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小坂忠「モーニング」(1977)

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
我が地元に、千葉県有数の隠れた日の出スポットがあることが分かり、今年の初日の出はそこから拝んできました。確かに幻想的でした。周りにいた方曰く、これほど見事に初日の出を拝めたことは近年ないとのこと。素晴らしい絶景でした。

さてさて、年末から年始にかけては小坂忠さんの「モーニング」を聴いてました。コレ、心地いいんですよね。まさにダラッとした正月にピッタリ(笑)。小坂さんのいぶし銀のヴォーカルと細野さんのまったりしたベースとアレンジが最高。1975年発表の名盤「ほうろう」と対を為す名盤です。本作がシティポップスの走りとも呼ばれてますね。

小坂忠さんは実ははっぴいえんどのヴォーカリストになる予定の方でした。エイプリルフールで一緒だった小坂忠、細野晴臣、松本隆が、大瀧詠一、鈴木茂と合流するも、小坂忠はミュージカル「ヘアー」のオーディションに合格。これが人生の別れ目となりました。
「ヘアー」は残念ながら出演者の大麻所持で企画が頓挫。ただ、小坂さんはここでアシスタント・プロデューサーだった高叡華と出会うこととなります。後の小坂夫人。はっぴいえんどや小坂さんのその後は皆さんご存じの通りですね。

小坂さんは細野さんを中心とするティン・パン・アレーと「ほうろう」を制作後、ツアーを敢行しますが、そのツアーが過酷だったらしく、環境を変えたいということで、次作の「CHEW KOSAKA SINGS」はミッキー・カーティスと組み、ハワイでミッキーの人脈で制作されました。ただやはり気心しれたティン・パン・アレーのメンバーとは違い、意思疎通の面では結構大変だったようですね。
なのでこの「モーニング」では再びティン・パン・アレーと組み、小坂さんのプライベート・スタジオで制作されました。

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エンディングの曲を先にご紹介するのもなんですが...(苦笑)。坂本九の不朽の名作⑩「上を向いて歩こう」。もちろん永六輔&中村八大先生の作品ですが、ここでの細野さんのアレンジが実にメロウで素晴らしいのです。もちろん味わい深い小坂さんのヴォーカルも素敵です。
ドラムは林立夫、ギターは鈴木茂、エレピは佐藤博、ベース&ビブラフォンは細野晴臣。間奏の口笛に乗っかるメロウな極上の演奏。ふわふわした浮遊感が心地いい。正月からこんな極上サウンドでのんびりするのもいいでしょう。

「ほうろう」にも収録されていた②「ボンボヤージ波止場」もまたメロウな名演。
よりアーバンなサウンドに、そしてイントロの細野さんのビブラートを効かせたベースが凄い。小坂さん自身は「こっちのバージョンはモーニング(朝)って感じ」って仰っていたような気がしますが、やっぱりこっちも夜のサウンドにしか聞こえません(笑)。このイントロ(細野さんのベースの部分)、個人的にはクロスオーバーイレブンのサウンドを連想してしまいます。林立夫、佐藤博、細野晴臣、そしてギターは角田順、ハーモニカはブレッド&バターの岩沢幸矢。

作詞:松本隆、作曲・編曲:佐藤隆の③「フライングソーサー」。
コーラスはブレッド&バターと佐藤奈々子。佐藤さんらしい、ちょっとフュージョンタッチなアレンジ。南国にいるようなまったり感…、細野さんのベースもいい味出しているし、鈴木さんの極上のギターソロも堪能出来ます。

作詞:高叡華、作曲:小坂忠、編曲:細野晴臣の⑤「朝は好きかい」。
当時「クノールカップスープ」のCMに小坂さんの「からだを起こせ」が使われ、同曲がシングルとして発売された時のB面がこの曲でした。スカのリズムを軽快に叩く林さんのドラミングが素晴らしい。Aメロのタムの入り方が絶妙なんですよね。裏打ちしているので、独特のグルーヴを生み出してます。

こちらは作詞:松本隆、作曲・編曲が佐藤博の⑧「フォーカスラブ」。
この曲が本作では一番ポップかもしれません。こちらのリズムも陽気なレゲエ調。鈴木さんの乾いた音色のギターソロも洒落てます。

「ほうろう」のツアーの後に小坂さんの娘さんが大やけどを負ってしまいます。それがキッカケで小坂さんは教会に通うようになり、朝方人間に…。それで本作のタイトルが「モーニング」と付けられたとのこと。小坂さんはクリスチャンとなり、本作以降、ゴスペルの世界へ転身されましたね。

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