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Laura Nyro「Eli and the Thirteenth Confession」(1968)

実にソウルフルな楽曲を作る人、ローラ・ニーロ。過去にローラのアルバムは「The First Songs」 (1967)をご紹介済ですが、今回ご紹介するセカンドも名盤と呼ぶに相応しい、実にクオリティの高いアルバムなんです。

ファーストアルバムは商業的には成功とはいえない結果でしたが、セカンドアルバムである本作には、「Sweet Blindness」と「Stoned Soul Picnic」というフィフス・ディメンションにカバーされた2曲が収録されていたことで、一躍脚光を浴びることになります。
ローラのこの当時のマネージャーはデヴィッド・ゲフィン。ゲフィンの力技で、ローラはコロンビアとレコーディング契約をすることとなり、このセカンドがコロンビアから発表となったのですが、ゲフィンは一方で、ローラの楽曲がフィスス・ディメンションに合うと考え、フィフスのプロデューサーでもあったボーンズ・ハウにデモテープを送っていたらしい。ローラの書く楽曲もすばらしかったのですが、ゲフィンが商売上手だった点も見逃せませんね。

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プロデュースとアレンジはチャーリー・カレロ。山下達郎ファンには御馴染みの方ですよね(山下達郎のファーストアルバムのプロデューサーであると当時にフォー・シーズンズのメンバーだった方)。そして演奏&アレンジがシティポップ風であり、当時としては斬新だった筈。また何よりローラが作り出す楽曲がソウルフルで、ヴォーカルはエキセントリックなまでに感情剥き出しで、心に迫るものがあります。名盤中の名盤・・・。

オープニングナンバーの①「Luckie」からローラ節全開です。ローラって、曲の展開が読めないんですよね。この曲もイントロは明るいR&B調で始まるんですが、次にマイナー調の4ビートスタイルになったかと思ったら、また陽気な、フィフス・ディメンションがやりそうな曲調に・・・。でも一瞬撥ねるリズムになったりと・・・。ミュージシャンにとっては演奏が難しいんじゃないでしょうかね。

ちなみに参加ミュージシャンはヒュー・マクラッケン(G)、チャック・レイニー(B)、アーティー・シュレック(Ds)(この方はフランキー・ヴァリの「君の瞳に恋してる」のアレンジャーとしても有名、フォー・シーズンズ繋がりですね)、バディ・サルツマン(Ds)(この方がフォー・シーズンズのセッションドラマーとして有名)、ズート・シムズ(Sax)(ジャズ・ミュージシャンですね)、ジョー・ファレル(Sax)(有名なジャズミュージシャン)、ポール・グリフィン(P)(ボブ・ディラン、ポール・サイモン、スティーリー・ダン等参加のセッションミュージシャン)。すごいメンバーです。そんな凄腕たちが演奏している③「Sweet Blindness」。この曲もイントロはポールのブギウギ調ピアノで始まる50年代風ガールズポップソングですが、いきなりリズムが転調していきます。この曲はフィフス・ディメンションがカバーしました。

スローに始まる⑥「Eli's Comin'」は、その後、直ぐにアップテンポに繰り広げられ、ホーンが激しく鳴るローラ流R&Bナンバー。ただしこれも途中でまたリズムチェンジが行われ、スローなテンポに情熱的にローラは歌い上げます。スリー・ドッグ・ナイトのカバーが有名ですが、彼等は3人の重厚なヴォーカルスタイルで、この黒いナンバーをカッコよく仕上げてました。

明るく「ピクニックに行こうよ!」と呼びかけるアウトドア賛歌の⑧「Stoned Soul Picnic」。ホーンやパーカッション、ギターの使い方なんか、実にセンスを感じさせるアレンジ。R&B色が濃く、フィフス・ディメンションが採用した理由も理解出来ます。
せっかくなのでフィフス・バージョンをアップしておきます。

ストレートなロックンロールの⑪「Once It Was Alright Now (Farmer Joe)」。ところがこの曲もかなりクセモノ(笑)。途中でスローに曲調が変わったりします。こうした曲作りがローラの魅力であり、先が読みにくく、全く聞き手を飽きさせません。シャウトしていたかと思うと、メロウに歌ったりと。なかなかスゴイ曲です。

エンディングはアコギが美しい⑬「The Confession」。アコギのアルペジオに乗ったスピーティーなナンバーです。当時、流行っていたソフトロックにも通じるようなアレンジが大好きです。

なかなかすごいアルバムだと思います。R&B的な楽曲なのに、アレンジはジャズの影響も垣間見られる小粋さ。ヴォーカルは常にソウルフルでエモーショナル。素敵ですね。

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