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#05 萬年屋

こんにちは。

be-en 代表のゆうかです。

蔵元巡り第五弾は天保3年 (1832年) 創業の長野県松本市にある萬年屋さんを訪問しました。

入口の看板

萬年屋さんの味噌づくりに対する熱い思いをたっぷり伺ったので、ぜひ楽しんでお読みください。

古来から伝わる味噌玉造り製法

萬年屋さんでは1,500年~1,300年前から伝わる「味噌玉造り」という大豆を2度熟成させる製法で味噌を製造しています。
この味噌玉の製法を用いる蔵元や手前味噌は激減し、この古来から伝わる味噌玉を構成に残したいという女将の熱い想いをうかがいました。

萬年屋さんのサイトにも味噌玉造りのお話が綴られています。
ご興味のある方はぜひこちらも覗いてみてください^^

「味噌玉」で検索すると、具材を味噌と一緒に丸めて冷凍したもの、と出てきますが、本記事で取り扱う味噌玉は「蒸した大豆を玉状に形成したもの」を指します。

現代はこの味噌玉に、塩、水、糀を混ぜて味噌を作っていますが、昔は糀が高価であったことから、味噌玉、塩、水のみで味噌を作っていたとのこと。糀を使った製法は江戸後期から始まったそうです。

味噌玉は春に仕込むそうですが、夏に仕込むと熟成前に腐敗してしまい、秋以降に仕込んだ際も熟成が不十分となることから、年に一度しか仕込むことができない点が味噌玉造り製法の特徴です。

全国各地での味噌玉は色々な形をしており、カチカチに硬くなった大豆塊に、その地特有の菌(カビ、乳酸菌、酵母など)が住み着きます。

萬年屋の味噌玉の熟成は以前、軍の食糧庫を蔵にした場所であり、当時から居着いた菌が味噌を美味しくしてくれていると考えると、味噌作りの奥深さと過去との時間の繋がりを感じます。
かつて2度も火事にあい、苦労された萬年屋さんですが、今も尚伝統的な味噌を守り作り続けてくださっていることに尊敬と感謝の気持ちを抱きました。

家事で焼けて黒くなった熟成蔵の入口
熟成中の味噌
蔵の2階の様子(味噌玉熟成場所)
蔵の伝統ある味噌玉熟成用の棚

熟成期間に生えたカビをそのままにすると味噌もカビ臭くなってしまうため、萬年屋さんでは水に浸けてたわしで表面を洗います。
カビを落とした後に機械で粉砕し、塩、水、糀を混ぜて3週間熟成させます。

この熟成期間中にも蔵に棲んでいる乳酸菌がつくそうですが、萬年屋さんの蔵には、「ペニシリウム コミュネ」というカマンベールチーズを作る際に使われる菌と同じ菌が棲息していることが特徴だとか。

厳密には、カマンベールチーズの表面に棲息する通称「白カビ」と呼ばれる菌は「ペニシリウム カマンベルディ」と呼ばれ、「ペニシリウム コミュネ」とは異なる菌なのですが、菌の系統は同じため、萬年屋の味噌玉で作った味噌からはチーズのような香りがします。

好奇心から、菌の系統図を見つけたので以下に添付しますね。

出典:Domestication of the Emblemetic White Cheese-Making Fungus Penicillium camemberti and Its Diversification into Two Varieties

味噌から始まる健康なからだづくりを目指して

最近の腸活ブーム、健康ブームで菌のはたらきが注目されていることから、大学や企業と協力して味噌玉に棲息する菌をアピールし、健康を謳いたい、と語られました。

真菌※に関する研究をされている筑波大学の先生がいらっしゃるようで、その先生に協力していただき、毎年蔵に白カビがついているかどうか見てみたい、とのこと。
※真菌・・・通称カビ。真菌は酵母、糸状菌、キノコに分類され、狭義のカビは糸状菌を指すが、一般的には真菌全体をカビと称することが多い。

萬年屋さんで製造している味噌玉には、前述したペニシリウム・コミュネだけではなく、他の菌も棲息しているようで、中には人体にとって必須の生理活性物質の前駆体である菌もいるとか。

以下の記事に萬年屋さんの味噌玉に棲息する菌に関するお話が書いてありますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

https://mannenya.ne.jp/カマンベールチーズと同じ菌が入っていた/

発酵食品に棲息する菌は人体に無害であることが多いので、菌に関する正しい知識を伝えることで、「腸から体を整える」人がもっと増えればいいなと思います。

それではまた次の記事でお会いしましょう♪

文責:むーみん

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