋から出て取りに行く。鉢合わせしないよう、誰かが出ていくのを見て一旦開けたドアを閉める人もいるという。Aさんのフロアはたぶん全員同性だと思う、ということだった。(※追記 異性もいたらしい)

 食事の写真を送ってもらったが、まず量がとても少ない。病院食よりも少し少ないかなという感じだ。それと、意外にもおかずは脂っぽいものが多い。カツとか照り焼きチキンとかがメインで、サラダが添えてある。

 これは一般男性にとっては、かなりつらい量だと思うので、やっぱり自分でも何か持って行った方がいいと思った。でも、だいたいみんな陽性になって突然外に出られなくなって、そのままホテルに連れてこられているから、家に蓄えがない人はそれも難しいだろうなと思った。

 あと、Aさんは仕事を少しと本と、プレステを持って行った。仕事が忙しすぎてなかなかゲームをやる時間がなかったので、かなりゲームを楽しんでいるようだ。ただ、行きは車のお迎えがあったけど帰りは自分で帰らなければならない。荷物が多ければ多いほど帰りは大変になる。

 Aさんはホテルに入って2日目の夜に味覚、嗅覚がおかしくなったらしい。熱も下がったし、今は他に症状がなく、味覚、嗅覚のみ異常だという。何を食べても、食感はそれぞれ違うものの味はしないそうだ。まったくしないといったら、それもちょっと違っていて、限りなく薄いという感じとのこと。匂いも限りなく薄いらしい。

 今後、これ以上の症状が出ないといいけど。

困っていること

 自宅から出られなくなって4日目。

 困ることのひとつといえば、やっぱり食糧だ。今の時代はネットで何でも頼めるから便利だけど、自分でスーパーを回って買うことができれば、安いものだけを選んで買うこともできるのに、ネットはちょっと高めのものも多いので少し損をした気持ちになる。

 とりあえず、最初はAmazonとLOHACOでいろいろ買ってみた。LOHACOはオフィスで使うものを買えるASKULの個人宅バージョンだ。ただ、引っ越しシーズンだからか、いつもは翌日に届くLOHACOの商品が届くのは一週間後。意味がない。

 いろいろ考えた結果、ネットスーパーに登録することにした。いくつかのネットスーパーを比べてみて、税込5,500円以上は宅配料無料になる楽天×西友のネットスーパーにした。

 これで、ずっと飲みたかった牛乳が飲める。牛乳というかココアが飲みたくて。AmazonやLOHACOで牛乳は買えないので助かる。明日届くのが楽しみだ。

 それから、もうひとつ困ったのが支払いだ。私は書道の師範だが、今も通信で書道を習っている。その会費の振り込みが4月10日まで。それから、水道代の自動振替をまだ設定していなくて振込用紙が届いているんだけど、それが4月5日まで。絶賛、自宅待機の期間中だ。

 水道はまだ止まることはないから後日払いに行くにしても、会費は年1回の支払いなのに、それを期限までに支払えないのは心苦しい。電話してみたところ、支払いが遅れることを快くOKしてくれた。最後に「お大事に」とまで言ってくれて、ありがたかった。

 とりあえず、今のところ困ったことはこのくらいかな。

 まだ先は長いけど、ゆっくり過ごそう。

④に続く

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