見出し画像

Andrew Gold「What's Wrong With This Picture?」(1976)

素敵なポップスのセンスを持つアンドリュー・ゴールド。私が彼の名前を知ったのは、カーラ・ボノフ繋がりでブリンドルまで遡ったとき。もちろんアンドリュー・ゴールドのことは何となく知っていたのですが、カーラとバンドを組んでいたとは、全く知らず…。リンダ・ロンシュタットといい、この辺りの方々の絆というのは、想像以上に深いものがありますね。

本作はアンドリュー・ゴールドのセカンドソロ。もちろん彼の代表曲「Lonely Boy」が収録されている名盤ですね。それからジャケに32か所の間違いがある…ってことも話題になったらしいです。
プロデュースはピーター・アッシャー。この当時、リンダ・ロンシュタットの「Hasten Down The Wind」の制作にアンドリューは全面的に関わっていた関係もあり、本作の参加ミュージシャンも、「Hasten Down The Wind」と殆ど同じです。リンダはもちろん、ケニー・エドワーズ、ダニー・コーチマー、ダン・ダグモア、ワディ・ワクテル、マイケル・ボッツ、ラス・カンケル、リーランド・スクラー…。いやいや、ホント、お馴染みのメンツですね。

最初に⑦「Lonely Boy」をご紹介しておきましょう。この曲、大好きなんです。とびきりポップで、かっこいい。アレンジも秀逸。アンドリュー自身のことを歌った歌らしい。カウベルとか、タイトでリズミカルなドラムとか、意外とマイケル・ボッツのドラミングが秀逸。ちなみにマイケル・ボッツってブレッドのメンバーなんですが、ブレッド時代はそれほど目立つドラムは叩いていなかったんですが、やっぱり名ドラマーですね。カッコいいギターソロはワディ・ワクテルです。それからリンダ・ロンシュタットもしっかりコーラスで参加してます。

ところで「Lonely Boy」、どこかで聴いたことありませんか?
実は私はこの「Lonely Boy」を聴く前に、そっちの曲を聴いていて(しかもバンドでコピーまでしてました)、後から「Lonely Boy」を聴いて、当時「これはパクリじゃないか?」と思ったものです。そう、その曲は渡辺美里の「センチメンタル・カンガルー」です。作曲は佐橋佳幸さん。リフが同じでが、さりげなくエッセンスを盛り込むところはセンスあるなあと感じます。実は私、この「センチメンタル・カンガルー」もめちゃくちゃ大好きな楽曲なんですけどね(あ~、この当時の美里、カッコよかったな~)。

さてさて、アンドリューの作品の戻ります。
②「Passing Thing」はスローなバラード。この曲を採り上げたのは間奏の尺八のソロがユニークだから。洋楽で尺八をフューチャーした作品って、あまり聞いたことがありません。このソロ、意外と曲に合っているんですよね。演者は日本人ではなく、ドナルド・メンザという方。エンディングでのソロも味わい深い。

50,60年代のポップスが大好きというアンドリューらしいカバーの③「Do Wah Diddy」。ご存じ、マンフレッド・マンの1964年のヒット曲のカバーです。ちょっとハードなギターでロック調にカッコよくキメてます。ポイントはコーラスでしょうか。プロデューサーのピーター・・アッシャーやケニー・エドワーズがコーラスに参加。あ、ピーターはピーター&ゴードンとして活動していたあのピーターで、同じ1964年にレノン&マッカートニーの名作「愛なき世界」で全米No.1ヒットを記録しています(ピーターの妹、ジェーン・アッシャーが当時ポールと付き合っていたことも有名な話ですね)。

本作中、一番アンドリューらしいナンバーが⑥「Must Be Crazy」。こうしたポップで小粋なナンバーが、彼の身上じゃないかなと思ってます。

ジャクソン・ブラウンのカバーであまりにも有名になってしまった⑨「Stay」。こちらはモーリス・ウィリアムズの1962年のヒット曲のカバー。ジャクソン・ブラウンは翌年のライブアルバムでカバーを発表していますね。アンドリューはちょっとレゲエタッチにアレンジしてます。

本作中、一番ウエストコーストなロックナンバーが⑩「Go Back Home Again」。アンドリューって、80年代前半、矢沢永吉の全米進出をサポートし、アルバムのプロデュースまで手掛けてます。この曲は、どこか、あの時代の永ちゃんのロックナンバーの香りがします(そんな感じがしませんか⁇)。こうしたシャッフルビートのロックナンバーって、心地いいですね.。アップした映像は当時のスタジオライブ模様。最高ですね~!!

アンドリュー・ゴールド、2011年6月に心臓発作で亡くなっていらっしゃったんですね。残念。R.I.P.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?