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Led Zeppelin 「Led ZeppelinⅠ」 (1969)

ハードロック界に衝撃を与えたZEPデビューアルバム!

1968年7月、ヤードバーズは解散し、ひとり残されたジミー・ペイジは、契約上スカンジナビア・ツアーを確行しなければならない立場に追い込まれ、急遽メンバーを捜します。そのときプロコルハルムのドラマーであったB.J.ウィルソンを誘ったことは有名なエピソードですね。でも結局はすでに著名なセッションミュージシャンだったジョン・ポール・ジョーンズ、無名のロバート・プラントジョン・ボーナムの4人で再スタートを切ることになります。
スカンジナビアツアーはニュー・ヤードバーズとして行われたようですが、その後レッド・ツェッペリンとして活動を開始。レコーディング時間僅か36時間、9日でこのファーストアルバムを完成させてしまいます。

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とにかくジャケットから中身までインパクトのあるアルバムで、今聴いてもその勢いが感じられますね。ただ私はこのアルバム、昔はブルース臭が強くて苦手でした。あと幼少期(といっても中学生時代)はこのサイケな音がおどろおどろしくて怖かったですね・・・。そんな私も今ではボンゾことジョン・ボーナムの特異なドラミングに耳を奪われてしまうし、ハードロックの原点を感じさせる演奏に心奪われてしまうのです。全9曲、60年代後半の時代背景を感じさせる演奏もありますが、やっぱりハードロックの名盤ですね。

この迫力満点のハードロックの幕開けを予感させるアルバムのトップこそ、数多あるハードロックの名曲のなかでも最高峰に位置する曲だと思ってます。それが①「Good Times Bad Times」です。
このイントロ、特にボンゾのドラムの凄いこと。ハイハットのカウントでアクセントを取り、それにカウベルを絡ませて、スネアタムのフィルイン。文句の付けようのない斬新なアイデアです。でも彼の凄いところはその後。リズムキープもバスドラの使い方が尋常じゃない。ワンバスドラなのにワンペダルで連打して、ものすごく重量感溢れるリズムを刻んでいきます。
この「Good Times Bad Times」はジミー・ペイジのギターリフも素晴らしいのですが、ボンゾのドラミングの凄さを理解するには最適な1曲ではないでしょうか。どれだけ多くのドラマーが、このパターンをコピーしたことか。大音量で聴いてほしい。

後のサードアルバムでフォーク臭の強いアルバムを発表しますが、もうこのデビューアルバムでもフォークを彼らなりにアレンジした素晴らしい演奏を聞かせてます。それが②「Baby I'm Gonna Leave You」。意外にも(意外でもないか)ロバートとジミーはジョーン・バエズのファンだったらしく、2人がジョーンがカバーしていたこの曲がお気に入りだったのでは、と推察されます。しかしそれにしても強弱静動、心揺さぶられる演奏です。

以前は大嫌いだった④「Dazed And Confused」(笑)。まだ小さかった頃、この曲を聴くのが怖かった・・・。とにかくドロドロ感は尋常じゃない。ブルースを彼らなりに昇華した見事なオリジナルです。ロバートとジミーの掛け合いがこの曲の聴き所ですが、ジミーが奏でるギターサウンドが実にクリエイティブで素晴らしいですね。                     この曲はやっぱりライブに限ります。アップした映像の2分45秒過ぎからは、御馴染みの弓で奏でるヴァイオリン奏法が登場してきます。ジミーの独壇場ですね。

B面も飽きさせない楽曲が続きます。
⑤「Your Time Is Gonna Come」はジョンのキーボードがフューチャーされてます。Zepというとロバート、ジミー、ボンゾと強烈な個性を放つ3人があまりにも目立ちますが、音楽的貢献度はジョンも相当高く、アレンジ面でも欠かせぬ存在となっていきます。
この曲はちょっとフォーキーな香りのするナンバーで、サビのメロディーもキャッチーで、ブルース臭漂う本作のなかでは、ちょっと異色の作品かもしれません。そしてそれは⑥「Black Mountain Side」にも通じます。こちらはインド音楽を彷彿させるラガロック・スタイルで、ギターをフューチャーしたインストです。

本作中、一番ノリのいいナンバーの⑦「Communication Breakdown」。セカンドアルバムに収録されてもおかしくない、ZEPらしいナンバーです。既に彼らのスタイルが固まっていた証拠ですね。アップした映像は当時日本で放送されたらしいプロモ。なぜかナレーションではヤードバーズ生き残りの4人のメンバーが名前を代えて・・・と紹介されてます。ヤードバーズって、そんなに日本で知名度があったのでしょうか??

最後はエンディングナンバーの⑨「How Many More Times」。如何にも60年代にありがちなリフですね。このリフを延々と繰り返すだけのナンバーなのですが、それをヴォーカルと演奏が素晴らしいので、じっくり聞かせてくれます。途中でフリーもカバーしたアルバート・キングの「The Hunter」なんかも登場してきます。それにてもこのアップしたデンマークでのスタジオ収録の映像、観客の静かなノリが気になります(笑)。デビュー当時ですから、まだこうしたロックも一般的ではなく、観客もどうリアクションを取っていいのか分からない、といった感じでしょうか。

久しぶりにこのアルバムを聴いてみましたが、やっぱり素晴らしい。デビュー当時のZEPも、荒々しい部分がまた魅力だったりします。


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