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#16 井上本店イゲタ醤油

こんにちは。

be-en 代表のゆうかです。

蔵元巡り第16弾は奈良県奈良市にある『井上本店イゲタ醤油』さんを訪問しました。

道路に面した販売所は、さほど大きくない印象でしたが、奥に案内していただくと煉瓦造りの大きな蔵が現れました。
かつて、JR京終駅付近には市場があり、物流集積地で、当時のイゲタ醤油さんの蔵は、氷の貯蔵庫として使われていたそうです。

2020年以前は、観光客に向けて蔵を案内されていたこともあり、社長の吉川修さんは、分かりやすく丁寧にお店の歴史や醤油の製造に関してお話をしてくださいました。今後は、観光客に立ち寄ってもらう為、道路からも煉瓦造りの蔵が見えるように工場を改装したいともおっしゃっていました

お店の奥にある、煉瓦造りの蔵。
工場内の製造機会


イゲタ醤油では、”本物の醤油” をつくり続けることを目標に掲げ、「木まじめ」という木桶仕込み醤油を製造されています。今回はイゲタ醤油の歴史や醤油作りにかける想いなどを伺いました。

木まじめ醤油


イゲタ醤油のこだわり

イゲタ醤油では、木桶を使用した天然醸造製法により醤油を製造しています。

実は、木桶を使用する前はコンクリート槽を使用していました。しかし、使い始めてから約40年経ち、使用できないコンクリート槽が増えたことで、事業の継続性の観点から考え直し検討した結果、木桶を使用することに決めたそうです。

以前紹介したヤマロク醤油さんでは、木桶文化を守るために「木桶職人復活プロジェクト」を立ち上げ、旗振り役として活動されています。イゲタ醬油はこの木桶職人復活プロジェクトを通じて木桶を入手し、3年前から木桶を使用した醬油造りを行ってます。

木桶

木桶醸造は蔵の環境や気候により醤油の出来上がりが大きく変わります。また年に一度しか製造できないことから、現在は醤油造りに適した条件を見つけるために試行錯誤の段階とのこと。

社長の吉川修さんは、どんなお料理にも使えるという軸はぶらさず、こだわりのある嗜好品寄りの醤油を理想に掲げています。


息子たちに伝播する想い

現在、イゲタ醬油は長男と次男のお二人が後を継ぐためにお店を手伝っています。

次男に後を継ぐことに決めた理由を伺ったところ、「父が休みの日も働いていて母と口論もしていたけれども楽しそうだったので、両親の仕事が気になったんです。」と話されました。

社長(父)から3年社会人を経験するように言われたため、農業系の大学を卒業された後、食品の品質管理の仕事をされていたそうです。仕事自体は楽しかったものの、父の後を継ぐために退職を決意。

実際に、社長の「原料から手作りし、添加物を入れず、良いものを作り続けてきた先代の姿勢を敬しています。値段が見合わないのでの経営は火の車だけれども、毎日面白く仕事をしています。」と笑顔で話されている様子がとても印象的でした。

イゲタ醤油で木桶醸造に踏み切った理由の一つに環境への負荷の軽減があります。木桶の寿命は100年以上とも言われ、SDGs の観点からも注目されています。
しかし、海外と日本では根本的意識の差があるため、「個人の意識を変える必要がある。」と社長は考えています。また、海外の方や若い人に醤油や味噌の良さを知って欲しいという想いを持っています。

また、普段から衛生管理を怠らず、微生物検査も実施していますが、世界へ挑戦する足掛かりとなるよう、これからHACCPやISOといった衛生規格の取得にも挑戦されるそうです。

次男のお話を伺い、「両親が働く姿を見て、後を継ぐことを決めた」というお話が素敵だなと思いました。また、醤油蔵の強みを活かし、大手には難しいこだわりのある醤油造りに取り組まれている姿も印象的でした。

現在も修行中でイゲタ醤油の跡取りであるご兄弟は、私と同世代であり、醤油蔵元業界でもかなりの若手です。お二人の今後のご活躍の力となれるよう、私もさらに成長していきたいと強く思いました。


皆様も奈良を訪れた際は、ぜひイゲタ醬油さんに足を運んでみてください。

▼今回ご紹介したイゲタ醬油さんの HP はこちら

それではまた次の記事でお会いしましょう。

文責:むーみん

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