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おしゃれ心を失わない

昨年の朝ドラ『とと姉ちゃん』のモデルになった「暮しの手帖」編集者、大橋鎭子さんの自伝。

「暮しの手帖」とわたし (大橋鎭子 著)

いつかは読んでみたいと思っていたところ、図書館で見つけて思わず手に取りました。

ちょうど数日前から、顔がパンパンに腫れてしまって、顔の様子以外は元気であるものの、人の顔ってこんなに変わるのかと思うと、自分の顔を見てはなんだか気分が沈んでしまう。(花粉症か、化粧品が合わなかったそう)そんな中でこの本を読みはじめました。

「どんなに みじめな気持でいるときでも
つつましい おしやれ心を失はないでいよう」

世の中がまだ暗い雰囲気だった敗戦の翌年、大橋さんが後に『暮しの手帖』となる雑誌『スタイルブック』を創刊した想いに触れ「顔の調子が良くない、落ち込んでしまうときほど日々の暮らしを大切にしよう、今を受け入れながらおしゃれ心を大切にしよう」と勇気をもらい、掃除や料理など自分の身の回りでできることをこつこつ実施しました。

この本には、働くうえで大事にしたいことが随所に詰まっていました。
例えば、大橋さんの好奇心について。

日曜日といえば、デパートや商店街へ行って、なにか素敵で便利なものがないか、見て歩くようになりました。
人がたかっているところに私もたかります。そして「なぜそこにいるの?」「なぜ欲しいの?」と声をかけるのです。見ず知らずの人でも、はずかしいなんて思わない。「タネ探し」ですから勇気いっぱいです。皆さんがどんなものに興味を持ち、買われるか、いろんなことを教えられました。

また、大橋さんとともに『暮しの手帖』を支えた花森安治さんとのやり取りも印象的でした。本に出てきていた花森さんの言葉。

「読者の人たちが、本屋さんの店先で、落とさないように、すられないようにとポケットやふところ、ハンドバッグの中に大切にしまってある財布を取り出し、その中から三百二十円出して『暮しの手帖』を買っていってくださる、これは大変なことだということを、君たちは考えたことがあるか。
 一ヶ月働いた大切なお金を入れた財布を取り出して、その口金をあけさせるだけの値打のあるプランも出せなくて、なにごとだ」

どこにいたって企画のタネは転がっていて、自分から取りに行かないと見つからない。そして、働いた大事なお金を払ってくれるだけの価値はあるのか。目の前のお客様への価値提供の心構えがずしっと刺さりつつ、自分掲げた想いに真摯に取り組む大橋さんに元気を貰える本でした。

顔の腫れは1週間経つと少しずつおさまってきて、やっとお化粧ができたときには、お化粧ってこんなに楽しいものなんだ!と気持ちが明るくなり、自分の新しいおしゃれ心に気づかされました。

#読書 #日記 #ビジネス

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