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The Clarke Duke Project「The Clarke/Duke Project」(1981)

久しぶりのAORのご紹介。本作をAORとしてご紹介するには抵抗のある方もいらっしゃるかもしれません。確かにスタンリー・クラークも、ジョージ・デュークも、フュージョン、ブラコン、ジャズといった括り方の方がいいかもしれません。ただ本作にはAORの超名曲が数曲収録されているのも事実です。

スタンリー・クラークは、チック・コリア率いるリターン・トゥ・フォーエバーでの超人的なベースプレイで注目を集めた人物。一方ジョージ・デュークも60年代から活躍する著名なピアニスト。この二人、1975年、スタンリーのソロアルバム「Journey To Love」で、ジョージがゲスト参加したことが最初の共演。本作発表までに、相当な親交があったことは間違いありません。

ジョージ・デュークというと、シンセばりばりのダンサブルなナンバーを得意とする人ってイメージがあったのですが、そんなイメージを見事に崩したのが、AORの名曲中の名曲③「Sweet Baby」。誰が歌っているのか全く分からず、初めてこの曲を聴いたとき、てっきりEW&Fか、(デイヴィッド)フォスター・ファミリーの誰かかと思ってしまいました。
見事なファルセットヴォイスはなんと厳つい顔のジョージ(笑)。そしてジョージのペンによるもの。
本作はジョージ・デュークとスタンリー・クラークの共同作業で作られた作品で、基本この二人にチャカ・カーンが在籍していたルーファスのドラマー、ジョン・ロビンソンがドラムを叩いているのみ。つまりフォスター・ファミリーは誰も参加しておりません。その割に「Sweet Baby」、ホント、アレンジからメロディー。リフまでフォスターの楽曲と間違ってしまうくらい。完成度の高いAOR、そしてジョージのヴォーカル、かなりいいです!

せっかくなのでスタンリーのAORソング④「I Just Want To Love You」も。
こっちはノリのいいナンバー、しかもAORフレイヴァーたっぷり。
スタンリーのヴォーカルもいいですよね。ホントはベースを弾きまくる人なのに、もうそういったわけでもなく、メロディを聞かせるといった心境なのでしょうか。こっちの楽曲も大好きです。

本作は②「Louie Louie」以外はすべて2人のオリジナル。②「Louie Louie」は1963年にキングズメンがヒットさせた楽曲。私としてはビーチボーイズのカバーバージョンの方が馴染み深いですね。スタンリー・クラーク・バージョンはちょっとスローなテンポで、ねっちりした曲調に仕上げてます。

後のクワイエット・ストーム・サウンドを彷彿ムーディーなナンバーの⑤「Never Judge A Cover By Its Book」はスタンリー作。こうした作品も私の好みです。

他にも80年代ブラコンっぽいスタンリー作の⑦「Winners」やジョージ作の⑨「Finding My Way」など、本作は佳作ばかり。どれもお勧めの楽曲ばかりです。

この2人はその後、2枚のアルバムを発表。スタンリーは近年、上原ひとみ等とスタンリー・クラーク・バンドを結成してますね。ジョージは2013年に亡くなっていたんですね・・・R.I.P.


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