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The 5th Dimension「The Age of Aquarius」(1969)

前回、ビーチボーイズの記事を書いていたら、レッキング・クルーの演奏をもう少し聴きたくなり、行きついたのが今回ご紹介するフィフス・ディメンションの作品です。

フィフス・ディメンションってお子様ポップスのイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、抜群のコーラスワークと選曲のセンスは秀逸で、この当時の彼等のサウンドは、ボーンズ・ハウのプロデュース、レッキング・クルー(ハル・ブレイン、ジョー・オズボーン等)の演奏が堪能出来ます。

本作は1969年5月に発表されたフィフス・ディメンションの4枚目のアルバムです。
このアルバムは何といっても①「Aquarius/Let the Sunshine In」があまりにも有名ですね。
メンバーのビリー・デイヴィス・Jrはある縁からミュージカル「ヘアー」を観る機会があり、そこで使われた楽曲「Aquarius」に感銘を受けて、ボーンズ・ハウにこの曲を収録することを提案。最初は難色を示していたボーンズですが、この曲とエンディングの「Let the Sunshin In」を繋げることを思いつき、収録されたメドレー形式で収録されました。
特にこの曲は、フィフスのコーラスワーク、ジョー・オズボーンのリズミカルなベース、ハル・ブレインのパワフルなドラム、それぞれの持ち味が十二分に発揮された素晴らしい作品です。

ちょっとビックリしたのが③「Skinny Man」という曲。Michael Kollander, Ginger Kollanderの作品。
いきなり変拍子なんですよね。7/4拍子。なんだコレって感じ。ハル・ブレインも叩きづらかったんじゃないでしょうかね。フィフスはこうした曲も見事に歌いこなしてますね。織り成すコーラスが美しい。

私の大好きな④「Wedding Bell Blues」。ローラ・ニーロのデビューシングルでもあるこの曲を、フィフスは見事に自分達の曲にしております。
既にフィフスはローラの曲を数曲カバーしておりますが、本作でもローラの曲をカバーするようボーンズ・ハウから示唆され、フィフスはこの曲を選びます。当時、メンバーのマリリン・マックーとビリー・デイヴィス・Jrは婚約しておりましたが、多忙で結婚式を挙げるタイミングを逸していた時期で、ちょうどこの曲の歌詞と自分達の状況がクロスオーバーし、見事にシングルとして大ヒット、全米No.1を記録します(のちに二人は結婚致します)。アップした映像、大好きな映像です。ビリーのコミカルな表情が笑えますね。

2008年のマリリン&ビリーが歌う「Wedding Bell Blues」もご紹介しておきます。この映像も大好きなんですよ~。当時、マリリンは64歳、ビリーは69歳。ビリーが年上なのに、身長はマリリン高いし、未だに尻に敷かれている印象(笑)。観客の反応からしても、この曲は今も2人の定番ソングなんでしょうね~。

ちなみにこの2人、2021年にビートルズのカバー集「Blackbird: Lennon-McCartney Icons」を発表しております。こちらも素晴らしい内容ですので、ご興味ある方は一度チェックしてみて下さい。

ロジャー・アトキンスとニール・セダカの共作の⑦「Working on a Groovy Thing」はパティ・ドリューという女性シンガーが先に歌っていたものをフィフスがカバーし、フィフスのバージョンの方が有名になったもの。
ここでのジョー・オズボーンのベースが非常にメロディアスで素晴らしい。またイントロからハル・ブレインのドラムもグルーヴィー。こういうポップスはボーンズ・ハウのプロデュース・ワークが光ります。

本作中、一番異色のカバーといったら、やっぱりクリームの⑨「Sunshine Of Love」でしょう。
こうしたブルースロックはやっぱりフィフスには似合いません(笑)。見せ場となるようなコーラスワークもあまり登場しませんしね。勝手な邪推ですが、ハル・ブレインが叩きたかったんじゃないですかね。逆に言えばこの曲はジンジャー・ベイカーに対抗するような手数の多いハル・ブレインのドラミングを楽しむための1曲と考えればいいかもしれません。

フィフス・ディメンションはその後、1975年にマリリンとビリーが脱退、フィフス・ディメンション自体は今も活動をしておりますし、マリリン&ビリーは記事にも言及した通り、2年前にも作品を発表しております。映像を見る限り、マリリン&ビリーは今も仲がいいようですね。

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